【集団的自衛権問題研究会 News&Review :特別版 第31号】 (2015年9月3日)
- 2015年 9月 3日
- 評論・紹介・意見
- 杉原浩司
9月2日に行われた参議院特別委員会の一般質疑のダイジェストをお送りし
ます。ぜひご一読、ご活用ください。
一週間ぶりの質疑でしたが、またしても何度も速記が止まり、中谷大臣は
劣化ウラン弾の輸送に関する日米協議をめぐって、答弁の撤回に追い込ま
れました。
また、共産党の仁比聡平議員が、河野克俊統合幕僚長が訪米し米軍幹部と
会談した記録文書を入手し暴露。驚くべき暴言の数々が明らかになりまし
た。質疑で引用された以外にも「オスプレイに関しての不完全性を煽るの
は一部の活動家だけである」「沖縄県知事選時にはリバティーポリシーの
実施、地域情報に配慮して頂き感謝する」など、到底許されない発言がな
されていました。
河野統合幕僚長の証人喚問は不可欠ではないでしょうか。ここでメスを入
れないで法案成立を許してしまえば、とんでもないことになると思います。
参議院特別委員会は当初、4日の一般質疑まで決まっていましたが、2日の
委員会中の場内協議を経て、8日(火)13時から参考人質疑を行うことを
質疑終了後に野党も賛成して議決しました。いよいよ最大の正念場にさし
かかります。監視と行動を強めていきましょう。
安保法案成立、14日以降に=衆院再可決は回避-政府・与党(9月2日、時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2015090200757
民主、内閣不信任案を検討=首相問責案も(9月2日、時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2015090200379
統幕長「夏までに法整備終了」=昨年末の訪米時に説明−共産追及(9月2日、時事)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201509/2015090200731&g=pol
共産党新たな「自衛隊内部文書」(9月2日、TBS Newsi)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2578060.html
統幕長、米に昨年末「安保法案夏までに成立」 共産追及(9月2日、朝日)
http://www.asahi.com/articles/ASH925RHTH92UTFK01J.html
防衛相 安保法案 趣旨伝わっていない面ある(9月2日、NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150902/k10010214031000.html
安保法案 自民内も異論 総務会「デモ重い」意見相次ぐ(9月2日、東京)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015090202000136.html
【資料】参議院安保法制特別委員会(計45人)メンバーの要請先一覧
http://www.sjmk.org/?page_id=349
※FAX、電話での要請にお役立てください!
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【9月4日(金)参議院安保法制特別委員会 一般質疑】
※4時間、首相出席なし、NHK中継なし
13:00~13:30 山下雄平(自民)
13:30~14:05 蓮舫(民主)
14:15~14:40 小西洋之(民主)
14:40~15:05 川田龍平(維新)
15:05~15:30 井上哲士(共産)
15:30~15:45 山田太郎(元気)
15:45~16:00 和田政宗(次代)
16:00~16:15 水野賢一(無ク)
16:15~16:30 吉田忠智(社民)
16:30~16:45 山本太郎(生活)
16:45~17:00 荒井広幸(改革)
中継 http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php
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【9月4日(金)参議院安保法制特別委員会 一般質疑ダイジェスト】
