リビアのシルトIS拠点
- 2016年 2月 8日
- 時代をみる
- イスラム国リビア平田伊都子
2015年2月16日、21人のエジプト人出稼ぎ労働者をリビアの地中海海岸に跪かせて、ISイスラム過激組織の出稼ぎテロリストが首を切りました。 アフリカ人を昔の奴隷船のように詰め込んだ移民漁船で、リビア沿岸からイタリアやギリシャへ密航させてきたのも、移民斡旋を商売とするISの仕業です。 ブレガ石油施設などのリビア天然資源施設への攻撃、、欧米が産んだIS 悪魔集団はこの2,3年、生き生きとリビアで暴れまくっています。
2011年10月20日にリビアを統率していたカダフィーが惨殺された後、タガが外れたリビアの諸部族は夫々の私兵を繰り出し、無政府状態になってしまいました。 IS悪魔集団にとって、こんなに居心地の良いソドム(背徳の地)はありません。 住民も少ない、しかも硫黄分が少ない良質の石油がたっぷりある、、そのうえ、地中海沿岸に面しているので、石油の輸送も楽々、、 かって、リビア石油を狙ってリビアを潰した欧米が、再度リビアに戻ってくるまで、IS悪魔集団にとってリビアは天国なんでしょうね?
(1)アジュダビヤ空爆:
2015年6月14日、米国防総省は、13日にリビア東部のアジュダビヤでアルカイダに属するテロリストに対して空爆を行ったと発表した。同日、東部トブルクのリビア政府は、米軍がリビア政府との調整によってリビア東部のテロ組織を空爆し、テロリストのムフタール・ベル・ムフタールを殺害したとの声明を発表した。しかし、殺したはずのムフタールは、2015年11月20日にマリの首都・バマコで外人用高級ホテルを襲い27人を殺し、2016年1月15日にはブルキナファソのワガドゥグでもホテルとレストランを襲い30人を殺した。ムフタールはMUJAOという名のアルカイダ系テロリスト組織の親分だ。2013年にはアルジェリアにある天然ガスプラントを襲撃し、10人の日本人従業員を虐殺した。
2015年11月14日、米国防総省のクック報道官は、米軍がリビアで13日に過激派組織「イスラム国」のアブ・ナビル幹部を標的に空爆したことを明らかにした。アメリカは着々とリビア復帰のチャンスを狙い、きっかけを作ろうと企んでいる。
アジュダビヤは石油施設ブレガに近い砂漠の町で、カダフィーの人口大河の水が、最初に注ぎ込まれた貯水池のある所だ。筆者はその注水式を取材した。あの時のカダフィーはカーキ色の日除け帽子に半袖のシンプルなシャツで、爽やかだったなあ、、人口大河とは、リビア砂漠の南部に湧く豊富で良質な地下水を、2000キロ、3000キロと離れたベンガジやトリポリに運ぶ、直径4メートルの長い長い水道管のことを言う。
米軍は命の水を運ぶ人口大河も爆破したのだろうか?
(2)シルトにISがお引っ越し:
2016年2月3日、BBC英国TVがリビア高官イスラミック・シュクリのインタヴューを放映した。彼によると、「ここ数か月間に、イラクやシリアからISイスラム過激派組織の幹部複数がリビアに移動した。ISのイラク人幹部は故サダム・フセインの残党だ。外国人傭兵が大量にシルトに到着している」と語った。2月2日の国連安全保障理事会の<国際テロ組織アルカイダに対する制裁委員会>が、「すでにIS戦闘員の3,000人以上がリビアに集結。シルトには1.500人以上を配備」と、発表している。
2016年2月6日、チュニジア防衛大臣ファルハが、「チュニジアはリビアとの国境に200キロの反テロ防禦壁を作った。砂の土手と水壕でできた壁だ。3,000人以上のチュニジア人がIS 参加し、その多くがシルトに合流している」と、発表した。
(3)シルトってどんなとこ?:
シルトはトリポリとベンガジを結び、リビア砂漠の中心都市セブハに向かう道路の分岐点にある地中海に面した町だ。が、惨殺されたリビアの指導者ムアンマル・アブー・ム二ヤール・アル・カダフィーがこの地に生まれなかったら、名もない砂漠の外れにある小さな集落のままだったかもしれない。筆者がカダフィーの姉さんやおじさんを訪ねて入ったシルトは、素朴で暖かいカダフィー部族のアジトだった。テント型の巨大な国際会議場ワガドゥグ・コンベンションセンターや、行政機関や全国人民会議などが建設される以前のことだ。カダフィーのお姉さんもおじさんも、カダフィーに先立って天国に行ってしまった。残されたカダフィーの甥っ子も姪っ子も、ラクダの糞でバックギャモンを楽しむ長閑な人達だ。凶暴なISテロリストとは、およそ縁が遠い。
中小武装勢力が割拠し戦国時代のリビアに目を付けたISは、西のトリポリ政府と東のトブルク政府の間にあるシルトに拠点を置いた。そして、IS要員は地元住民ではなく、前述のリビア人高官によると、シルトISの70%は外国人傭兵で、大部分はエジプト人、チュニジア人、スーダン人といった外国人、いはば不法移民労働者たちということだ。シルト近郊の小漁村から出港する不法漁船で不法移民商売をするISは、アフリカの不法移民をIS所属のアフリカ不法移民に運ばせているということになる。
(4)何でも知ってるアメリカ?:
2011年10月、トリポリにいたヒラリーの命令で、シルトにいたカダフィーの一族郎党は襲撃され、10月20日にカダフィーは故郷シルトで惨殺された。
2012年9月11日、リビアの東部ベンガジにあるアメリカ領事館にイスラム厳格派「サラフィスト」などを中心とした2000人が押し寄せ、反米スローガンを展開。午後10時頃、武装した集団が領事館への攻撃を開始し、ロケット弾や自動小銃を乱射しながら大使館を囲むコンクリート壁によじ登り、空に向け発砲した後に敷地内に侵入し、放火や略奪を行い、対戦車砲を領事館に撃ちこんだ。また領事館の近くにある農場からも携行式ロケット弾が発射された。スティーブンス大使らは自動車で避難しようと試みたが車両ごとロケット砲で襲撃され、大使と職員3人の合計4人が殺害された。9月13日、アメリカ国務長官ヒラリー・クリントンは、死亡した4人の内2人が、米ネイビーシールズ米海軍特殊戦コマンドの元隊員で私設傭兵のタイロン・ウッズとグレン・ドハティであると公に認めた。
アメリカ国務長官がNATOをけしかけて強行したリビア侵略なんだから、、カダフィに「悪魔独裁者」のレッテルを貼って殺し屋を送ったのはヒラリーなんだから、、結局、ヒラリーが引き金を引き、リビアは崩壊したということになる。
ヒラリー・クリントン元米国務長官の電子メール機密漏れが、2014年10月から問題になり始め、今も現在進行中です。 そのうちの300通はベンガジ問題を調査する下院特別委員会に提出されました。 結果はどうなったんでしょう?
ヒラリーのメールがどんどん公開されて、リビア崩壊とカダフィー暗殺の真相も、早くばらされることを願っています。
ヒラリーを国務長官に据えたオバマ大統領殿、あなたも同罪です。 懺悔の想いを籠めてFBIを援護射撃し、真実を明らかにしてください!
文:平田伊都子 ジャーナリスト、 写真:川名生十 カメラマン
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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