アメリカ人は馬鹿じゃない! - 米大統領予備選からブッシュを追放、次はクリントン? -
- 2016年 2月 22日
- 時代をみる
- アメリカバーニー・サンダーズ平田伊都子
ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事(63)は20日、米大統領予備選が行われた南部サウスカロライナ州で支持者に向かって、選挙戦からの撤退を発表しました。 ジェブは、ご存知イラク戦争の戦犯であるジョージ・ブッシュ元大統領の弟です。 ブッシュと同じく前評判では、民主党大統領候補指名間違いなしと自負してきたヒラリー・クリントン元国長官、、 社会主義者のバーニー・サンダースに追い上げられてアップアップしています。 彼女もイラク戦争を支持し、<アラブの春嵐>に火を点けた戦犯です。 憎まれ口をたたくトランプはアンチ・イラク戦争です。 ブッシュ元大統領にぶら下がるジェブに向かって、「イラク戦争は間違いだった!」と、攻撃しました。 良くも悪くも正直な人です。
(1)オバマVSトランプ、法王VSトランプ:
2016年2月16日、米国と東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議のためカリフォルニア州を訪れていたオバマ大統領は、記者会見でドナルド・トランプに関する質問を受け、「トランプは大統領にならないと信じている」と、明言した。「大統領は真剣な仕事だと、国民は思っている。私は国民を信頼している。トランプを大統領に選ばない」と、述べた。さらにオバマ大統領は、「大統領職は、トーク番組とかリアリティー番組の司会とは違う。プロモーションでもマーケティングでもない、大変な仕事だ。ニュースの話題になるためなら、何でもやる、何にでも媚びるという類のものではない」と、マジ顔でトランプを批判した。
これに対してトランプは、「アメリカに大損害を与えた大統領にけなされるのは、褒められているようなもんだ」と、切り返した。
2月16日、ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は、メキシコから帰路の機中会見で、米大統領選でトランプについて問われ、「橋ではなく壁を築くことを考える人は、キリスト教徒ではない」と述べた。これに対し、トランプ氏は「宗教指導者が他人の信仰を疑問視するとは恥ずべきことだ。俺は紛れもないキリスト教徒だ」と反論し、「お祈りだけしてろ!俺が大統領になるよう祈ってろ!!」と支持者の前で捨て台詞を吐いた。
(2)トランプのご意見:
2016年の2月も末に近づくと、マスコミも一般アメリカ国民も、何かあるとトランプにお伺いをたてるようになってきた。アップル・ソフトウエア多国籍企業とFBIの裁判事件がその一例だ。ことは、FBI=連邦捜査局が死亡したテロ容疑者のアイホンのロック機能を解除できず、FBIを管轄する司法省は裁判所を通じて、製造元のアップルに対してロック機能の解除に協力するよう命令したが、アップルは2月16日に拒否したことから騒動が持ち上がった。これを受けて司法省は19日、裁判所に対して、協力を促すようアップルに強く命じることを改めて求める異例の要請を行った。要請では「アップルは、技術的にはロックを解除できるのに、ビジネス・イメージを気にして協力することを拒んでいる」と強く批判している。一方のアップルは「協力を拒む理由として、これが前例となれば、政府が利用者のメッセージの傍受や居場所の追跡などを行うソフトの開発をアップルに強いることもできるようになる」と、反発している。
そして、ここでトランプの登場となる。トランプは19日のサウスカロライナ州での集会で「アップル製品をボイコットしよう!」と主張。集会後はツイッターに「これからはサムスン電子の製品だけ使おう!」と投稿し、アップルにFBIの捜査への協力を迫った。
アメリカ国民はトランプの言うことに耳を傾ける。一刀両断に切り捨てる小気味良さが、アメリカ人に受けているようだ。残念ながら、オバマの意見を聞かなくなってきた。もう、トランプがアメリカ大統領みたいだ。トランプの横で頷く大統領夫人候補は文字通りのスーパーモデルで、オバマ夫人には太刀打ちできない。あの、格差反対デモでセントラルパークに立てこもった99%派のニューヨークっ子たちが、「次期大統領はトランプ」と、言うようになってきた。ヒットラーが台頭してきた時のような、雰囲気だ。ちなみにトランプはドイツ系移民だ。
(3)アメリカ・ユダヤ人のお好みは:
2016年2月⒛日のサウスカロライ米大統領予備選挙結果を受けてイスラエル紙ハーレツは、「トランプは共和党大統領指名争いで、トップに立った。しかし、彼はフォックス・ニュースに噛みつき、9・11テロ対策でのブッシュ前大統領をこき下ろし、ローマ法王をこけにした。彼にははっきりした政策も目標もないうえに、昨日言った事を今日ひっくり返す。彼は女性も中南米人も黒人も手当たり次第に侮辱し、「アメリカを再び偉大にする」というスローガンを叫ぶ。この一言で彼のファンは参ってしまう」と、分析している。そして、「ユダヤ系アメリカ人が支持する共和党の希望はマルコ・ルビオしかいないのでは?」と、語っている。ドイツ系アメリカ人のトランプは、ユダヤ系アメリカ人のお好みではないらしい。トランプも「お前ら(アメリカのユダヤ人財閥)は俺を支持しないんだから、俺もお前らの金を当てにしない。これって、クレイジーか?」と、強がってみせる。彼の娘、イヴァンカはユダヤ教徒で、自動的に彼の孫はユダヤ人になる。
2月の初めに行われたユダヤ系アメリカ人の共和党集会で、トランプは「俺に任せてくれたら、もっとうまくイスラエルとやっていける」と、ユダヤ教に精通していることを強調している。これって、、マジ?