※10~17時(6時間)、首相出席なし、NHK中継なし
ネット中継アーカイブ
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php
※カレンダーの日付(2日)をクリックしてご覧ください。
◆佐藤正久(自民)
「維新案の「武力攻撃危機事態」の国際法的根拠は?」
小野次郎(維新)「自衛権の行使だ」
佐藤「国連憲章第51条か?」
小野「それ以外に思いつくものがないのでそれだろうと思います」
佐藤「思いますじゃ困る」
佐藤「集団的自衛権か、個別的自衛権か?」
小野「徹頭徹尾自国防衛だ。両方とも該当するとの議論がある」
◆佐藤正久
「攻撃された国の要請、同意は必要か?」
小野次郎「日米安保の元で従来通り、ケースごとに当局同士で打ち合わせる」
佐藤「米軍等行動関連措置法の改正案で、輸送には核兵器などが除外され
ているが、保管、修理、整備には除外規定がない。どうしてか?」
小野「どういうものを整備しているか確認できる。業務の性格から明記す
べきものを書いた」
◆白眞勲(民主)
「全国300ヶ所以上で安保法案反対デモが行われた。国会周辺も大規模で
驚いた。なぜ市民のうねりが最大のものとなり、様々な世代に広がったの
か?」
中谷「様々なご意見がある。趣旨が十分伝わっていない方にも説明に努め
たい」
白「お答えを」
中谷「自らの考えを表現、行動するのは自由主義、民主主義の国で認めら
れている。そういう趣旨のもとで行動されている」
◆白眞勲
「核兵器の輸送に関する8月7日の答弁での、総理の「政策的選択肢のない
ものを議論するのはどうか」との発言は国会、国民を愚弄している。「俺
たちはやりっこないから議論する必要はない」と。どう思うか?」
中谷「国会は言論の府で発言は自由だ」
白「安倍政権の傲慢さが露呈した」
◆白眞勲
「小西洋之議員の質疑で総理は「アメリカと核の輸送はないと確認してい
る」と。いつ確認したのか?」
岸田外相「外交ルートで国務省、国防省に照会し、国務省日本部を通じて
確認した」
白「全くない話と言っておきながら、いつ確認したのか?」
岸田「8月7日以降に」
白「書面か口頭か?」
岸田「質問通告がなく形は確認できていない」
白「輸送は主体的に判断すべきもの。なぜわざわざ確認するのか?」
岸田「核輸送の要請はない。議論があり改めて確認した」
◆白眞勲
「井上哲士議員の「米国から依頼があれば劣化ウラン弾は輸送するか?」
との質問に、大臣は「現時点で安全性は承知していない。確定的にお答え
できない」と答弁した。8日後、「輸送は相当自衛隊に危険がある。当然
運ばないという前提で」と。なぜ変わったのか?」
中谷「運ばない点は一貫性がある」(速記止まる)
◆白眞勲
「中谷大臣は大塚耕平議員に「当然(劣化ウラン弾は)運ばないというこ
とで相手先と協議している」と。いつ誰と協議したのか?」
中谷「「協議している」は不正確な答弁だった。日米間で包括的な協議は
しているが、劣化ウラン弾を明示して協議したことはない」
白「虚偽答弁だ」
中谷「不正確だった。劣化ウラン弾については協議していない。この点は
撤回して修正したい」
鴻池「理事会で協議し、訂正を含めて図る」
◆白眞勲
「市街地で民間人を撃ってしまう「誤想防衛」で、「撃った自衛官に現行
刑法が適用」との答弁があったが、上官命令で発砲の場合、上官は処罰対
象になるか?」
中谷「個別具体的に判断するが、共同で実行したと考えられる場合は刑法
適用が考えられる」
白「その上の司令官は処罰対象になるか?」
中谷「上層の上官と命令した上官との関係が、共同して犯罪を実行したか
どうかで判断する」
白「上官が無罪になり得るケースがあるのはおかしい。まるで旧日本軍と
同じ。『私は貝になりたい』と同じではないか」
◆藤田幸久(民主)
「6月4日と15日の日本とイランの局長級協議で、イラン側から「ホルムズ
海峡封鎖の意図はない」との発言はあったのか?」
上村外務省中東局長「イラン大使の会見と同様のものがあった」
藤田「会議内容を2ヶ月も大臣に報告しなかったのはなぜか?」
上村「イランにそうした意図がないことは常に報告している」
藤田「ホルムズ海峡については立法事実がないとの確認でいいのか?」
岸田「特定国を想定していない」
