「瑞穂の國記念小學院」の敷地取得価格の怪（続々）
- 2017年 2月 23日
- 評論・紹介・意見
- 熊王信之
大阪府豊中市に建設中の瑞穂の國記念小學院が「買収」した国有地の販価が、実質、ただ同然であった疑惑に関わって、８億円もの値引きをした国の言い訳の構図が崩壊しました。 敷地に埋設している、とされた廃棄物の運搬、処理等の積算内容も明らかに出来ず、当該廃棄物の運搬、処理等の事実確認もしていなかった、のです。
そもそも、国有地売却の代価から、廃棄物が埋設されているとしてその処理に要する経費を積算基礎である埋設調査の結果も示せずに、勝手に「積算」する等と言う「事務」に依ってその経費を差し引きする「公務」は、仮に、その差し引き計算の内実と積算基礎が正当と仮定しても、公会計上では、夫々、費目が相違するために会計監査では不当となり、厳しく是正を求められて当然です。
子細な事務について言及するようですが、一方は、国有地売却の代価であり歳入です。 片や、他方は、賠償金であり、費目は、一般には、補償補填及び賠償金です。
国有地売却は、売却として販価は適正に不動産鑑定のとおりに契約し、その代価は、歳入に入れ、当該地の埋設物撤去、処理等に要した経費は、国側にその経費支払いの責務が存すると認めた折には、その経費負担を了とすれば良いだけです。
会計監査では、少なくとも、この処理経過の不適が指摘されるべきですし、夫々の積算内容が精査されて当然です。
公会計に適合した事務では、時日が経過して学園側には都合が悪かったので、国側が無理をしたのは明白ですが、何故、それ程までに無理をしたのでしょうか。 そもそもその点が疑問です。 一般人では、国が其処まで無理して厚遇してくれるのでしょうか。
森友学園への国有地売却 ８億円値引き 口実崩壊 埋設ゴミ処理 未確認
宮本岳志議員 理事長の参考人招致要求 衆院委 しんぶん赤旗 2017年2月22日(水)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-22/2017022201_01_1.html
処で、学園理事長は、敷地に埋設している廃棄物撤去、運搬、処理等が全て終わってはいないことを認めているようです。 TBSラジオの番組でインタビューされた折に、その事実を認めておられます。
下が、インタビューでのその事実についての言及部分です。
「荻上：そのゴミはもう撤去したんですか？
籠池：ゴミは、えー、建物が経っているところについては、撤去もしておりますね。
荻上：ほかのグラウンドなどは？
籠池：グラウンドはね、記者の方もご存知の通り運動場ですから、運動場はずっと昔からもう土の下というんですかね、動かして何もないんですよ。そのままでいいんです。
荻上：じゃあ、ゴミ出しの作業はもう全て完了したわけですか？
籠池：うん、あのー、土地の建物のところの分に関してはですね、あのー、ほとんど完了していますね。」
【音声配信＆抄録書き起こし】「大阪の学校法人への国有地払い下げ問題～森友学園・籠池理事長に荻上チキが直撃」（2月20日放送分） TBSラジオ
処で、学園敷地下に埋設しているとされた廃棄物ですが、豊中市の市議会議員木村真氏に依れば、この土地には、ヒ素や鉛の土壌汚染があったことも判明している、と言うことですので、土壌汚染対策法に定められた指定区域であったのでしょうし、法に基づく手続等に従って搬出等が為されたのでしょう。
ただし、学園理事長の言に依りますと、現在建築中の敷地に限ってのことと認められるのですから、その他の土地、主に学園の運動場地下には尚も廃棄物が埋まっている、と思われるのです。 そして、その埋まっているのであろう廃棄物が、家庭ごみである限りは無い、と思われるのです。
仮に、運動場の地下にも、土壌汚染対策法で定められた「特定有害物質」、即ち、「鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の物質（放射性物質を除く。）」が埋まっていた場合には、その運動場で体育の授業等を受ける学園の生徒には、健康上の危険が生じる恐れがあるのでは無いのでしょうか。
現に建築中の敷地下は、地下構造物の敷設等の際に発見は出来たのでしょうが、運動場その他の敷地は、完全に調査が為されたとは思えません。 そのような敷地が小学校の運動場として適しているのか否か、考えるまでも無いでしょう。
その点は、学園御自身も、国と地方の関係当局も真摯にお考え頂きたい、と思われます。
因みに、産業廃棄物の不法投棄は、この国では極一般的に観られる現象であり、環境省で把握している事実に限っても全国で膨大な量が不法に国土に投棄されています。 環境省では、その事実を記録するのみでは無く、国土保全の大義からも厳正に対応されることを望みます。
産業廃棄物の不法投棄の状況について 環境省
http://www.env.go.jp/recycle/ill_dum/santouki/
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion6527:170223〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。