辻元清美議員の視点――証人喚問から見えてきた「公務」
- 2017年 3月 26日
- 時代をみる
- 村上良太森友学園辻元清美
安倍昭恵氏が森友学園の土地取得に関わっていたかについては、国会で議論を呼んでいる。23日に行われた森友学園の籠池理事長の証人喚問ののち、民進党の辻元清美議員は「改めて、昨日の証人喚問から引き出された問題点を整理する」と題して、ブログに書き記しているが、興味深い記載の1つが以下のくだりである。
http://www.kiyomi.gr.jp/blog/11228/
辻元 「塚本幼稚園の講演やスキーに職員が同行したこと、これまで1名・非常駐だった『総理夫人付き』が、第二次安倍政権になって突然5人(うち2人は常駐)になったことについて私は追及してきました。私が出した質問主意書に対する答弁などで、政府は以下のように答えています。
『当該職員は、安倍総理夫人の私的な行為に対する支援は行っていない」「職員が、総理公務補助を支援すべき旨の国家公務員法(略)に従い、自ら判断し、行っている』
つまり、総理夫人付きの職員は『私的な行為に対する支援は行っていない』と政府が閣議決定している以上、籠池氏からの問い合わせ対応は『総理の公務』(の補助)だったということになるのです。
<問題点>
『職員は、私人である総理夫人の私的行為には関わらない』と政府が言い張っていたことと矛盾します。」
辻元議員の視点は興味深い。
少し振り返ってみたい。昭恵夫人が2015年9月5日に森友学園が運営する塚本幼稚園で講演した時、政府職員が同行していた件である。3月3日の参院予算委員会で次のような答弁が行われている。
「職員同行に関し土生栄二内閣審議官は3日の衆院国土交通委員会で当初は「土曜日で勤務時間外。職員の私的活動で答弁は控える」と答えたが、最終的に同行を認めた。社民党の福島瑞穂氏はその後の参院予算委で「なぜ私人に公務員が同行するのか」と追及。野上浩太郎官房副長官は「首相夫人による首相の公務遂行を補助するための活動のスケジュール調整や、連絡調整のサポート」と答弁し、菅義偉官房長官は記者会見で「職員の旅費は夫人が私費で支出した」と説明した。」(毎日新聞 2017年3月3日 )
ここで官房審議官は総理夫人付きの職員の業務は「首相夫人による首相の公務遂行を補助するための活動のスケジュール調整や、連絡調整のサポート」と答えている。9月5日について付き添い職員は「勤務時間外」で「職員の私的活動」で大阪まで昭恵夫人に同行したが、なぜ同行したかと言えば「首相夫人による首相の公務遂行を補助するための活動のスケジュール調整や、連絡調整のサポート」をする必要があったという。
再び、辻元議員の視点に戻ると「総理夫人付きの職員は『私的な行為に対する支援は行っていない』と政府が閣議決定している以上、籠池氏からの問い合わせ対応は『総理の公務』(の補助)だったということになる」(辻元議員)
ここで辻元氏が指しているのは総理夫人付きの職員・谷査恵子氏が籠池氏の依頼を受け、財務省国有財産審理室長の田村嘉啓氏に問い合わせを行い、得た回答を籠池理事長にFAXした件である。総理夫人付きの政府職員は私的時間に昭恵夫人に同行することがあってもそれは首相の公務遂行を補助するための活動の調整やサポートのためだったということであり、職員は「私的な行為に対する支援は行っていない」ということなのである。
そこで財務省国有財産審理室長の田村嘉啓氏に問い合わせを行い、得た回答を籠池理事長にFAXした件は、これまでの答弁を総合すれば、総理公務補助を支援すべき旨の国家公務員法に従い、谷査恵子氏が自ら判断し、行ったことと考えることが自然なのではないか、ということなのである。つまり、谷氏が財務省に問い合わせてFAXで籠池氏に回答した件は総理公務補助の一環だったのではないか、ということだ。
官僚たちの間では、総理夫人付き担当官の仕事は「首相の公務遂行を補助」することに限定される制度になっているという理解が共有されているのであろうから、財務省側でも総理夫人付きの谷氏から問い合わせが来れば首相に関わる案件として迅速かつ優先順位を上げて処理するべき公務ととらえるのが常識ではないだろうか。
■辻元清美ブログ
~籠池氏への問い合わせ対応は「総理公務補助」?~
http://www.kiyomi.gr.jp/blog/11201/
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye3972:170326〕
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