都知事選に於ける政策論議と立候補経過について(床屋政談)
- 2016年 7月 19日
- 交流の広場
- 熊王 信之
鳥越氏と小池氏の都知事選政策集を参照して受ける印象は、鳥越氏の方は、急造のためか、都市問題の理解に欠ける諸点が眼につくことです。
例えば、原発反対の御意思は分かりますが、そのために代替エネルギーにはなり得ない再生エネルギーに傾斜された政策を呼号されても、買取価格を見做されれば、一時のブームも見る影も無くなります。 そもそも当初の買取価格の設定が高額に過ぎたのですから、バブル崩壊が起る訳です。
また、総じて総論のみの印象を受けます。 問題点の理解に欠ける、とも思われます。 地方自治制度を理解されているのでしょうか。 国政上の問題を都知事選で呼号されても、実現の手立ては存在しません。
そもそも、野党共闘の候補なのですから、各々の政策を持ち寄れば、すぐさまに政策等は、出来ると思われるのですが、そうでは無いようです。 これでは、各野党にも東京都における都市問題の理解とその解決のための施策が無い、と言う結論になりますが、それで良いのでしょうか。
翻って、小池氏の政策集は、施策の適否は別にして、問題の所在を理解しておられる方(又は、方々)が纏められた、と思われます。 それは、実際に行政実務に当っておられる官僚でしょう。
例えば、氏は、犬・猫等の愛護動物の「殺処分」に係る現行行政実務の見直しを謳われています。
その事由は、殺処分一辺倒から愛護動物を生かす行政へと現行動物愛護法が改正された後にも、行政実務の実態は、予算不足等から殺処分を全廃出来ずに居る自治体が大半を占める現状に鑑み、更に、東京都でのオリンピック開催に当り、速やかに、殺処分から行政の転換を図る必要があることが窺われます。
これには、韓国、中国でのオリンピック開催に当り、彼の地での動物虐待が世界から非難された経過があるところからも、出来れば開催までに速やかに殺処分を全廃したい処でしょう。 小池氏の情報収集振りも窺えます。
それにしても、殺処分全廃が何故、野党共闘候補の政策に為らないのでしょうか。 犬・猫の命等はどうでも良いからでしょうか。
因みに、都立高校跡地問題では、都知事選に当っての政策「東京大改革宣言」にある「ダイバー・シティ」の項中で言及されていることからして、民族的偏見の介在した施策の一環とは見受けられません。
即ち、(3)として、「あらゆる都内遊休空間を利用し、保育施設、介護施設不足を解消。 同時に、待遇改善等により保育人材を確保する。 都立高校跡地を韓国人学校に貸与する前知事の方針は白紙撤回。」とあります。
更に、細かい点では、グラミン金融(小口無担保融資)を政策化されたことです。 此れ等も、野党共闘候補に相応しい政策に思える程です。 何故、鳥越候補から提案が無いのでしょうか。
鳥越氏の政策は、急造で、稚拙に思えますが、立候補の経過も、小池氏に後れを取りました。
小池氏は、嘗ての「自民党をぶっ壊す」と呼号された小泉純一郎氏を彷彿とさせるような経過から、都議会自民党を悪役に仕立てて旧来の仕来りを壊すことを目的に立候補されました(少なくともそう観えるように)。
上に述べましたように、それにしては、緻密な都市政策を急場にも拘わらずに取り纏められたのですが、兎も角も演出効果は満点でした。 支持政党無しで、お一人で都議会自民党を相手に啖呵を切って立候補されたのです。 判官贔屓の国民性に受けない筈は無いでしょう。
何度も落選した過去があるにも拘わらずにフライングした候補と談合宜しく野党共闘候補を一本化した相手と比べると、如何にも英雄に観えます。
当選すれば、都議会自民党は、都民を背景に持つ小池氏に頭を押さえられるでしょう。 小池氏の支持母体に為らなければ選挙に勝てないとなることが必定になるのですから。
女性であることも有利です。 時あたかも国家の一大事にあって女性首相が誕生した英国に因んで、女性都知事が誕生しても良いのでしょうし、都知事から首相への道が開けても良いのでは、と都民が考えるかも。
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