17日のご報告と本日午前10時からの「潜水艦売るな!」官邸前行動のご案内
- 2015年 12月 18日
- 評論・紹介・意見
- 杉原浩司
いよいよ本日12月18日、オーストラリアのターンブル首相が日帰り来日し、安倍首相と首脳会談(夕方頃)を行います。そこでは、総額4兆円を超すビッグプロジェクトである豪州への潜水艦輸出(共同開発・生産)も議題に上ります。安倍首相による恥ずべき「トップセールス」が繰り広げられることでしょう。まさしく「死の商人国家」への道です。
昨日17日午後には、オーストラリアに潜水艦を売るな!「武器輸出反対ネットワーク」発足記者会見を行いました。まず、ネットワークに賛同される立場から、並木麻衣さん(日本国際ボランティアセンター・パレスチナ事業担当)、志葉玲さん(フリージャーナリスト)、井筒高雄さん(元陸自レンジャー隊員)の発言を受けました。さらに、豪州のNGO「戦争防止医療従事者協会」(MAPW)と豪州緑の党のスコット・ラドラム上院議員からの声明と、続々と届いている様々な方々からの賛同メッセージを紹介。
賛同者の一人である髙坂勝さん(『ダウンシフターズ』著者)が飛び入りゲストとしてコメントされました。内容の濃い会見となりました。
※本日18日の東京新聞、神奈川新聞、共同通信などの記事やIWJの中継アーカイブ、田中龍作ジャーナルなどをご覧ください。
【IWJ動画アーカイブ(12分から)】
http://www.ustream.tv/recorded/80003064
また、夕方の官邸前行動には、冷たい風が吹く中、約60人が参加。英語も含めたコールを交えつつ、多くの方の力のこもったスピーチが続きました。
本日18日、ターンブル首相来日の当日、午前10時より1時間、連日の官邸前行動を行います。平日午前ではありますが、可能な方はぜひご参加ください。
※後半に豪州の「戦争防止医療従事者協会」(MAPW)の声明と武器輸出反対ネットワークの発足宣言を付けました。ぜひお読みいただきたい内容です。ご一読ください。そして、周りの方々にもご紹介ください。
<連日の官邸前行動>
「オーストラリアに潜水艦を売るな!」「太平洋を平和の海に!」
「死の商人にはなりたくない!」(英文も)等の横断幕を掲げてアピールします。
◆オーストラリアに潜水艦を売るな!12.18官邸前アクション
12月18日(金) 午前10時~11時
首相官邸前(国会議事堂前駅)
※国会議員の発言も予定。
【問合せ先】 090-6185-4407 (杉原)
呼びかけ:武器輸出反対ネットワーク
Twitter https://twitter.com/AntiArmsNAJAT
Facebookページ https://www.facebook.com/AntiArmsNAJAT/
★池内了さん、志葉玲さん、雨宮処凛さん、田巻一彦さん、鎌田慧さん、中野晃一さん、千葉眞さん、井筒高雄さんらの賛同メッセージを掲載しています。今後も続々とアップしていきます。ぜひご覧ください。
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※ピースボートのメリ・ジョイスさん、川崎哲さんの調整により届いたものです。翻訳されたスタッフの方々にも感謝します。
◆「武器輸出反対ネットワーク」に寄せられたオーストラリアの「戦争防止医療従事者協会」(MAPW)による声明
2015年12月16日
「戦争防止医療従事者協会」(MAPW)は、オーストラリアが日本の潜水艦を調達する提案に対し、さまざまな理由から大変危惧しています:
潜水艦の調達は、自国の独立した戦略的な利益によって決められる必要があります。現在オーストラリア政府は防衛白書を準備しており、長期的な防衛能力についてもっとも重要な指針をそのなかで規定しています。現在の防衛白書はまだ発表されていないため、オーストラリアが潜水艦を購入することや、最新鋭の潜水艦を購入する合理性などはまったく明らかにされていません。
潜水艦隊の購入は250億豪ドル~400億豪ドルという巨額の支出です。これはオーストラリア全体の年間防衛予算290億豪ドルに匹敵する規模だということを考慮すれば、とても大きな金額です。何を購入するにも、国防の戦略的利益を最優先すべきですし、そうした決定は、防衛白書で提示された戦略的な方向性をしっかり検討した後でなされるべきです。
これほど大規模な調達規模であれば、選定の過程にしっかりとした透明性が求められます。 選定が公の見えないところで進み、選定理由も明確でない一方で、日本政府関係者が受注への自信があることをはっきり断言してきたことも懸念しています。
