ブレグジット(Brexit)雑感その1
- 2016年 7月 13日
- 交流の広場
- 熊王 信之
本日(7月13日)、英国新首相に、テレーザ・メイ保守党新党首が就任され、EU離脱に向け政治日程を具体化されます。
氏は、残留派でしたが、「ブレグジット(英国のEU離脱)はブレグジットで、成功させる」と力強く声明され、困難な時期にあり、離脱に向けての課題に取り組む意思を明らかにされました。
BBCに依れば、氏は、「『特権的な少数の人のために機能する国ではなく、私たち全員のために機能する国のビジョン』を自分は抱いているとメイ氏は述べ、『国民が自分の生活を今まで以上に自分で決められるようにする。そうやって私たちはみんな一緒に、より良い英国を作っていく』」と厳しい表情で言明されました。
動画に依れば、氏は、一語一語を噛み締めるように言われ、語勢が強く、自分に言い聞かせるようにも見えます。
次の英首相にテリーザ・メイ内相「より良い英国を作る」BBC Japan 2016年07月12日
http://www.bbc.com/japanese/36771102
EUのグローバル市場での新自由主義、それもドイツ一国支配下官僚制支配を脱して、自国の主権を回復し、国民融合を回復する過程は、短期的に経済悪化も予想されるでしょうが、そもそも、英国の経済パフォーマンスは、大陸諸国よりも良好であり、離脱で困るのは、EUの方なのです。 この国と違い、経済の構造改革は、既に、終えている国なのですから。
それが証拠に、英国では、自前の自動車産業等は、既に、在りません。 英国人一般にドイツの自動車から、他国の自動車へ乗換されると困るのは、ベンツ等のドイツの製造業です。
EU離脱が、英国経済に成長のインパクトを与える、と観る視点もあります。
「英国経済は総じて、特に労働市場の柔軟性がはるかに低い欧州諸国と比べると、極めて競争の厳しい場所だ。政府調査によると、建設からコンピューターサイエンスに至る多数の業界は競争が激しく、大手の独占状態ではない。競争環境における不確実性の調査から見えてくるのは、多くの企業がブレグジット後を見据えて様子見に徹するよりも、EU離脱後に生じるとみられる機会に乗じようと投資や雇用を増やす可能性が高いということだ。」
ブレグジットが英経済の追い風になる理由とは By JOHN CARNEY WSJ 2016 年 6 月 30 日 15:51 JST
http://jp.wsj.com/news/articles/SB12317063740587874003104582160140459586730?mod=trending_now_1
このブレグジット(Brexit)。 私の好きな60年代のテレビシリーズ「プリズナーNO6」
(The Prisoner)に例えれば、村人に反乱を勧めるNO6の企てが成功し、村人全てが何ものかの支配を脱する、とのハッピーエンドに例えられるでしょうか。 ただ、村人の全てが幸福になるのかどうか、は、また別の問題であるのは当然でしょうが。
The Prisoner 1967 – Episode 01 ? Arrival https://www.youtube.com/watch?v=y-BE8iicBkg
ともあれ、大半の英国南部が離脱を選択した中で、グローバル資本主義の福利で、たまたま己が裕福になったに過ぎない金持ちどもが天下を盗ったように振る舞うロンドンのみがEU残留で固まっていた事実を忘れてはいけないでしょう。
蛇足ですが、たまたまの偶然を必然と勘違いするのが一般世間の常ですが、グローバル資本主義市場での成功等は、黒い白鳥に過ぎない、と自身の著書で述べられた市場参加者が居たのを忘れてはいけないでしょう。 たまたまの稼ぎを相続で次代に引き継ぐ制度を解消するのも人類の知恵で、何時の日にか実現出来ることを期待したいものです。
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