東芝続報:監査法人の「適正意見」がないまま2016/12期四半期決算を発表=このままでは上場廃止ののち衰弱死しかない=早く自身も会社更生法適用を申請し半導体部門を残したまま新生東芝に生まれ変われ
- 2017年 4月 14日
- 評論・紹介・意見
- 田中一郎
- 文春砲「東芝「原発大暴走」を後押しした安倍首相秘書官、今井尚哉」)
- 東芝の半導体売却の成否は“拒否権”を持つ米提携先が握る
(最初に若干ことです)
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1.共謀罪反対集会等予定表
2.特集ワイド:「放射能汚染防止法」制定運動 「原発事故に罰則」なるか – 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20170410/dde/012/040/003000c?fm=mnm
3.検査院指摘で復興予算「9兆円未使用」発覚 3兆円は塩漬け 日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/203432
http://www.asahi.com/articles/DA3S12888878.html?ref=nmail_20170413mo
4.地位協定は変えられる 米軍の世界戦略は柔軟交渉 (1-2) 〈AERA〉|dot.ドット 朝日新聞出版
https://dot.asahi.com/aera/2017041000060.html
5.玄海原発再稼働、佐賀県議会が同意 知事も容認見通し (朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170413-00000029-asahi-soci
6.アクセス:なぜ軽い、復興相 今村発言、差別増幅の恐れ – 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20170407/ddm/041/010/100000c
(関連)今村復興相 激写
https://assets.change.org/photos/0/zj/lx/HvZJlxefOoUHfsX-800×450-noPad.jpg?1491398127
(関連)記者の目:自主避難者 住宅提供打ち切り=大久保昂(大阪科学環境部) – 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20170413/ddm/005/070/007000c?fm=mnm
(確かに「事故から6年。この間の国や福島県、避難先の自治体が避難者の生活再建を支える体制が不十分だった」ことはその通りだけれど、他方で、毎日新聞を含むマスコミの報道もまた不十分だったことを認識していただきたいものである。:田中一郎)
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一昨日の4月11日(火)、買収した米国WH(ウェスチングハウス社)の海外原発ビジネスで、これまで隠蔽されてきた巨額の損失が表面化して倒産の危機に陥っている原発企業・東芝が、懸案となっていた2016年4~12月期の決算を発表した。しかしながら、今回の発表についても、監査法人の「PWCあらた」はその内容に合意せず、東芝は「適正意見」を得られないままの見切り発車となった。決算には東芝の事業継続に「重要な疑義がある」との注記が付き、監査法人の「意見不表明」とあわせて異例の事態となっている。このままでは今年6月頃に予定されている2016年度決算(2017年3月期)もあやしくなり、また東京証券取引所では1部上場から2部上場へ転落後も「特設注意市場銘柄」に指定されて、上場が維持できるかどうかの内部管理体制の審査を受けているため、この一件でますます上場維持が厳しい事態となってしまった。
また、ご承知の通り東芝は、債務超過に転落したため、自身の自己資本を補充するため、虎の子の半導体部門を分社化して売りに出し、兆円単位の資金を調達しようとしている。しかし、本日(4/13)の新聞情報では、半導体事業で提携をしていた米ウエスタンデジタルから、その提携契約に基づく「異議申し立て」があり、半導体部門売却に関して独占交渉権の要求が突きつけられている旨の報道がなされた。東芝は、こうしたこと以外にも、たくさんのマイナス要因やトラブルを抱えてその対応に苦慮しており、このままの経営方針では、早晩、経営破たんを余儀なくされるだろう。
以下、簡単なコメントを付して、東芝に関する山のようなマスコミ報道の中から、必見必読と思われるものや、視点や角度が少し違う議論をいくつか選んでみなさまにご紹介申し上げようと思います。
(1)東芝、信頼欠く決算発表、監査法人「意見不表明」(朝日 2017.4.12)
http://www.asahi.com/articles/DA3S12887149.html
http://www.asahi.com/articles/DA3S12887157.html
(2)東芝、監査意見なく決算、16年4~12月、債務超過2256億円(日経 2017.4.12)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO15200890S7A410C1MM8000/
