「森友学園問題」や「共謀罪」にも怒りの声 - 東京で「さようなら原発全国集会」 -
- 2017年 3月 21日
- 時代をみる
- 原発岩垂 弘
東京電力福島第1原子力発電所の事故から6年経ったのを機に、「いのちを守れ! フクシマを忘れない さようなら原発全国集会」と題する集会が3月20日午前11時から、東京の代々木公園で開かれた。国会で、国有地が不当に安い価格で森友学園に払い下げられた問題や、犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の制定などが論議されている折りから、集会では「森友学園問題」の徹底的な解明を求める声や、「共謀罪」絶対反対の声が相次いだ。
集会を主催したのは、内橋克人(経済評論家)、大江健三郎(作家)、落合恵子(作家)、鎌田慧(ルポライター)、坂本龍一(音楽家)、澤地久枝(作家)、瀬戸内寂聴(作家)の各氏ら9人の呼びかけでつくられた「さようなら原発一千万人署名市民の会」。
3月4日から始まった、脱原発諸団体による東電福島第1原発事故から6年を記念する一連の集会の一つで、一連の集会では最大規模のものとなった。主催者によると、参加者は1万1000人。会場に林立する旗やのぼりから判断すると、参加者の主力は旧総評系の労組組合員、生協組合員、市民団体関係者らで、関東を中心に全国各地から参加があった。
午後1時30分から始まった第2部では、各界の人々が登壇。
最初に登壇して主催者あいさつをした落合恵子さんは「福島の原発事故で多くの人たちが今なお避難生活を余儀なくされているが、その人たちへの住宅無償支援がこの3月で打ち切られようとしている。いったい誰が事故を起こしたのか。原発事故に対し何の罪もない人への支援を打ち切り、生活を奪うとは何ごとか。これは、人としての権利を奪うものだ。住宅無償支援の維持を訴えよう。事故を起こした者に責任をとらせよう」と訴えた。
福島県郡山市在住の野口時子さんは「事故直後は、世界各地や全国各地の団体が、避難先で暮らす福島の子どもたちを招いて保養キャンプを催してくれた。が、事故から6年。いまでは、そうした保養キャンプもほとんどなくなった。私たちは、福島の放射能被害が忘れ去られつつあるのか、とおそれている。放射性物質の半減期は30年といわれる。どうか、福島の放射能被害を忘れないでほしい」と訴えた。
同じく福島県田村市から参加した武藤類子さん(福島原発告訴団ひだんれん)は「原発事故はまだ終わっていない。これから先どうなってゆくのだろうかと考えると、夜も眠れない。私たちのことを忘れないでください」と訴えた。
脱原発運動をさらに推進しよう、という訴えもあった。
河合弘之さん(弁護士、3・11甲状腺がん子ども基金理事)はこう述べた。「私がつくった映画『原発と日本』はすでに全国で10万人が観た。われわれの脱原発運動は必ず勝つだろう。なぜなら、世界の潮流はいまや脱原発で、われわれの運動はそれに沿ったものであるからだ」
最後に登壇した鎌田慧さんは「原発事故の犠牲はあまりにも大きかった。しかし、ようやく裁判所が、原発事故の責任は国と東電にあるという判断を下した。こうした判断が今後、全国に広がってゆくだろう。そうなれば、原発の再稼働は時代遅れのものとなってゆくだろう。原発はすでにたそがれなのだ。加えて、東芝を見よ。原発に手を出したため赤字がかさみ、つぶれそうだ。にもかかわらず、安倍政権は原発の再稼働を進めようとしている。そればかりでない。共謀罪を成立させ、沖縄に新たな米軍基地をつくり、平和憲法をつぶそうとしている。今こそ、力を合わせて安倍政権を打倒しよう」と呼びかけた。
時が時だけに、国会で論議されている問題や、国民の間で話題となっている問題に関する発言も飛び出した。
落合恵子さんは、主催者あいさつの中で「このところ、明けても暮れても不透明な問題があぶり出されてくる。森友学園問題もその一つで、私たちのものである国有地が不当に安い価格で森友学園に払い下げられた。その裏に誰がいるのか。誰がこの現実をつくったのか」と述べた。言葉を次いで「共謀罪」制定の動きに言及し、「このような醜悪で不平等な国と化したこの国を、何としても子どもや孫に残さないようにしましょう」と訴えた。
ある団体代表も「共謀罪」問題を取り上げ、「政府は『共謀罪』国会提出を今週中にも閣議決定しようとしている。『共謀罪』の狙いは平和運動、脱原発運動の抑圧だ。なんとしても制定させてはいけない」と叫んだ。
南スーダンの国連平和維持活動(PKO)での陸上自衛隊の日報を「破棄した」と発表しながら実際は陸上自衛隊内で保管していた問題を取り上げ、「国民の信頼を大きく失った」と批判した発言もあった。
集会後、参加者は原宿コース、渋谷コースに分かれてデモ行進した。
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