トランプさん、L.L.ビーンを御推薦
- 2017年 1月 13日
- 評論・紹介・意見
- 熊王信之
トランプ次期大統領のツィ-ト。 僅かな語数の文句に釣られて株価が上下するのみならず、政、経済界から世界の各界までに影響を及ぼしていて、一体、昼夜を分かたず日々、何人の人が注視していることやら、と呆気に取られているのですが、今回は、アウトドアブランドでは名高いL.L.ビーンを御推薦!! これは、前代未聞!!
“Thank you to Linda Bean of L.L.Bean for your great support and courage. People will support you even more now. Buy L.L.Bean.” と2017年1月12日にやっちゃいました。
次期大統領が、特定銘柄を御推薦なんて、して良いの?
理由は、分かるような気がします。 何せ、L.L.ビーン社の役員であるリンダ・ビーン氏が個人献金額の上限を上回る6万ドルを寄付したので、反トランプ運動からボイコットされているのですから、トランプ氏から見れば、応援せざるを得ないでしょう。
でも、次期大統領が特定のブランドの宣伝をするのも如何なものでしょうか。 どのような理由があろうとも。
抑々の話が、L.L.ビーン社として一致してトランプ氏を推薦し応援した訳でもなく、個人として献金し応援しただけなのに、個人が役員をしている会社をボイコットする運動の対象とする政治勢力が異常なのです。 献金額が違法であれば法に基づいて処罰されるのですからそれ以上のペナルティーを課す反トランプの運動に疑問符が付くのです。
それにしても、名優メリル・ストリープの相手方の名を伏せた授賞式の場を借りた誹謗中傷にも同じことが言えますが、冷静な批判の範疇を超えたトランプ非難の大合唱が選挙を経て尚、治まることの無い米国の民主党支持者の思考形式は、聊か正常では無いような思いがします。
ともあれ、トランプ氏の公約、政治志向は、既に選挙戦中より明らかにされていて、保護主義的貿易志向、新孤立主義的外交、それに減税と大規模公共事業実施に依る経済成長企図等々の政策は明瞭です。
オバマ政権が企んで来た新植民地主義の帰趨には懐疑的なトランプ氏の公約では、外国政権の転覆等はしない、とも書かれています。
これ等の具体的政策の推進を冷静に観て、対応することが米国民のみならず、属国並みのこの国の民衆にも求められている処でしょう。
そして最初から失敗が明らかな公約にも要注意です。 例えば、米国でも斜陽産業である製造業の再生です。 いくらトランプ氏でも、現在の米国の成長産業であるIT分野を外様にしては、経済成長が無理なのは明白ですから、無理筋の政策の転換は時間の問題でしょう。
トランプ氏のツィート“Buy L.L.Bean”にあるブランドもカタログ中の製品では、殆どが外国生産であり、米国産は、僅少です。
嘗て、このブランドの製品は、メイドインアメリカで固まっていました。 私が個人輸入で手にしたアウトドアの名品は、どれも頑丈で山野で長年用いても耐久性があり信頼性がありました。 それも今は昔です。 産地は、世界各地に散らばってしまいました。 今、自宅にある衣類等を見ると隔世の感がありますが、それが世の常でしょう。
従って、トランプ氏の主張になる「国境税」が出来ると困るのは、L.L.ビーンも同じです。 トランプさん、御存じでしょうか?
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion6458:170113〕
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