(4)イスラエル・ユダヤ人のお好みは:
2016年2月⒛日のイスラエル紙ハーレツによると、「アメリカには、二人の偉大なユダヤ人がアメリカ大統領選挙にからんでいる。一人目は大富豪のアデルソンで、二人目は大統領候補のバーニーだ。アメリカに移住したユダヤ人にとってこの大統領選挙は、ユダヤ社会主義の伝統とユダヤ資金の活用という、外見上は相反する問題をつきつけている」と、分析している。特にアデルソン財閥の金が共和党大統領候補の誰にわたるのか?注目の的になっている。アデルソン旦那はマルコ・ルビオが、アデルソンかみさんはテッド・クルーズがお気に入りだそうだ。これからの大統領予備選を見てどっちにするか決めるそうだ。
もう一人のアメリカ大統領候補バーニー・サンダースに関して、イスラエルのユダヤ人は暖かく応援している。バーニーは純血のユダヤ系アメリカ人だ。
バーニーは学生の頃、イスラエルのキブツで学んだことがある。キブツはヘブライ語で<集団>を意味し、集産主義的共同村で、そこで社会主義に基づいた共同生活をする。
2月17日、キブツの同窓生たちが、「我々が若いころ、ユダヤ人がアメリカ大統領になれるなんて夢にも思ってなかった。バーニーには頑張ってほしいね!」と、キブツ本部からエールを送った。2月9日、ガイ・ポルニクがイスラエル紙ハーレツに、「74才のユダヤ爺さんがアメリカの体制をどうやって変えていくのか?貧しい人々はアイホン持ってるか?サンダースは無視された、そして馬鹿にされた。しかし、刻々と無力無能になっていくアメリカの体制を変革できるスーパーマン、、それは多分、彼に違いない」と書いた。
イスラエル紙ハーレツの<2016U.S.選挙>特集項では、「もし我々が元イスラエル・ロビーストのジャック・アブラモッフの説を信じるなら、<バーニーは、選挙資金徴収に集中すべきだ。さもなければ大統領選に敗れる>ということになる。それは、ワシントン流の考えにすぎない」と、書いた。
2016年2月20日のネバダ米大統領予備選結果を受けてBBC英国TVが「ヒラリーの勝利はバーニーの敗北を意味するものではない」と、解説しました。 「数か月前、ヒラリー陣営はネバダでバーニーを撤退に追い込むと息巻いていた。結果はヒラリーが勝ったが、バーニーは25%の大差を5%までに縮めた。バーニー陣営は11の州で一斉に選挙が行われる3月1日のスーパーチューズデイに向け戦うと誓った」と、BBCは付け加えました。
日本の米大統領選挙野次馬としては、トランプVSバーニーの本番対決に期待しています。 億万長者VS社会主義者、ドイツ系移民VSユダヤ系移民、けばいかみさんVS地味な女房、、などなど、とても分かりやすい争点になります。
バーニーさんとバーニーさんを支持するアメリカ99%の貧乏人の皆さん、もうひと踏ん張りお願いします。
文:平田伊都子 ジャーナリスト、 イラスト:川名生十 カメラマン
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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