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO15201750S7A410C1EA2000/
(3)半導体の独占交渉権要求、米ウェスタンデジタル 東芝に意見書(日経 2017.4.13)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ12HPX_S7A410C1MM8000/
(4)東芝、高値売却に足かせ(日経 2017.4.2)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO14807720R00C17A4EA4000/
(5)東芝半導体売却に立ちはだかるウエスタンデジタルの「拒否権」(『週刊ダイヤモンド 2017.3.11』)
(6)東芝、半導体入札4陣営に、共同投資の米企業は異議(東京 2017.4.13 他)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201704/CK2017041302000112.html
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170413-00000007-asahi-bus_all
(7)東芝国策決算は完全に裏目、ゾンビ企業救済シナリオ、にわかに暗雲(日刊ゲンダイ 2017.4.14)
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/897.html
(8)東芝の半導体売却、「日本連合」出資案(朝日 2017.4.8 夕刊、9)
http://www.asahi.com/articles/ASK4831VGK48ULFA001.html
(9)東芝「原発大暴走」を後押しした安倍首相秘書官、今井尚哉(一部抜粋)(大西康之『週刊文春 2017.4.13』)
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-16225.html
(田中一郎コメント:その1)
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この記事は必読です。久々の大型「文春砲」でしょう。以下には、当該記事の最後のページにある「東芝の海外資源ビジネスへの侵蝕とその大失敗」について書かれている部分をほんの一部だけ抜粋しておきます。みなさまには、ぜひとも原本入手の上、ご覧いただきたい記事です。海外資源ビジネスのプロである大手商社でさえ市況変動の激しさから海外資源関連には手を出しかねているときに、事業経験のないど素人の原発・電機メーカーの東芝がそれに手を出して次々と失敗を重ね、最後は身の丈をはるかに超えるリスクを抱え込んで倒産の憂き目に合う、しかも、その海外資源ビジネスを推し進めたのは社長とその直属の様な形で配属されていた職員だったという話、まさに愚かな企業が滅びゆく典型事例のような話である。この記事のどこまでが本当かは部外者からはわからないが、記事を読む限りでは「さもありなん」の内容である。東芝は、滅びるべくして滅んだ、そんな印象を強く受けた次第だ。
(一部抜粋)
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(中略)最も高くつきそうな「のりP(佐々木社長のこと:田中一郎)のお買い物」が13年9月、米フリーポートLNG社と結んだ天然ガスの液化加工契約だ。
(中略)その頃、米国では「シエールガス革命」の結果、電力料金が急激に下がっていた。東芝が米テキサス州で計画中の原発「サウス・テキサス・プロジェクト(STP)」は「発電しても電気の売り先がない」という状況に陥っていたのだ。それでも、取締役会では「STPを減損する必要はない」と主張し続けていた佐々木氏。肝煎りのSTPを続行する上で、STPから約七十キロの距離に位置するフリーポート社の案件は「渡りに船」だった。天然ガスを液化するには大量の電気が必要だからだ。
だが、その後、LNG価格は原油に連動する形で暴落。フリーポート社が一九年から生産を始め、東芝が引き取るLNGは「今のコストでは買い手がつかない」とみられている。買い手がつかなければ、東芝は最大で約九千億円の債務を抱えこんでしまう。まだ帳簿上は「健全な資産」として計上されているLNG事業やウラン関連投資は今後、巨額の損失に化ける可能性が高い。WHの破綻で一兆円の損失を出し、債務超過に陥った東芝。半導体メモリー事業を売却し、一・五兆〜二兆円を調達しようとしているが、新たに資源関連の減損で一兆円超の損失が発生すれば倒産である。(以下、省略)
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<関連サイト>
(1)「内部統制は有効」、開き直った東芝決算:日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/041100661/?n_cid=nbpnbo_mlpum&rt=nocnt
