ディオン外相に、日本の違憲「平和安全法制」への支持の撤回を求めます。
- 2016年 2月 26日
- 評論・紹介・意見
- 「ピースフィロソフィー」
トルドー首相殿、ディオン外務大臣殿:
私たちは、日本戦後憲法の戦争放棄条項である第9条を支持するモントリオール、トロント、バンクーバーそれぞれの都市の市民グループです。
憲法九条
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
去る2月12日、カナダのディオン外務大臣と、日本の岸田文雄外務大臣がオタワで会談し、日加共同声明を発表しました。下記にあるのはその声明からの抜粋です。
ディオン大臣は、平和安全法制を含む「積極的平和主義」に基づき日本が世界の平和、安定および繁栄のためにより一層積極的な役割を果たすことを歓迎した。
日本の「平和安全法制」は、昨年9月に不透明かつ非民主的な手続きで国会を通過した法案で、野党からはその違法性を指摘されています。このように大変な議論を巻き起こしている法制を、カナダ政府が正式に「歓迎」すると表明したことに、私たちは驚きを隠しきれずにいます。この法制は、自衛隊の海外での活動を拡大することを目的としたもので、日本がこれまで憲法九条に基づき遵守することを義務付けられてきた「専守防衛」方針に違反するものです。日本の市民の過半数がこの法制に反対しています。また、2015年7月に行われた調査では、日本の憲法学者のほとんどがこの法制を「違憲」と見ています。昨年この法案が成立に至るまでの日々、毎日のように何千、何万もの人々が国会議事堂前で反対を訴えました。抗議活動は現在も続いています。先日の2月19日にも、野党側の5政党がこの法制の廃止を求める法案を提出したばかりです。
自由党政権はより外交的手段を重んじ、軍事には依らない国際紛争や緊張の解決にあたるであろうと、カナダの有権者の期待を背負って誕生しました。この政権が、他国の憲法の基本的原則の一つを根本的に脅かすような法案を公的に支持するというのは良心に反した行為です。これは例えば、カナダで同様に激しい議論を呼んできたC-51法案を日本政府が称賛することに匹敵することではないでしょうか。
わたしたちは民主主義と平和の精神にのっとり、ディオン氏に以下の二点を求めます。
(1)ディオン氏が、日本の「平和安全法制」への「歓迎」を正式に撤回すること。
(2)(1)にならい、2月12日付の岸田外務大臣との共同声明を修正すること。
モントリオール九条を守る会
トロント九条の会
バンクーバー九条の会(http://vsa9.org/)
連絡先:Satoko Oka Norimatsu(バンクーバー九条の会)info@vsa9.org またはinfo@peacephilosophy.com
初出:「ピースフィロソフィー」2016.02.24から許可を得て転載
http://peacephilosophy.blogspot.jp/2016/02/an-open-letter-we-urge-mr-dion-canadas.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion5925:160226〕
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