アメリカの情報戦は、ソフトパワーの失敗作!
- 2016年 10月 17日
- 時代をみる
- アメリカソフトパワー加藤哲郎
私の『20世紀を超えて』の情報戦論、アントニオ・グラムシのヘゲモニー論における「19世紀型機動戦から20世紀陣地戦へ」の論理の延長線上での21世紀型情報戦政治論は、ちょうど石堂清倫さんの『20世紀の意味』への返歌で、ナイの「ハードパワーからソフトパワーへ」の提唱と同時期 だったものですから、意識的にナイのソフトパワー論との重なりと差異を、明示しなければなりませんでした。端的に言って、ナイの議論は、ソフトパワーの行使主体を国家に限定しがちで、国境を超えるソフトパワーや非国家的主体(NGO・NPO、多国籍企業、社会運動や市民)を軽視している、パワー(権力)概念が一面的・不十分で、受容する側との相互性や、ミシェール・フーコー風規律・訓練権力、ネットワーク権力論にまで貫かれていない、と批判してきました。今回のアメリカ大統領選は、ロッカールーム劇場型の情報戦にはなりましたが、ソフトパワーとしては、明らかに失敗作です。
初出:加藤哲郎の「ネチズン・カレッジ』より許可を得て転載 http://members.jcom.home.ne.jp/tekato/home.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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