本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(143)
- 2016年 12月 22日
- 評論・紹介・意見
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煩悩即菩提
仏教には、「煩悩即菩提」という言葉があるが、このことは、「悩みや苦しみを経験すると、完全な英知を持った悟りのレベルにまで達成可能である」ということを意味している。別の言葉では、「大乗仏教」が教えるとおりに、「どのような人でも、修行次第で、仏陀のような人間になれる」という意味でもあるようだが、実際には、「何度も生まれ変わり、さまざまな経験をする」ことが求められているようだ。
また、「即」という言葉は、「即座」や「瞬間的」という意味ではなく、「いろいろな経験をした後に、気付きが起こる状況」を表しているようにも感じられるのである。そして、この点を、「色即是空」や「空即是色」に当てはめると、現代社会が、はっきりと説明できるものと思われるが、実際には、「空」が「何も無い状態」であり、一方で、「色」は「大自然や人々の意識によって生み出された現実社会」とも考えられるからである。
つまり、「お金」というのは、「信用」という「目に見えない、人々の意識」を形にしたものにすぎないのだが、この点について、海外では、盛んに、「現代の通貨は、何もない空中から生み出された」というような表現が多用されているのである。また、この時の注目点は、「色」という「お金の残高」が増えるほど、「人々の意識」において「信用」が減少する状況でもあるようだが、実際に、「マネーの大膨張」がもたらしたものは、「煩悩だらけの社会」だったようにも感じられるのである。
このように、「西暦1200年から2000年」の「西洋の時代」においては、「約800年」という長期間に亘り、「お金に価値を見出す人が増えた時代」であり、しかも、最後の段階で発生した現象が、「マイナス金利」という「お金を貸した人が金利を払う状況」だったのである。つまり、「本末転倒の極み」とでも呼ぶべき状況だったが、このことは、「終わりは始まりである」という言葉のとおりに、「新たな時代」の始まりを意味しており、今後は、「約800年間」の「東洋の時代」が予想されるのだが、この時に、人々が求めるものは、「菩提」という「完全なる叡智」や「悟り」とも想定されるのである。
別の言葉では、今後、「経済学」や「道徳」などの「社会科学」が発展し、また、すでに進化を遂げた「自然科学」との融合により、「新たな時代」が形成されるものと想定されるのである。そして、このことが、「世界は、絶えざる進化と創造の過程にある」ということを意味しているようだが、問題は、やはり、「生みの苦しみ」であり、現在では、「膿み出し」の最終段階とも考えられるのである。(2016.11.25)
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大天井の形成パターン
「相場の大天井」の形成パターンには、大別して二種類が存在するものと考えている。一つは、「1990年の日本株バブル」の時のような「富士山型」のことだが、実際には、急激な上昇後に、急落をするタイプである。そして、もう一つは、「北アルプス型」のように、幅広い山頂が形成されるタイプだが、今回の「日本国債のバブル」については、「約1年間」という期間を経て「大天井」が形成された「北アルプス型」でもあったようだ。
あるいは、「チベット型」とでも呼ぶべき状況でもあるようだが、この点については、「約35年間も続いた世界の国債バブル」と、その裏側に存在する「デリバティブ・バブル」が、根本的な要因とも考えられるようである。つまり、「日本株バブル」の時には、「ピーク時に約2500兆円」という規模の「土地バブル」が伴ったのだが、今回の「国債バブル」については、「ピーク時に約8京円」という規模の「デリバティブ・バブル」が、根底に存在したことが見て取れるのである。
つまり、「1981年頃から、現在の国債バブルが始まった」という状況だったが、この点を深く考えると、実際には、「世界的なマネーのバブル」が存在した可能性も想定されるのである。別の言葉では、「資本主義の最終段階」であり、この時には、世界中の人々が、「資本」という「お金」が、「主義」という「最も大切なものである」と認識した期間だったようにも感じられるのである。
別の言葉では、「人々の意識や認識が凝り固まり、画一化された時に、バブルが発生する可能性」のことだが、実際には、「ほとんどの人が、同じ考えを持った時に、バブルという、一つの商品が異常な価格にまで買われる事態」が発生する状況のことである。そして、「2016年」は、世界的な「国債バブル」が、前述のとおりに、「大天井」を形成した年だったものと思われるが、この時に考えなければいけない点は、「バブルには、必ず崩壊する運命が伴っている」という事実である。
つまり、今後は、世界的な「金利の急騰」という事態が待っているものと想定されるが、このことは、「先進各国が、財政破綻に見舞われる状況」を意味しているのである。具体的には、「日銀」の現状からも明らかなように、「若干の金利上昇」で、「日銀」のみならず、「日本国家」も破たん状態に陥るものと思われるが、現時点においても、ほとんどの日本人は、この点に対する「備え」が欠如しており、その結果として、実際の大混乱期には、相当のパニック状態が発生する可能性も存在するようである。(2016.11.25)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion6423:161222〕
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