(報告)盗聴法廃止ネット主催 院内集会 「憲法違反の盗聴法を許さない!」 & 講演会 「言論・表現の自由と盗聴法」(田島泰彦上智大学教授)
- 2015年 9月 2日
- 評論・紹介・意見
- 「盗聴法」田中一郎
去る2015年8月28日(金)、参議院議員会館において、盗聴法廃止ネットが主催の院内集会「憲法違反の盗聴法を許さない!」 & 講演会 「言論・表現の自由と盗聴法」(田島泰彦上智大学教授)が開催されました。以下、簡単にそのご報告と、盗聴法改悪・刑事訴訟法改悪の各法案をめぐるこれまでの動きを簡単にお伝えいたします。
釈迦に説法のような気もしますが、この盗聴法改悪法案・刑事訴訟法改悪法案は、既に施行された特定秘密保護法やマイナンバー(共通番号)制度、あるいは共謀法や治安維持関係の諸立法、そして何よりも戦争法制と並んで、日本の国の成り立ちを、これまでのものとは全くの逆のものにしてしまう、とんでもない悪法なのです。つまり日本国憲法に謳う3つの原則である、平和主義は集団的戦争主義に、国民主権は統治者主権に、そして基本的人権の尊重は国家(優先)主義の下での限定された臣民としての権利、に変質させられていく布石の一つとして行われるものであるということです。私たちの権利と生活が危うくなってきています。まことに腹立たしいことですが、私たちが選挙で選んだ政治家たちが、有権者である私たちを無視して、愚かな考えに基づく手前勝手な出鱈目を大量生産し始めています。小選挙区制度や政党制度の改悪などがたたり、この動きに歯止めがかからなくなっているのです。
<集会案内>
●【イベント情報】8・28憲法違反の盗聴法を許さない!院内集会
http://www.anti-tochoho.org/evx/event20150828.html
●(ちらし)「可視化」・司法取引・盗聴拡大の徹底審議を求める院内集会(2015年9月3日)⇒ みなさま,来て下さ~い!!
<当日録画>
●20150828 UPLAN 田島泰彦「言論・表現の自由と盗聴法」 憲法違反の盗聴法を許さない!院内集会 – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=yBnmf25_y-U
●2015-08-28 憲法違反の盗聴法を許さない!―盗聴法・刑訴法改悪法案を廃案へ!―(動画) IWJ Independent Web Journal
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/260071
<当日配布資料>
(1)(講演レジメ)盗聴法と表現の自由(田島泰彦 2015.8.28)
(2)(資料)刑訴法「改正」案、参院で徹底審議を=各紙の社説
(3)盗聴廃止 各団体の意見表明(2015.8)
(4)盗聴法・刑訴法等改正を考えるニュース No.4 (盗聴法廃止ネットワーク 2015.6.15)
<盗聴法と今般の改悪法>
(1)犯罪捜査のための通信傍受に関する法律 – Wikipedia
(一部抜粋)
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犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(はんざいそうさのためのつうしんぼうじゅにかんするほうりつ、平成11年8月18日法律第137号)は、犯罪の組織化、複雑化、科学化に対応するための捜査手段としての通信傍受の要件、手続について規定する日本の法律。全32条。略称は通信傍受法。刑事訴訟法222条の2では、「通信の当事者のいずれの同意も得ないで電気通信の傍受を行う強制の処分」は、別の法律に従って規律されるとしている。ここにいう「別の法律」というのが、本法である。
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(2)法務省:法制審議会-新時代の刑事司法制度特別部会
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi03500012.html
(3)盗聴法 民主党に対する公開質問状(2015年8月)
(4)共謀罪を廃案に! 盗聴法に反対する市民連絡会
<これまでの簡単な経緯>
下記サイトの記述がコンパクトでいいので、ご紹介しておきます。
●第30回(2014年)シンポ予告 取調べ可視化と法制審・メディア 人権と報道・連絡会
http://www.jca.apc.org/~jimporen/l/?q=node/42
(一部抜粋)
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大阪地検の証拠改竄事件を契機に2011年5月、江田五月法相が「取調べの可視化」を諮問・設置された法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」が7月、答申案をまとめました。諮問の趣旨は、〈冤罪が多発する中、取調べ及び供述調書に過度に依存した捜査・公判の在り方の見直しや、被疑者の取調べ状況を録音録画の方法により記録する制度の導入など、取り調べ可視化を具体的に検討してほしい〉というものでした。