◆前川清成(民主)
「参議院で昨日まで77回も審議が止まり、衆議院でも111回止まった。こ
のまま通ったら適正に執行されるのか、国民が疑問に思うのは当然だ。ど
うしてこんなに止まるのか?」
中谷「幅広い観点からいろんな質問がされている」
前川「答えが道理に合っていない。答えが変わる。答えが長いわりに理由
がない」
◆仁比聡平(共産)
「国会10万人、全国100万人大行動が行われ、人々の怒りが世代を超えて
重なり合い、文字通り国会を包囲した。菅官房長官の「国民に誤解がある」
との発言こそ大きな誤解だ。統幕内部文書について総理の「全く問題ない」
との答弁はとんでもない。武力攻撃事態を終結させる武力攻撃とは何か、
安全確保規定など、政府答弁も定まっていない」
◆仁比聡平
「内部文書は「防衛計画への反映を見据え、政府検討を踏まえつつ、省内
において検討を深化させる必要がある」と。「武力行使の範囲を検討する」
とは、成立後に検討を深化させ統幕を中心に原案を定めていくとの意味か?」
中谷「事柄の性質上、お答えを差し控えるが、一般論として法制内容の計
画への反映を図るのは当然」
◆仁比聡平
「武力行使の範囲については法案上は定まっていないということか?」
中谷「あくまで法律で定める。統幕で法案成立後に結論を出す」
仁比「矛盾している」「武力行使の範囲は無限定だ。「後に検討」の意味
をはっきりとさせてほしい」
中谷「範囲、内容は法律で決まっている」
仁比「文書で示すべきだ」
◆仁比聡平
「自衛隊法95条の2の米艦等防護で、ROE(武器使用基準)の整備をすると
ある。米統合作戦本部の「標準交戦規則」(SROE)は「先制的自衛」の概
念を包含していると指摘されている。自衛隊が検討するROEは米軍SROEと
符号しないと達成されないのではないか?」
中谷「ただちにROEの共通化にはつながらない」
仁比「では、いつかつながるのではないか」
◆仁比聡平
「米艦等防護には国会承認もなく、外国軍等からの要請と、大臣が必要と
認める場合だけだ。誰に対してどう下令するのか?」
中谷「どのような内容かは成立後に検討する」
仁比「何で関係ないことばかり答弁するのか? 質問時間をつぶすのはひ
どい。大臣がこんな答弁でやれるのか?!」
◆仁比聡平
「昨日のレクチャーでは「(米艦防護の)要請は外国軍司令部から統幕に。
大臣が部隊司令官に下令」と説明があった。これでいいのか?」
中谷「事と次第でNSC(国家安全保障会議)、総理、官邸と相談し判断する」
仁比「そんなことはどこにあるのか? その根拠は?」
中谷「より慎重な判断確保の観点から、NSCを含めて内閣の関与を確保する」
仁比「条文上の根拠をお答えにならない。根拠の報告を出してほしい」
◆仁比聡平
「宮崎元法制局長官は参考人質疑で、「米国武器が我が国防衛を構成する
との評価は問題だ。米軍に自衛隊と同様の権限を約束させないと容易に違
憲になる」と述べた。米軍に約束させられるか?」
中谷「極めて受動的、限定的で武力行使と一体化しないと担保している。
武力行使や戦闘には発展しない」
仁比「エスカレートして武力行使になり得る。米軍と肩を並べて戦うのは
明白な憲法違反だ」
◆仁比聡平
「河野克俊統合幕僚長は昨年12月17日、18日に訪米し、米国防総省幹部ら
と会った。どなたたちと会ったのか?」
中谷「ワーク国防副長官、デンプシー統合参謀本部議長、オディエルノ陸
軍参謀総長、スペンサー空軍副参謀総長、グリナート海軍作戦部長、スイ
フト海軍作戦部幕僚部長らだ」
◆仁比聡平
「私の手元に独自に入手した統幕長訪米時の結果概要を報告する防衛計画
部の文書がある。オディエルノ陸軍参謀総長の「ガイドラインや安保法制
は予定通り進んでいるか?何か問題はあるか?との問いに、統幕長は「与
党の勝利により来年夏までに終了すると考える」と述べた。実に昨年12月
に「夏までに」と述べている。大臣はどんな報告を受けたのか?」
中谷「ご指摘の資料は確認できていないので言及は控えたい」
仁比「来年夏までにと決まっていたのか。それとも統幕長は勝手に認識を
示したのか?」
中谷「資料がいかなるものか承知していない」
◆仁比聡平
「この「統合幕僚長訪米時の会談の結果概要について」との平成26年12月
24日付の報告書は存在するのでしょう?」
