経産省前座り込みと森友学園
- 2017年 4月 7日
- 評論・紹介・意見
- 岩田昌征
4月3日(月)夕方、数週間ぶりに経産省前の反原発座り込みの現場を訪ねた。冷気が増しはじめる頃、老女、壮女、前期高齢者の男性の三人が小椅子に座っていた。M氏は歯医者に行っていて留守であったが、私が小椅子に腰かけて経産省の門を見つめているうちに、帰って来られた。
そこで気付いたことだが、たばこ好きのM氏が巻き込まれた例の「放火事案」高札が消えていた。M氏にとって最悪のケースを推理しても、たばこの火の不始末による枯草の小焼けにすぎない事象を「放火事案」などとして公衆に訴えかける経産省の姿は、国家社会の経世済民の大事に精神と神経を収斂させねばならない国家官僚の品格を傷付けるものであった。立場や政策の方向が対立するとは言え、テントと座り込みが提起する問題は原発政策と言う日本社会の大事なのである。三ヶ月も立て続けた二枚の高札に書くべきは、「放火事案が発生しました。」ではなく、自分達の原発推進国策の論拠であったであろう。そうすれば、多くの通行者は、座り込みのビラと高札の双方を読んで比較し考えたであろう。勿論、こんな事は起こらなかった。それ故に、高札の撤去は、放火犯に擬せられたM氏の名誉にとっても、品位を傷付けられた官僚諸氏にとっても善き事である。殆ど毎日座り込んでいる老女の話によると、官庁が新年度に入って、4月1日(土)か2日(日)に撤去されたらしい。初登庁する新人官僚諸氏にこんな高札を見せるのが恥ずかしくなったのであろう。
ところで、経産省ポケットパークにテントを張ったM氏等は、1日当たり2万2千円、テントが撤収されるまでの千数百日間の総計4千万円近くの土地使用料を支払うように国から要求されていると言う。私=岩田は、高札と同じく、使用料支払請求も取り下げるべきだと思う。国がそれを妥当とする論拠を見付けられないならば、4千万円の83%の引き下げの論拠はある。森友学園は9億5600万円の土地を83%引きで8億円も安く国から買うことが出来たからだ。
考えてみると、テント・座り込みの提起する原発放射能の問題と森友学園の提起する教育勅語の問題とには重大な共通点がある。共に幼児・小児の生長と健康とに決定的に影響する。片や身体の生長に対して、片や心の生長に対して。一方が金銭的に罰則を受け、他方が金銭的に優遇される謂れはない。
ここで一言すると、教育勅語を教育から全面的に排除せよとは考えない。聖書にもとづく教育、論語にもとづく教育、共産党宣言にもとづく教育、毛語録にもとづく教育、フランス人権宣言にもとづく教育、法華経にもとづく教育等々が許容されると言う条件の下ではあるが。
平成29年4月5日(水)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion6604:170407〕
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