MAPWは潜水艦購入が地域に与える影響についても懸念しています。日本から潜水艦を調達するということは、日本が長年守ってきた武器輸出禁止の原則を破り、新たな軍産複合体の台頭を助長しかねません。そしてインドやフィリピンなどの他国への武器売却が後に続くことになってしまうでしょう。ちょうど銃製造会社のように、武器製造会社にも、世界各地の軍備増強への強い動機があります。契約期間が何十年にも及ぶこの巨大な規模の潜水艦輸出契約は、日本の再軍備の動きをいっそう加速させることにもなるでしょう。オーストラリア市場向けに日本が潜水艦を建造することは、日本が長年堅持してきた主要防衛装備の輸出禁止政策をやめることを意味します。
アジア太平洋地域での軍備増強は、何十年間も平和的に共存してきた国家間の緊張を高めることにもなります。日本からの潜水艦調達は、現在の国際関係の不安定化につながる恐れがあります。
オーストラリア政府は、日本の潜水艦を購入するべきではありません。
MAPWは、オーストラリア政府に対し、戦略的政策を提示した防衛白書が公表されるまで、いかなる決定も延期し、巨額の防衛費支出について、透明性の高い選考手続きを踏まえることを求めます。
MAPWは、日本の武器輸出解禁後の最初の武器輸出への大きな一歩となってしまう調達契約に反対する、日本の平和活動団体や市民への強力な支持を表明します。
MAPWは、実り多く、平和的で、双方にとって有益な二国間の貿易関係を将来的にも維持していくことに重点を置くようにオーストラリア政府に求めます。
マーガレット・ビーヴィス医師、MAPW会長
/ Dr Margaret Beavis, President, MAPW
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◆武器輸出反対ネットワーク(Network Against Japan ArmsTrade[NAJAT])
発足にあたって
二度にわたる世界戦争を経験した20世紀を経て、21世紀は平和の世紀であることを期待されていました。しかし、いま、世界は紛争や「テロ」といった暴力の連鎖に苦しんでいます。
紛争や「テロ」は、武器という存在を抜きにして語ることはできません。
紛争地には、武器商人や関係国の思惑のもと大量の武器が流れ込み、対立をより非人道的で、深刻なものにしています。商品としての武器は紛争の原因ともなっているのです。
大量の武器が流入し、膨大な犠牲をうみだしたカンボジア紛争では、「あらゆる国々の武器があるが、カンボジア製のものはない」と言われました。私たちは、「日本製の武器もなかったはずだ」と言えることを、誇りに思います。
戦争を放棄し、戦力の保持を禁じた平和憲法のもと、日本は戦後70年間、軍隊が殺すことも殺されることもなく過ごしてきました。さらに、憲法は第9条2項において、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と定め、この精神のもと、日本は先進諸国の中では例外的に武器輸出を禁じてきました。それは、日本の政府やNGOが国際社会に軍縮を主張する際にも、きわめて大事な拠りどころとなってきた事実です。
しかし今、日本は、「積極的平和主義」と称して安保政策を転換している安倍政権のもと、これまで武器輸出を実質的に禁じてきた武器輸出三原則を閣議決定のみで撤廃し、新たに防衛装備移転三原則を策定しました。
いま、日本は国策として武器輸出を進める国家――「死の商人国家」へと突き進もうとしています。
武器の本質とは、“人間をより効率的に殺害するための道具”であることに他なりません。私たちは、全面的な軍縮を通じて「武器のない世界」を追い求めながら、まず、自らの足もとから、武器輸出に反対するために行動します。
産業政策として武器生産をとらえることは、紛争を商機としてとらえる「死の商人」を国内に育成することになりかねません。いったん軍産複合体、「兵器ムラ」が誕生したときには、「原子力ムラ」がまさにそうであり続けているように、民主的な政策形成をさまたげ、一部の者の利害に多数の人々を犠牲にする結果を生み出すことにつながるでしょう。私たちは、産業政策として武器輸出をとらえること、また、大学や民間企業で軍事研究を奨励することに強く反対します。
「Made in Japan」を、平和産業の代名詞に。私たちはそのために「武器輸出反対ネットワーク(英名 Network Against Japan Arms Trade) 」を立ち上げ、声をあげていきます。
2015年12月17日 武器輸出反対ネットワーク
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion5818:151218〕
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