小池百合子の恐るべき憲法観-「いったん廃止し、その上で新しいものを」
- 2016年 7月 24日
- 時代をみる
- 澤藤統一郎
「1に平和、2に憲法、3に脱原発。東京都はまず非核都市宣言を」この鳥越俊太郎のスローガン。シンプルで力強い。
もちろん都政独自の政策あってのもの。それについては、「住んでよし」「働いてよし」「環境によし」「学びによし」を実現する東京を! という政策を掲げている。これから、多くの支持者の提言で、この政策を充実して行かねばならない。
「平和、憲法、脱原発」と唱える鳥越に対峙して、小池百合子のスローガンはどうなっているのだろうか。ホームページを開いてみても、平和・憲法・脱原発に関連するなんの政策もなく、その姿勢も窺えない。
小池の歴史観・国家観については、「日本会議」の機関誌『日本の息吹』(2003年9月号)の記事が話題となっている。
「当時、自民党衆院議員だった小池氏は、東京・九段の靖国神社境内で開かれた「戦没者追悼中央国民集会」で、「国家への帰属意識や伝統への尊敬の念」などが失われると「国家は内部崩壊を始める」と主張し、当時社会問題化していた「親殺し、子殺し、少年による幼児殺し」を列挙。「家族に対する愛情なき人に国家への愛を求めるのは土台無理な話。これも自虐的な戦後教育の結果です」と決めつけています。」(7月20日付赤旗)
国家への愛を求め、自虐的な戦後教育の結果を憂うるのが小池百合子流。この人は保守ではない。明らかに右翼なのだ。
さらに、昨日(7月22日)の赤旗が、小池百合子の憲法に関する姿勢について、以下のように報じていた。
「2000年11月30日の衆院憲法調査会で、当時保守党所属議員だった小池氏は、参考人の石原慎太郎東京都知事(当時)が現行憲法を『歴史的に否定すること』こそ国会がすべきことだと主張したのに呼応し、『結論から申し上げれば、いったん現行の憲法を停止する、廃止する、その上で新しいものをつくっていく』ことに『基本的に賛同する』と表明しました。」
2000年11月30日の衆院憲法調査会の議事録が、今はすぐにネットで検索が可能だ。この日の憲法調査会(現行の憲法審査会とは違う)審議は、「二十一世紀の日本のあるべき姿」として、なんと石原慎太郎と、櫻井よしこの二人を参考人として呼んでしゃべらせている。
各参考人に小池が最後の質問をしている。以下はその抜粋。
「石原都知事、本日はありがとうございます。
いろいろと御示唆いただきました。結論から申し上げれば、一たん現行の憲法を停止する、廃止する、その上で新しいものをつくっていく、私はその方が、逆に、今のしがらみとか既得権とか、今のものをどのようにどの部分をてにをはを変えるというような議論では、本来もう間に合わないのではないかというふうに思っておりますので、基本的に賛同するところでございます。」
「きょうはいろいろと、憲法調査会でございますから憲法問題に関連してお話しいただいているわけですが、私は、むしろアメリカの戦略とすれば、日本にこの憲法を変えさせないのが最大の戦略になってくるんじゃないか。つまり、いろいろな点でがんじがらめにしておいて、そしてそのたびに出おくれるような形にして、最後は小切手外交をさせようというのが、これは一番アメリカにとっていい方法で、なおかつ思いやり予算というような形で置いて、ありがたくそこに海兵隊の人たちが住んでいるというような状況。ですから、アメリカの側から見れば、それが戦略なのかなと思ったりもするわけでございます。」
「二十一世紀を見詰める上で、今後の日本がどうあるべきかということを踏まえた、ある意味では帰納法的な憲法の創憲ということを目指すべきではないかという私の意見を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。」
石原慎太郎の憲法観に賛成して、「いったん現行の憲法を停止する、廃止する、その上で新しいものをつくっていく」だと? 現行日本国憲法を停止し廃止して、それとは異なる別の憲法を作ろうというのだ。
現行日本国憲法は、普遍性に充ち満ちたものだ。これを廃止して、「現行憲法とは異なる別の憲法」をつくるとすれば、この普遍性を投げ捨てなければならない。國体を書き込んだ大日本帝国憲法か、五か条のご誓文か。あるいは、武家諸法度か、和をもって貴しとなすの類か。
ところで、小池百合子に関しては、憲法観・歴史観だけが問題なのではない。政治とカネの問題もある。こちらの情報もご覧いただきたい。
「安保関連法賛成議員の落選運動を支援する・弁護士・研究者の会」(略称 落選運動を支援する会)のホームページである。都知事選候補者の政治資金問題を順次取り上げている。小池百合子関連では、下記の4記事がある。その記事の内容の真偽については、同サイトに引用されている、小池が代表者を務めている各政治団体の政治資金収支報告書の記載をじっくりとご覧いただきたい。
都知事選候補者の政治資金問題
http://rakusen-sien.com/topics/6765.html
コラムその1
自民党豊島区議団が小池百合子・元防衛大臣(自民党)を支援する理由~6年間で計2390万円を受け取ってきた豊島区議団~
http://rakusen-sien.com/rakusengiin/6825.html
小池百合子自民党衆議院議員(元防衛大臣)の政治資金問題その1
セコイ支出、不適切な支出?
http://rakusen-sien.com/topics/6671.html
小池百合子自民党衆議院議員(元防衛大臣)の政治資金問題その2
不可解な「調査費」支出とその領収書問題
http://rakusen-sien.com/rakusengiin/6730.html
既にない企業へ世論調査を依頼し、「調査費」の領収証をもらったという不可解。
こんなことをしている政治家に、クリーンな都政を期待できるのか。
小池百合子・元防衛大臣(自民党)の政治資金問題その3
政治資金パーティ収入・支出の不記載問題
http://rakusen-sien.com/topics/6819.html
これは、指摘されて、辻褄の合わない政治資金パーティの収入・支出が書き直されたという件。政治資金規正法上の報告書不記載や虚偽記載の罪科は、後の訂正で治癒されない。
やっぱり、小池百合子に投票をしてはならない。
(2016年7月23日)
初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2016.07.23より許可を得て転載
http://article9.jp/wordpress/?p=7211
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔eye3553:160724〕
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