築地市場の豊洲移転はあり得ない=平田健正と似非専門家会議には任せられない
- 2017年 2月 1日
- 評論・紹介・意見
- 田中一郎
- テレビ朝日の討論バラエティー番組:橋下×羽鳥の番組
直近の築地市場の豊洲移転問題の情報をお送りいたします。
PDFファイル及び下記URLをご覧ください。
(最初にお知らせ)
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(本日)1月30日(月) よる11時15分から翌0時15分
http://www.tv-asahi.co.jp/hashimoto-hatori/
【MC】: 橋下徹、羽鳥慎一; 【論客】: 苫米地英人、河村たかし、水谷和子. 大好評!橋下徹 に一言物申したい人たちが集結!! 番組の新しいコメンテーターを発掘する新企画「論客 面談」 果たして今週は橋下徹を言い負かす論客は登場するのか!?
(関連)(新刊本)築地移転の闇をひらく – 株式会社 大月書店
http://www.otsukishoten.co.jp/book/b272921.html
(関連)建築ジャーナル 2017 1月号 「築地の真相」
http://www.kj-web.or.jp/main.htm
(関連)「官製土壌ロンダリング」豊洲新市場・都の行った汚染地の偽装
http://www.jicl.jp/hitokoto/backnumber/20161226_01.html
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移転予定先豊洲市場の地下水から環境基準値の数十倍の有害物質が検出されても「飲むわけではないから心配いらない」などと暴言を吐いている平田健正以下の「専門家」などに、築地市場の豊洲移転を一任するわけにはいかないでしょう。この連中は、いったい何の「専門家」なのかと言いたくなります。築地市場は日本の「いちば」であるとともに、世界が注目する「いちば」でもあります。築地市場は、その歴史的文化的価値とともに、今日でも水産物の目利きとして、漁業者・卸業者の誇りとして、魚食伝統のシンボルとして、世界に誇る我らの築地市場として、首都圏の水産物流通の大元として、欠かせない存在です。くだらない連中の利権や自己保身のために使ってもらっては困るのです。
(関連)福島原発事故や豊洲地下水汚染で“御用学者”が跋扈する日本 日刊ゲンダイDIGITAL
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/197923
週刊誌情報などによれば、小池百合子都知事は、この築地市場の豊洲移転問題を、来る7月の都議会選挙の争点の一つにしようとしているようです。すでに小池百合子都知事から「抵抗勢力」として「悪の権化」に仕立て上げられた都議会自民党のドン=内田茂とその一派は、孤立化の一途をたどっているように見えます。同じ都議会自民党でも、既に反内田派からは3人会派の「新風自民党」が立ち上がり、本来なら都議会自民党を即除名となるところを、小池知事との対立を避けたい自民党の思惑で、「いいよいいよ、自由にやっていいよ」のご都合主義で、放置されている様子です。
また、それとは別に、中央区選出都議の立石晴康と葛飾区選出の船坂誓生の2名の年配議員が内田茂の牛耳る現在の都議会自民党に反旗を翻し、この築地市場の豊洲移転問題について「100条委員会」の招集を主張し始めていることを『週刊文春』が伝えています。更に、長年自民党と二人三脚をしてきた「仏罰」政党の都議会公明党も、内田茂が牛耳る都議会自民党とは距離を取り始めているようですから(与党としての責任棚上げで、豊洲移転を進める都政当局を批判する側に回っている様子)、結局、都議会与党内の政治的思惑が都議選をにらんで、この築地市場問題を政争の道具にしようとしているかのように見えます。
問題の取り上げられ方が非常に不健全ですが、しかし「100条委員会」の設置と、石原慎太郎元都知事を含むかつての都政私物化の一味を都議会に呼びつけ、今日の最悪の事態に至った責任をしっかりと追及することは、その石原慎太郎一味と団子状態になって利権をむさぼっていた都議会自民党の醜態を表面化させる意味もあり、有意義なことと言えるでしょう。それは同じような事の再発防止のためにも必要不可欠です。また他方では、先般、小池百合子都知事が、石原慎太郎の責任追及と損害賠償を求める住民訴訟について、これまでの対応方針を転換して、場合によっては石原慎太郎の責任を問う姿勢を見せ始めていることも注目に値します。東京都の情報公開も含む今後の事態の推移が注目されます。
