本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(104)
- 2015年 11月 5日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
イエレン議長のスピーチ
9月24日に行われた「イエレン議長のスピーチ」には、たいへん驚かされたが、この理由としては、「内容が、歴代のFRB議長とは、大きく違っていた」という点が挙げられるようだ。つまり、私自身としては、「イエレン議長の経歴」から、「金融面での知識も実践経験」も十分であり、また、「グリーンスパン氏」や「バーナンキ氏」などから、「過去の経緯を、よく引き継いでいる」ものと想定していたが、今回のスピーチを読むことにより、考えを新たにする必要性に迫られたのである。
具体的には、「イエレン議長は、1960年以降の金融情勢を、最も重要視しているのではないか?」ということであり、また、前任者たちとは違い、「金融システムや通貨制度の歴史に、あまり明るくないのではないか?」とも感じたのである。そして、「インフレの長期トレンド」という、きわめて単純な指数を、過度に信用しているようにも思われるとともに、「金融政策が改善されたことにより、今後、1970年代のようなインフレが起きることはない」という考えを持っているようにも感じたのである。
つまり、「金融政策の実施により、さまざまな経済指標はコントロールできる」というような「誤った考え」を持っているようにも感じたが、かりに、この点が正しいとすると、今後、「イエレン議長が、世界的な金融混乱を引き起こすキッカケになる可能性」も出て来たようである。別の言葉では、「学術を以て天下を殺す」という「勝海舟が、明治維新の時の述べた言葉」が、世界的に起きる可能性のことだが、この点については、年内にも、結論が出るようにも感じている。
具体的には、「アメリカの利上げ」のことだが、現在、「イエレン議長」は、「インフレの長期トレンドが、2%を大きく下回っている」という点に注目し、「金利を年内にも上げるべきである」という考えに凝り固まっているようである。つまり、「過去の経緯」を無視し、また、現在、「世界に、どれだけの金融資産が存在するのか?」などを考えずに、単純に、「利上げ」を実行しようとしているようにも思われるのである。
別の言葉では、「米国の利上げ」が、その後、世界の「金融システム」や「通貨制度」に、「どのような影響を与えるのか?」について、きわめて単純な考察しか行っていないようにも感じているが、前述のとおりに、「年内にも、この点に関する結論が出る状況」であり、この時に、最も大きな影響を受けるのが、「日銀」だと思われるが、実際には、「0.5%の利上げ」で、「日銀の資金繰りが行き詰る可能性」のことである。(2015.10.5)
-------------------------------------------
天の大任
中国の古典である「孟子」に、「天の将(まさ)に、是の人に大任を降(くだ)さんとするや・・・」という有名な言葉があるが、内容としては、「天が、ある人に大きな役割を与える場合、その前に、ありとあらゆる困難な経験をさせる」というものである。そして、この理由としては、「天地自然の理を理解させるために、人智の限界を試させる」ということだと考えているが、現時点での感想としては、「この言葉は、ある特定の人物に当てはまるだけではなく、日本人全体にも応用できるのではないか?」ということである。
つまり、過去数十年の「日本」を見ると、「バブルの崩壊」以降、「失われた20年」や「歴史的な速度で進行する少子高齢化」、また、「3・11の大震災」や「原発事故」など、実に、さまざまな大困難に見舞われたことが理解できるのである。しかも、今後は、「国家財政の破綻」や、その結果として予想される「年金、健康保険などの破綻」が起きる可能性が高くなっており、最後の段階では、「神も仏もあるものか?」と叫びたくなるほどの困難な状態に陥る可能性も存在するのである。
しかし、一方で、「天は、その人に、耐えることができない試練は与えない」とも言われており、このことは、「気付きが築きに繋がる」という言葉のとおりに、「過ちに気付いた時に、新たな時代が築かれる」ということを意味しているものと考えている。つまり、「節から芽が出る」という言葉が意味するように、「困難に直面した人々が、さまざまな悩みや苦しみを経験し、その後、間違った点を修正することにより、全く新たな時代が始まる」という状況も想定されるのである。
しかも、現在では、「文明法則史学」が教えるとおりに、世界の人々は、「1600年に一度」とも言うべき「節目」に直面しているようだが、この時に、最も大切なことは、「聖書」にある「神とお金との関係性」でもあるようだ。具体的には、「神とお金とに、同時に仕える事が出来ない」というものであり、私自身としては、「800年ごとに、お金の時代と神の時代が、交互に訪れる」という意味を持っているものと解釈しているが、現在は、まさに、「お金の時代」が、終焉の時を迎えているようにも思われるのである。
そして、今後は、「天地自然の理」を理解することにより、「自然と調和した新たな文明」が築かれるものと考えているが、その前に起きることは、やはり、「神様となった現代の通貨」に関して、前代未聞の規模で大事件が起きる可能性であり、この点については、たいへん時期が近くなってきたようにも感じられるのである。(2015.10.5)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion5755:151105〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。