開き直って「一億総活躍担当大臣」とは!
- 2015年 10月 13日
- 評論・紹介・意見
- 安倍小澤俊夫
メール通信「昔あったづもな」第54号
彦根、相模、横浜そして田沢湖と昔話の研究会をしてきた。田沢湖では山は紅葉が始まっており、空は澄み渡り、湖水は真っ青ですばらしかった。だが安倍首相は内閣改造にあたり、「一億総活躍プラン」を作るために、その担当大臣を任命したという。聞いて呆れた。
安倍首相が唱えた「日本を取り戻す」とは、「軍国主義日本を取り戻す」だったことがこれではっきりした。
あの戦争を経験しなかった若い人には結びつかないだろうが、戦争中には「一億総動員」とか「一億一心」、「進め一億火の玉だ」、「一億玉砕、本土決戦」という言葉が新聞やラジオに毎日書かれ、叫ばれていた。戦争体制そのものを表す言葉なのである。国民一人一人の生活や感情は問題ではない。一億の国民は、自己を捨てて国の一部になれ、そして命を差し出せ、という言葉なのである。その上、1945年の敗戦の時には、「こうなった責任は国民全体にある。天皇に対して申し訳なかった。その意味で一億総懺悔しなければならない」という声が強く上がったのである。
天皇制のもと、国家の支配者たちが、国民を一塊の道具として使った言葉なのである。そこには、個人の生活とか感情などはそもそも勘定のなかに入っていなかった。個人の自由などと言おうものなら、「危険思想の持主」として検挙されたり、社会から追い出されたりした。あるいは、狙い撃ちされて「赤紙」で軍隊に召集されたのである。軍隊に入れられたら、もう個人の意見は全く言えない。すべては「天皇のご命令」で動く。もちろん実際には天皇が発言するのではなく、一階級上の上官の命令であるにすぎない。だが、絶対に服従しなければならない。「一億」という言葉は、国民をそういう、お上に絶対的に服従する者として把握してきた言葉なのである。
今、安倍首相の口からそれが出てきた。
安倍首相は戦争法案を成立させたと強弁して、これからは国民を勝手気ままに引っ張りまわせると思いこんで、国民を「一億」とまとめたのだろう。だが、そうはさせない。そもそも、あの戦争法案は国会で可決されていない。
次の参議院選挙では、必ず自民、公明党に大打撃を与えよう。落選運動を展開しよう。今から、その準備をしなければならない。(2015.10.9)
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