他方で、小池百合子都知事には、一刻も早く、築地の豊洲への移転は中止=築地市場を築地でリフレッシュ=改築する新たな「再生プラン」を打ち出していただき、大田市場なども経過的に利用しながら、早急に東京卸売市場の立て直しをはかっていただきたいものです。一部の御用学者や、築地の荷受け卸の代表=中央魚類TOPの伊藤裕康などは、いまだに「早く豊洲移転を決めろ」と騒いでいるようですが、今後、何十年もの間続いていく「いちば」の未来を考えた場合、地下に大量の毒物を抱え込んでいる海沿いの埋め立て地への移転などは、常識的に考えてもあり得ない話です。しかも(似非)「専門家」が提言していた土壌汚染対策も地下水対策も役に立っていないことが判明しています。もういい加減にしろということです。
この築地市場の豊洲への移転問題のこれまでの経緯と現状、そして当面、加害者としての東京都がなすべきことは、築地市場の卸売業者への万全の賠償・補償とともに、別添PDFファイルにある中澤誠氏(東京中央市場労働組合 執行委員長)の最近の講演レジメに適切にまとめられています。私はこの中澤氏の見解が、この問題の正論であり、唯一の完全解決策であると思います。もし小池百合子氏が、愚かにもここで豊洲への移転を強行し、中途半端な対策をやれば、諸問題は先送りされたまま、近い将来、更なる大問題と大被害をもたらし、結局は、大きな禍根と更に巨額の大損害を東京都に残すことになると思います。何故なら、数十年のうちに東京は直下型の大地震に見舞われることがほぼ確実だからです(1923年の関東大震災以降、約100年が経過しました)。
にもかかわらず、別添PDFファイルの『週刊朝日』記事によれば、北区選出の都議で今や小池百合子の腰巾着役となってしまった音喜多駿などは、この期に及んでも築地の豊洲移転には賛成だなどと発言しています。愚かしい限りです。実際問題、『週刊朝日』によると、小池百合子都知事のブレーンの中では、豊洲への移転派の方が優勢であるかのごとく書かれています(他方で、別添PDFファイルの『サンデー毎日』の方は、移転白紙撤回の方が可能性が高いような書き方です)。この音喜多とかいう都議は、八ッ場ダム建設への都の財政支出にも賛成をしていた「ご都合主義の市場原理主義をモットーとする」議員で、口を開けば「税金の無駄遣いを許さない」などと、浮かれた話をしている若造です。年も取らぬうちから二枚舌甚だしきのインチキ政治家であり、小池百合子の周辺には、こういうタイプの人間が続々と集まってきているのです。かつての橋下徹=大阪維新の時と同じです。東京都民は、かようなインチキ「劇場政治」にたぶらかされてはならないのです。
小池百合子にとっては、週刊誌が書くように、この築地市場の豊洲移転にストップをかけ、築地の再建ができるかどうか、他方で、都民に6千億円以上の損害をかけた、この不始末の責任者追及をどこまでできるかが、東京大改革の文字通りの「試金石」となるでしょう。既に2020年東京オリンピックについては、「口先やるやる詐欺」的な「茶番劇」であったことが明らかになりつつあります。小池百合子都政の名誉挽回は、この築地市場の豊洲移転問題の正常化がラストチャンスです。都民の期待に沿って「都民ファースト」を貫き、都議会自民党に代表される「悪質な利権集団」=黒い頭のネズミたちの駆除に邁進していただきたいものです。
<別添PDFファイル>
(1)(レジメ)豊洲市場問題と食の安全(中澤誠 2017.1.25)
(2)「豊洲 年100億円赤字」(東京 2017.1.25 夕刊,26)
(3)小池「豊洲の乱」、自民「反ドン派」が決起宣言、「舛添、石原を証人喚問する」(『週刊文春 2017.2.2』)
(4)小池都知事ブレーンが分裂:豊洲移転派 VS 築地残留派(『週刊朝日 2017.2.3』)
(5)小池百合子「次なる仕掛け」、これが豊洲移転の白紙プランだ(鈴木哲夫『サンデー毎日 2017.2.5』)
(6)豊洲移転、都議選の争点へ(『週刊金曜日 2017.1.27』)
(7)豊洲市場「調査結果クロ」で移転賛成派の「小池擦り寄り」が始まった(『週刊プレイボーイ 2017.2.6』)
(8)戻るも地獄、築地の道(『アエラ 2017.1.30』)
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(9)豊洲投資 業界300億円、都試算 延期補償は90億円台(朝日 2017.1.27)