3年間の審議を経て出された答申案の提言は、①一定の事件について取調べの全過程の録音・録画を制度化②通信傍受対象事件の拡大③司法取引制度の導入――などでした。答申案では、取調べが可視化されるのは裁判員裁判対象事件と検察独自捜査事件だけで、全事件の2~3%に過ぎず、冤罪が多発する痴漢冤罪事件や無実の人たちが自白させられたPC遠隔操作事件などは対象外となります。
日弁連は、この答申案を「検討すべき課題もあるが、新たな一歩を踏み出すもの」と評価しました。一方、布川事件の桜井昌司さんら冤罪被害者8人は、法制審に審議のやり直しを申し入れました。理由は、①「可視化」がごく一部に限定され、冤罪被害者が求める全面可視化とは程遠い②警察が集めた全証拠の開示を求める冤罪被害者の訴えを無視③冤罪の新たな温床になりかねない「司法取引」が入ってしまった――ことなどです。
法制審は9月、答申案に沿った「法改正要綱」を採択し、松島みどり法相(後に辞任)に答申しました。これを受け、法務省は刑事訴訟法の改正案を来年の通常国会に提出する方針です。
「取調べの可視化で冤罪をなくす」ための法制審の審議が、可視化はごく一部にとどめ、盗聴拡大や司法取引導入など、警察の捜査権限の拡大をもたらすものになってしまったのではないか――そんな批判が冤罪被害者の間から出されています。大手メディアは、法制審の審議中はある程度、「警察の焼け太り」を指摘する報道をしましたが、答申が出た後は、可視化をめぐる報道はほとんど見受けられなくなりました。
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(上記にもあるように、こんな答申(案)に対して、何と日弁連が「検討すべき課題もあるが、新たな一歩を踏み出すもの」と評価しました、とあります。目を疑いますね。下記に日弁連の欺瞞的な声明をご紹介しておきます。:田中一郎)
●日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」における答申案の取りまとめについての会長声明
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2014/20140709.html
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ところで私は、この集会の最初のところで発言した維新の党の参議院議員で元ニュースキャスターだった真山勇一議員の発言が気になっている。それは「盗聴(及び盗み撮り)によって録音(及び録画)された記録(おそらくデジタルデータ)は、今では容易に改竄ができる」という話である、改悪される盗聴法では、盗聴はリアルタイムのみが許されるのではなく、大量に録音(録画)されてストックされ、あとでまとめて盗聴することも可能とされている。しかも、警察・検察の施設の中で、厳しくチェックする立会人もない「支配権力密室」の下での録音(録画)盗聴なので、いつなんどき、この記録されたものが改竄をされてもおかしくないような気がしてならない。少なくとも、大阪地検特捜部の検事はそれをしていて大問題になっているのだから、今度の盗聴法で同じようなことをしないという保障や制度的な担保は何もないのである。
その他、下記はネット上で検索して見つけた関連サイトです。いずれのサイトの批判もだいたい似たような感じです。
<関連サイト>
(1)冤罪防止を骨抜きにし、捜査権限の強化に偏重した法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」の最終案に強く抗議し、刑事訴訟法・盗聴法の改悪に反対する
http://www.jdla.jp/soukai/2014_07enzai.html
(2)日刊ゲンダイ違憲は安保法案だけじゃない 「盗聴法改正」が招く総監視社会
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/162438
(3)「盗聴法」改正がヤバい! 盗聴対象の拡大であなたも警察に盗聴され弱みを握られる – エキサイトニュース(1-4)
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20150714/Litera_1281.html
(4)VIDEO NEWS焼け太りの盗聴法改正に待った! »
http://www.videonews.com/marugeki-talk/742-2/
(5)不信感だらけの盗聴法改正案、これからは警察に何でも盗聴されてしまうのか!? 山田太郎
http://www.huffingtonpost.jp/taro-yamada/bugging-law_b_7650056.html
(6)法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会「事務当局試案」に関する会長声明
http://www.yamaben.or.jp/semei_ketsugi/s019.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion5639:150902〕
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