中谷「突然の質問であり、いかなるものか承知していない」
仁比「いつまでに確認できるか?」
中谷「拝見して判断する」
仁比「文書の存在と統幕長の発言について報告を出してほしい」
◆仁比聡平
「政府は沖縄の米軍基地の自衛隊との共同使用は検討していないと3月に
答弁していた。だが、河野統幕長は「キャンプハンセン、シュワブで共同
使用が実現すれば、日米協力が深化し住民感情も好転するのではないか」
と発言している。内局や大臣も知っていて3月に答弁したのか?」
中谷「3月の答弁は政府として考えていないということ。確認して答弁し
たい」
仁比「文書の提出を。ここで大臣に手渡したい」(手渡す)
◆又市征治(社民)
「新ガイドラインは日米安保や憲法の枠をはみ出し、法案の履行なくして
実行できない。まず国会に図るべきだ」「重要影響事態法6項の例外規定
で、捜索救難活動は継続される。戦闘に巻き込まれる恐れがあるのでは?」
中谷「原則として一時休止するが、既に救助を開始している場合、人道上
の観点から継続するが、部隊の安全確保の場合に限られる」
◆山本太郎(生活)
「八重山毎日新聞によれば、自衛官募集で戸別訪問やポスティングまでや
っている。中学3年生の保護者から、「どうして個人情報を知っているのか?
戸別訪問まで」との声があがっている。沖縄地方協力本部の石垣出張所長
は「以前からやっている。防衛事務次官通達もある」と。だが、防衛事務
次官の通達を読んでも、戸別訪問できるとは書いていない」
中谷「住民基本台帳閲覧による募集対象者情報の取得に関して説明したも
のであり、戸別訪問のことではない」
山本「所長が間違っているなら指導した方がいい」
◆山本太郎
「平成27年度沖縄地方協力本部の情報提供依頼文書では、宮古市は1年代、
名護市は9年代とばらつきがあるのはなぜか?」
中谷「過密や過疎の地域があり、規模や状況を踏まえて依頼範囲を判断し
た。住民基本台帳の閲覧申請書の年代のばらつきについても同様だ」
◆山本太郎
「中谷大臣は、「徴兵制は憲法18条の「意に反する苦役」で自由と民主主
義に反する」と述べ、隊員募集は「7倍以上の倍率」と自信持って答弁さ
れた。ならば、ダイレクトメールや戸別訪問は必要ない。本人や保護者の
意に反するダイレクトメールや戸別訪問はやめるべきだ」
中谷「対象者の個人情報収集拒否の意向は尊重する」
◆山本太郎
「こっちから「やめてくれ」と言わないとやめないのか。平成26年度の高
卒年齢のダイレクトメール経費は約2千万円。一通50円から80円。50円な
ら40万通。80円なら25万通だ。高校3年生の人口は118万人だから、40万通
なら34%、25万通なら21%。全員分でなく、送る人間を選別している。4
情報以外を収集しているのではないか?」
中谷「しておりません」
山本「何人分収集しているかの資料を一向に出そうとしない。審議が終わ
ってから出すのではないか。速やかに提出を」
◆山本太郎
「今後、隊員募集にマイナンバーを使うのではないか?」
中谷「税・社会保障で使うものであり、隊員募集では利用できないし、予
定もない」
山本「使うことはないと断言を」
中谷「幅広く人材の勧誘や確保に努めている。マイナンバーが出来たから
といって方法を変更することはない」
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発行:集団的自衛権問題研究会
代表・発行人:川崎哲
News&Review特別版 編集長:杉原浩司
http://www.sjmk.org/
ツイッター https://twitter.com/shumonken/
※ダイジェストはツイッターでも実況発信中です。ぜひフォローを。
◇『世界』8月号に当研究会の論考が掲載されています。
ぜひご一読ください。
http://www.sjmk.org/?p=300
◇『世界』7月号、6月号にも論考が掲載されました。
http://www.sjmk.org/?p=194
http://www.sjmk.org/?p=118
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion5643:150903〕
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