(10)豊洲移転延期 都の補償枠組み、「具体的損害」に限定(日経 2017.1.28)
(この東京都の損害賠償の仕方はおかしいのではないですか。半分踏み倒すつもりなのでしょうか? 賠償・補償も含めて仕事をきちんとしなさいよ:田中一郎)
<関連サイト>
(1)専門家も指摘 豊洲市場開場より「築地存続」がお得の根拠 日刊ゲンダイDIGITAL
(2)猛毒と赤字タレ流し 開場絶望の豊洲は「墓地転用」で確定 日刊ゲンダイDIGITAL
(3)解除できるのか 豊洲“時限爆弾” 日刊ゲンダイDIGITAL
(4)石原元知事ついに“公開処刑”か…自民も参考人招致を検討 日刊ゲンダイDIGITAL
(5)自民都議の分断狙う 小池知事が離脱組に仕掛けた“踏み絵” 日刊ゲンダイDIGITAL
(6)築地市場移転関連費用を含んだ中央卸売市場会計予算の賛否について 西沢けいた
http://24zawa.jp/article-260.html
(7)「築地移転」は石原都知事と「特権・利権勢力」が犯す巨大権力犯罪! – 杉並からの情報発信です
http://blog.goo.ne.jp/yampr7/e/40ca5bd0fd3962958be66388b93868fb
(8)汚染、豊洲だけじゃない 土壌・水、各地の市場で基準値超:朝日新聞デジタル
(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)
別添PDFファイルのうち新聞・雑誌記事は著作権上の問題がありますので第三者転送・転載はご容赦ください。
昨今の新聞・雑誌記事からです。
1.軍事研究 「学問の自由」が焦点(朝日 2017.1.29)
(田中一郎コメント)
昨今、評判の悪い朝日新聞の記事ですが、この記事自体は、まあ「まとも」と言えるでしょう。問題は日本学術会議が何ゆえにかような低レベルでご都合主義的な議論をしているのかという点です。学者のくせに、みっともないったらありゃしない。なぜ、防衛装備庁という「軍需省」が用意した「安全保障技術研究推進制度」について、きちんと議論しないのでしょうか。2つ3つ事例を書いてみましょう。
(1)研究者の判断で自由に公開できるか ⇒ できるわけないだろ。特定秘密に指定される可能性もある。分野は防衛だからだ。
(2)研究の自由度・自立性を保持できるか ⇒ できるわけないだろ。カネを出すのは防衛施設省(軍需省)だ。当然、そこが研究を管理する
(3)防衛施設庁の指導を拒否できるか ⇒ できるわけないだろ。拒否すれば研究費支給は打ち切りとなるだけの話。打切りとなった研究途上で知った防衛上の重要事項については「口止め」されるだろう
(4)国の自衛のための研究は国民としての義務(小松利光九大名誉教授)⇒ 自衛のための研究と、そうでない研究(例えば攻撃兵器研究)とを区分できるのか? 区分できるというなら、その基準を示せ。軍事研究と民生技術研究の区分さえ(できるのに)できないなどという議論をしているのに、自衛とそれ以外の区分ならできるというのか? ご都合主義も甚だしい。
(5)上記を否定するのは学問の自由の束縛だ ⇒ 「学問の自由」という基本的人権は日本国憲法の枠内で、つまり平和主義=戦力を保持せず、に従って保障される。戦争やその準備に加担する学問は我が国では許されない。くだらないことを言っていないで、東アジアと世界の平和に貢献せよ(こんな奴がなんで「名誉教授」なのか?)。武力で平和は維持できない。
(6)軍事研究と民生技術研究の線引きはできない ⇒ そんなことはない。池内了先生の議論に私がプラスアルファをつけて、前回のメールでお送りした通りだ。少なくとも、防衛施設庁(軍需省)が予算をつけているものは軍事研究だ。そんなことは自明ではないか。
(7)こうした政治的事項について学術会議として意思決定することは適切ではない⇒ 逃げるな。今日のアベ政権下の日本政府や日米軍事同盟の動きを見ていて危ないと思わないのか。集団的自衛権行使は違憲だという「当たり前」のことを「解釈改憲だ」などと言って壊してしまう、武器輸出はしないという国是を破って武器ビジネスを政府が主導して世界に展開していく、非核三原則を厳守せず対米密約を保持し続ける・憲法上は核兵器保持はできると言い張る・核燃料サイクルをやめずに潜在的な核保有国の地位を維持する、特定秘密保護法・盗聴法・刑訴法改悪、そして今共謀罪などなど、現代版の戦争体制型治安弾圧法を次々と強行採決で制定する、軍事予算は膨張の一途、沖縄に基地を押し付ける、アメリカの言うがままにオスプレイをわんさと買ってくる、自衛隊の在日米軍との一体化が進んでいる、などなど・・・・・・山のように伝えられてくる「日本の戦争国家化=戦争する国への転換」の具体的事実をみても、まだかようなトボケた日和見言論を吐くのか? 歴史を振り返ってみよ。
