危うし国連?! 新国連事務総長VS新米国大統領
- 2017年 3月 18日
- 評論・紹介・意見
- 平田伊都子
「国連拠出金を半分に減らす」と、2017年3月初め、トランプ新米国大統領は宣言しました。 延滞を度々しましたが、とにかく国連拠出金の22%をアメリカが負担してきたのです。 「アメリカだけがこの無能な国際組織の拠出金を、多額に負担する理由はない。他の国がアメリカ削減分をカバーすればいい、、」と、トランプは国連負担金を他国に押し付けようとしています。 2番目に負担額が多いのは日本で9.68 %、3番目が中国で7.92 %です。
3月15日、トランプは中韓訪問のついでに、日本にもテラーソン国務長官を立ち寄らせました。 そして、「安倍はイイやっちゃ!」と、見え見えの褒め言葉を不気味に送っています。 その本根は?まさか、アメリカの負担を肩代わりさせようというのでは??
(1) 一度も会ってない両トップ:
2017年3月13日、国連記者会見で超ベテランの記者が、「新国連事務総長は新米国大統領に会えたのか?未だだとして、アポを取る努力をしたのか?もしかすると、3月8日にもトランプ非難を繰り返したザイド国連人権高等弁務官が、両者の対面にブレーキをかけているのではないか?」と、質問した。国連報道官は、「両者は未だ会ってない。勿論、アポを取る努力はしている。予定が決まったらお報せする。ザイド人権高等弁務官の発言は、国連事務総長の考えを代行したものではない。彼、個人の意見だ」と、答えた。
3月15日、別の国連組織ESCWAもトランプに逆らう報告書を広布した。ESCWA(西アジア経済社会委員会)はその報告書の中で、「イスラエルはパレスチナ民衆に人種偏見に満ちたアパルトヘイト政策を科している」と、明確にイスラエルを非難した。イスラエル外務省スポークスマンは「まさにナチの反ユダヤ運動だ」と、ESCWA 報告書を酷評した。イスラエルの親友であるトランプ政権のニッキ・ヘイリー国連大使は文書で、「国連がこの報告書に距離を置いたのは正しい。が、もっと積極的に報告書を反故にすべきだ」と、表明した。
(2) アメリカがUN拠出金を半分に削減する:
「UNRWAなんか、アメリカは援助しないゾ!」と、トランプ米大統領はイスラエルのネタニヤフ首相を意識しつつ、明言した。UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関) は、UNHCR(国連難民高等弁務官)が始動する2年前の1949年に設立された。第二次世界大戦とイスラエル戦争によって発生したパレスチナ難民を援助する国連機関だ。600万人以上のパレスチナ難民が、この組織のお世話になっている。
アメリカは年間10兆円を国連に貢いでいて、その額は全米国予算の20%に当たる。米国の外交官によると、国連組織の中でUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)、PKO(国連平和維持活動)、UNISEF(国連児童基金)、UNFPA(国連人口基金)などがやり玉にあげられているそうだ。アメリカはPKO年間予算の28.5%を負担している。「国連は様々な分野で、必要もない浪費を続けてきた。その負担をアメリカ一国に押しつけてきた」と、国連アメリカ大使は、アメリカ国連負担金削減の理由を説明した。
「国連事務総長は突然のアメリカの拠出金削減に戸惑っている、、アメリカの撤退と一国主義、そのことを識った他国の動揺などが、予想以上の混乱を招く」と、国連事務総長の報道官が反論した。さらに報道官は、国連がいかに紛争を和らげ平和解決に尽力してきたかを、アピールした。そして、そのためには金がかかる事、アメリアが負担金を削減することは紛争を再燃させることになる、、などと報道官は訴えたのだ。が、、
(3) 即断速攻のトランプ政権:
ポピュリスム、無経験、無知識、無教養、、世界のインテリはトランプ政権を馬鹿にする。しかし、聞く耳持たずで、トランプは独断し断行する。あれよあれよという間に、国連に乗り込んでいた。
トランプ政権がUN拠出金削減を発表する一週間前から、米両院の議員グループが<議員勉強ツアー>と称して、国連本部に出没していた。国連のどの部署を削減できるのかを、探っていたようだ。2017年3月13日の国連記者会見で常連記者が、「先週、地下の1B室で、国連基金による会議があったのを目撃した。この会議は超党派の議員自身によるものなのか?あんたたちは承知しているのか?」と、質問した。「我々はこの会議を認知している。共和党と民主党の超党派両院議員による<国連情報ツアー>と呼ばれるものだ」と、国連事務総長報道官は答えた。
2017年3月16日、国連記者会見では、同日の朝にアメリカ公表されたアメリカ拠出金大削減が取り上げられた。前出の超ベテラン記者が口を切った、「なぜ、国連事務総長がアメリカ・トランプ政権と御目文字するのに、こんな長時間がかかるのだ?我々が求めていた、、(トップ会談)」という問いを遮って国連事務総長報道官は、「あんたの質問は受けたくない。事務総長は何回となくアメリカ政府関係者やアメリカ国連大使と会ってきた。トランプ新政権とは緊密なコンタクトを取っている」と、弁明した。
ちなみに、トランプ米大統領の2017年3月17日のスケジュ-ルを以下に公表しておく。
* 午前10時30分に、アイルランド共和国の首相と、首脳会談。
* 午前12時5分に、<アイルランドの友人たちと昼食会>に参加し挨拶。
* 午後5時45分に、アイルランド共和国首相とケニー夫人をホワイトハウスに招待。
* 午後6時、聖パトリック記念日のレセプションを主催し挨拶。
欧米では何かと物議を醸しだしているトランプ米大統領ですが、アフリカでは大人気です。 タンザニアでは「トランプ米大統領閣下がジョン・マグフリ・タンザニア大統領の行動を絶賛した」と、TBCタンザニア国営放送が大喜びで大宣伝をしました。 ところがホワイトハウスからクレームが入り、怒ったタンザニア大統領はフェークニュースを流した9人のスタッフを首にしたそうです。
日本の首相もトランプ米大統領閣下から身に余る接待を受けたと、大喜びしました。
でも、トランプ米大統領閣下のゴルフおもてなしは。高いものにつきそうですね、、
文:平田伊都子 ジャーナリスト 写真提供:UNHCR
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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