宮古島の水を奪い、島全体を戦場とすることにつながる陸自配備に反対する母親の声を聞いてくださいA Miyakojima mother calls for cancellation of GSDF troops and missile deployment
- 2016年 11月 22日
- 評論・紹介・意見
- 「ピースフィロソフィー」
11月20日、宮古の自衛隊基地建設に反対する「11・20宮古島平和集会」が開かれ、約300人が参加しました。野党の県選出国会議員「うりずんの会」ー糸数慶子、赤嶺政賢、玉城デニー、照屋寛徳、仲里利信各氏も出席。沖縄タイムスの21日の報道によると、宮古島への陸上自衛隊・ミサイル部隊配備の撤回、高江ヘリパッド建設と辺野古新基地建設の中止を訴える決議書を下地敏彦市長、翁長雄志知事、安倍晋三首相、稲田朋美防衛相ら6者に郵送するという。この集会における、子を持つ母親を中心とし自衛隊配備に反対するグループ「てぃだぬふぁ島の子平和な未来をつくる会」の共同代表である石嶺香織(いしみね・かおり)氏のスピーチがとても素晴らしく、ひとりでも多くの人に読んでほしい、聞いてほしい、「平和」の原点に返るものだったので写真とともに紹介する。下方にビデオリンクも。(写真提供:芦川剛志氏)
壇上に立つ石嶺香織さん。 辺野古や高江で座り込みを続けている島袋文子さん(右)も駆けつけた。 |
今、防衛省が陸自配備計画を進めようとしている千代田には、水の問題が二つあります。
一つ目は、水道水源の汚染の可能性です。千代田カントリーも水道水源保全地域に隣接しているのです。
石嶺香織氏 |
宮古島には、水道水源保全地域が三つあります。白川田流域と、東添道流域、福里北流域です。
当初防衛省が予定していた福山への陸自配備計画は、白川田流域にかかっており、地下水汚染の可能性が否定できないとして、宮古島市は受け入れを拒否しました。
野原の航空自衛隊は、水道水源の東添道流域と川満流域の境目にあり、1キロ離れた千代田カントリーは上野流域にあります。しかし、水道水源の東添道流域と川満流域や上野流域の境目は、調査が不十分で流域界の精度が劣るとされています。第三次宮古島地下水利用基本計画には「一部の流域界では、時期による地下水流域界の移動が確認されている。」と書いてあります。
地下水審議会審議委員の前里先生のお話では、干ばつの時は流域界の水の移動はないが、水量の多い時期に地下水は行き来しているということでした。
つまり、もし千代田カントリーに基地ができて汚染が起こった場合に、水道水源である東添道流域が汚染される可能性があるということです。
前里先生や学術部会の渡久山先生は、基地を作る前に流域界の調査が必要だと訴えておられます。てぃだぬふぁでは、流域界の調査の必要性の審議のために地下水審議会の開催を求めていきたいと考えています。
二つ目の水の問題は、水量が不足する可能性です。航空自衛隊の近くに、野原配水池というのがあります。配水池というのは、上水道の配水量を調整するために一時蓄えておくタンクのことで、この野原配水池は下地、上野、城辺の一部、そして来間島までの水がいったん貯められます。
今でも観光客が多い時期などは水圧が下がることがあるそうですが、一カ所に800人もの隊員が、家族も入れて2千人とも言われていますが、その水がまかなえるのでしょうか?市民の水を奪うことにはならないでしょうか?宮古島市はこの対策は何も考えていません。
そしてもっと重要なことは、もし野原配水池が攻撃されたら、宮古島の南半分の水はストップするということです。
千代田に地対艦ミサイル部隊、地対空ミサイル部隊が配備されたら、千代田の基地や野原のレーダー基地が攻撃される可能性は格段に高まります。
その時に、この野原配水池が攻撃されれば、宮古島の南半分の命の水が途絶えてしまうのです。大切な命の水のそばに、基地など置いてはいけないのです。
国会議員のみなさん、この二つの水の問題も、ぜひ国会で訴えてください。
宮古島が戦場になることを、想像できていない人はいますか?
ミサイルを配備することは、戦場になることを意味します。このミサイルを、たった一度でも打てばどうなると思いますか?攻撃されます。
ミサイルは車載式です。トラックに載せて島中どこでも走り回ります。どこが戦場になるか分からない。基地予定地だけの問題じゃないんです。
てぃだぬふぁはこの一年半、基地配備を止めるために子育てや家事や仕事の時間を割いて、活動を続けてきました。子供たちにゆっくり絵本を読み聞かせしてあげる時間もなくなりました。
奪われていくものと戦うということは、どれだけ不毛なのでしょうか。本当は、育むもの、作り上げるもの、積み上げていくもののためにエネルギーを使っていきたい。
しかし、それでもなぜ奪われていくもの、戦争につながることと戦っているかと言えば、戦争の前では全てが消え去るからです。
育んだものも、作り上げたものも、積み上げたものも、一瞬にして失うからです。
命も、文化も、土地も、水も。
戦後多くの母親が、戦争に反対していれば良かった、子供が戦場に行くのを見送らずに、どんなことをしてでも止めれば良かった、一緒に逃げれば良かったと言っています。それは、心からの後悔、死ぬまで解放されることのない後悔ではないでしょうか。
しかし、戦争になる前、みな戦争が始まるとは思っていなかったはずです。今と同じように。
想像力を働かせなかったのです。なぜ人間に想像力が与えられたのか、危険を予測して命を守るためです。
子供たちの未来がいかに奪われないようにするか、そのことに時間を使うのはもうやめにしませんか?子供たちの未来をいかに作るかに、私たちのエネルギーを注ぎませんか?
そのために、宮古島市民は戦争につながる全てのものに、NOと言わなければいけない。声を大にして、きっぱりと基地を断りましょう。
戦争につながる日々は、もう平和な日々ではありません。戦争が始まるのを止める作業に時間を費やさなければならないからです。
私は、子供たちに絵本を読み聞かせしてあげる平和な夜を、取り戻したいと思います。
そして、高江にも、辺野古にも、普天間にも、石垣島にも、与那国島にも、沖縄の全ての場所に、平和な夜を取り戻しましょう。
初出:「ピースフィロソフィー」2016.11.21より許可を得て転載
http://peacephilosophy.blogspot.jp/2016/11/a-miyakojima-mother-calls-for.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion6369:161122〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。