(8)正解は、記事にある鈴木達治郎長崎大学教授の発言「すべての科学技術は軍事転用できる」「だから、研究成果が軍事転用・悪用されない仕組みが必要だ」⇒ その通りだ。包丁は、マグロを切れば料理用だし、人を刺し殺せば人殺しの道具だ。どちらにでも使える。だから包丁の研究をしてはいけない、ということではない。包丁を人殺しに使わせないような仕組みや工夫が必要だ。池内先生もおっしゃるように、まず真っ先に「カネの出どころ=研究費予算を担当する省庁」で厳格に峻別せよ。研究費・カネ欲しさにご都合主義の言論・議論をやめよ。
学術会議は、本来は鈴木達治郎長崎大学教授の発言をベースにして、どうしたらこれが実現できるのか、知恵を絞りあう、というのが本来の議論の在り方だ。それができないのなら、学術会議などいらないから解散せよ。大学もいらない。解体せよ。知らぬ顔をして、われ関せずで、人殺しの道具の研究をするなど、絶対に許せるものではない。そんな人間は学問などする資格はない。とっとと消えてしまえ!! 日本国とその憲法は、世界の平和を平和的手段で実現する方法に全力を挙げるというのが基本方針である。かような「軍事予算」を使って大学にちょっかいを出してくるような政権は、早々に葬り去るべきである。さすれば、学術会議のくだらない議論もなくなるだろう。
2.線引きの議論に没入する前に(須藤靖 『科学 2017.2』)
(私はこの人に議論にほとんど賛成できない。日本が危機の時代に入っているのに、何をのんびりしたことを言うておるのかという印象だ。しかし、この人の最後のところに書かれているプラグマティックな処方箋=「まずは科学研究者はこの制度に応募しないことを確認し,その上でそれらの背景となっている基礎研究を巡る現状を改善するための具体的な議論に時間を費やすべきである。」については賛成だ。「この制度には絶対に応募しないこと」=これが全てのまともな議論の出発点である。いつまでも、いると思うな、アベ自民党、である:田中一郎)
(追)美浜3号機蒸気発生器に耐震評価不正の疑い(イントロ部分)(滝谷紘一 『科学 2017.2』)
ついでで恐縮ながら、重要事項なのでご紹介させていただきます。別添PDFファイルは、滝谷紘一さん(元原子力技術者、元原子力安全委員会事務局技術参与)がお書きになった岩波月刊誌『科学』(2017年2月号)掲載の論文です。かようなインチキ行為が、原発・核施設の再稼働審査において日常茶飯に行われるようになっています。危険極まりないことです。そもそも、現状の原子力規制委員会・規制庁の再稼働審査で、電力会社より提出される「設置変更許可申請書」や「工事計画認可申請書」は、あちこちが黒塗りの非公開文書になっていて、第三者による検証ができないようになっています。原子力規制委員会設置法にも違反している有様です。
にもかかわらず、こうした「悪しき状態」に対して、福島第1原発事故を経験してその後始末もできていないこの日本で、およそ日本の工学系や理学系の学者たちは、何ゆえに「おかしい」「危ない」の声を上げようとしないのか? 日本学術会議は時折原発関係の提言をしているようだが、その内容は、まだまだ最も重要な部分を外した物足りないものになっている。何故、日本の学者たちは、この原発・核の世界の出鱈目・インチキとその危険性に大挙して警告を発しないのか。
滝谷紘一さんの上記論文は物事の氷山の一角にすぎません。原発・核の世界には他にも山のように出鱈目やインチキが氾濫しています。このままいくと、福島第1原発事故を上回る原発・核施設の過酷事故は必然のような様相です。ここに見られる学者・科学者・技術者の態度は、私は今般の日本学術会議でのみっともない議論のありようと通底しているように思われてなりません。日本の学者・科学者・技術者たちよ、恥を知れ!! ということです。
(参考)インタビュー:原子力規制委の審査「厳正でない」=元安全委技術参与 ロイター
http://jp.reuters.com/article/kbn0fx0hi-idJPKBN0FX0HJ20140728
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion6483:170201〕
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