一体化した「脱原発」と「反安保法」 - 一体化した「脱原発」と「反安保法」 -
- 2015年 9月 25日
- 時代をみる
- 原発安保岩垂 弘
9月23日午後、東京・代々木公園で、市民団体による「さようなら原発さようなら戦争全国集会」が開かれた。安倍政権が国民多数の反対を押し切って川内原発(鹿児島薩摩川内市)を再稼働させたうえ、安保法を国会で成立させた直後とあって、全国各地から2万5000人(主催者発表)が集まった。「脱原発」の運動を進めてきた人たちと、「反安保法」の運動を進めてきた人たちが合流した形で、一本化した流れは今後、「安倍政権打倒」に向かうことになる。
全国集会を主催したのは、経済評論家・内橋克人、作家・大江健三郎、作家・落合恵子、ルポライター・鎌田慧、作曲家・坂本龍一、ノンフィクション作家・澤地久枝、作家・瀬戸内寂聴の7氏を呼びかけ人とする「さようなら原発一千万署名市民の会」。
同会は「脱原発」を目指し1000万筆を目標とする署名運動に取り組んでいる。今回の全国集会も、これを計画した時は、川内原発の再稼働に抗議するのが主な狙いで、集会のタイトルも「さようなら原発全国集会」とする予定だった。
しかし、安倍政権が7月15日に安保法案を参院特別委で強行採決したのを機に、安保法案反対の運動が全国各地で高揚。このため、全国集会のスローガンに「再稼働やめろ」「川内原発とめろ!」「フクシマかえせ!」などと並べて「戦争法案反対」「憲法壊すな」「戦争させない!」などを加え、集会のタイトルも「さようなら原発さようなら戦争全国集会」に変えた。そして、安保法案に反対する運動を続けてきた「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が集会の協力団体になった。
会場を埋めたのは、自治労、日教組、全農林、全水道、JR総連、私鉄総連、国労など旧総評系の労組員と、パルシステム生協連合会、生活クラブ連合会、なのはな生協などの組合員・職員、平和団体の関係者、学生、東電福島第1原発事故の被災者ら、それに一般市民。一般市民では、個人や夫婦でやってきた人たちが目立った。個人では、自らの主張や願いを書いた手製のブラカードを掲げた人が多かった。
午後1時30分から始まった集会では、各界の関係者が発言。
澤地久枝さんは「福島原発事故がまだ収束していないのに、安倍首相は、原発事故はアンダーコントロールされていると言ってオリンピックを招致した。しかし、原発事故の処理は進んでいない。そのうえ、川内原発を再稼働させた。こんなことで、世界の選手は日本に来るでしょうか。加えて、安保法を成立させた。それなのに、安倍内閣の支持率は30%を下らない。これでは、国民はなめられてしまう。なんとしても支持率を20%台にしなくては。そうなれば、退陣せざるえなくなる。国民1人ひとりに訴えて支持率20%台を実現しましょう」と訴えた。
SEALDs(シールズ=自由と民主主義のための学生緊急行動)の奥田愛基さんは「法案が通ったのは負けで、それを重く受け止めなければいけないかもしれない。これまでと違ったやり方を試さなくてはいけないかもしれない。しかし、我々にはすでに準備ができている。政党政派、保守・革新、護憲・改憲を超えて我々は安倍政権を倒す」と述べた。
大江健三郎さんは「私たちは70年間、平和と民主主義の下で生きてきた。それが破壊されるという最も危険な時期を迎えている。これに抵抗してゆこう。無力な人間としては、若い人たちが運動に参加してきているのが唯一の望みだ。若い世代が志を維持することを心から願っている」と話した。
最後に鎌田慧さんが「安倍首相に理性を取り戻させよう。安倍首相退陣まで闘おう」と訴えた。
午後3時15分、参加者は原宿・表参道、渋谷の2コースに分かれてデモ行進に出発したが、歩きながら口々にシュプレヒコールを繰り返した。「原発とめろ」「9条守れ」。ここでも、「脱原発」と「反安保法」が強調され、これから先の運動課題がこの2つを結びつけたものであることがうかがえた。
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