(2)9%超に買い増し 旧村上ファンド“東芝乗っ取り”の現実味 日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/203216
(3)11行、140億円請求提訴 「株価急落で損失」 東芝不正会計問題:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/DA3S12882132.html?ref=nmail_20170408mo
(4)クローズアップ2017:東芝、異例の強行 決算発表、延期回避を優先 監査法人と「見解相違」 – 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20170412/ddm/003/020/030000c?fm=mnm
(5)三菱重工、瀕死・東芝の二の舞の兆候…赤字1兆円の原発企業に巨額出資の博打、赤字垂れ流し事業も ビジネスジャーナル
http://biz-journal.jp/2017/04/post_18541.html
(6)東京新聞 最高3兆円で買収提示 鴻海、東芝の半導体事業経済(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017041001002155.html
(7)東芝、国会に波及しても「国に守られる」フシギ (文春オンライン) – Yahoo!ニュース
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170412-00002134-bunshun-pol
(8)東芝「国策決算」発表 監査法人の“お墨付き”なしでも強行 日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/203360
(9)東芝決算:調査継続は「意味ない」 記者会見一問一答 – 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20170412/k00/00m/020/119000c?fm=mnm
(田中一郎コメント:その2)
下記は直近の『日経ビジネス』の記事ですが、東芝への援護射撃の様な、所謂「御用記事」のたぐいでしょう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/041200662/?n_cid=nbpnbo_mlpum&rt=nocnt
東芝を巡る問題は山のようにあって、このまま自然態でいけば、ほぼ確実に倒産です。『週刊文春』記事や新聞報道(朝日新聞他)にもあるにように、原子力ムラや政府関係(水面下も含めて)から「救いの手」が入る可能性はかなり高いのではないかと思われます。その場合の最大の問題は取引金融機関にどこまで損失(債権カットやデット・エクイティ・スワップなど)を飲ませるかということが焦点になってきますので、水面下ではかなりのバトルになっているのではないかと思われます。
私は、東芝のビジネス上の懸念として(東芝本社が会社更生法手続きを経ない場合)、米国WHからみの原発ビジネスについて、「簿外」も含めてさまざまな底なしの債務を断ち切れるかどうかという点に加え、(1)英国や欧州での原発関連ビジネスでの債務の動向、(2)米国での天然ガスビジネスの行方、の2つが気になっています。原発や被ばくの問題に詳しい渡辺悦司さんは、東芝の抱える経営・事業リスクについて、次のようなことを列記されています。
さらなる東芝の損失リスクは:
・WHへの追加の債務保証(今ですでに220億円)
・WH関連の損害賠償訴訟が東芝に対して提起される可能性
・LNGの長期契約に伴う損失(最大1兆円規模)
・ランディスギア社の減損(最大1600億円)
・ウラン開発計画
・カザトムプロムによる買取権の行使(1000億円程度)
・台湾半導体メーカーによる東芝の特許侵害提訴
・既提携企業WDとの半導体部門売却トラブル(1.2兆円規模)
・日本政府あるいは米政府による半導体売却への介入あるいは阻止の可能性
・これらによる半導体部門売却の不調の可能性
・不正会計処理による株主の東芝に対する損害賠償訴訟(すでに数百億円)
・米司法当局が11条の適用を認めない可能性
・東京証券取引所による上場廃止の可能性
・上場廃止をめぐる株主の損害賠償訴訟の可能性
東芝にとっても、また、私たち日本人にとっても、最適解はやはり東芝自身も会社更生法の適用を申請し、半導体ビジネスは東芝グループに残したまま、原発を含む過去の失敗事業の精算を行い、新しい東芝として生まれ変わることだろうと思われます。最大のネックは、何につけてもノーナシで判断力や決断力に欠けたボンクラ経営陣の諸君たちです。今日の日本の大企業群の経営陣は、みな、こんな連中がやっていると見ておいて間違いありません。民間企業でありながら、霞が関の官僚たちよりも、よりお粗末な官僚に成り下がっているのです。しかるべきのちに、西田・佐々木・田中以外の経営幹部たちも株主代表訴訟で追及すべきです。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion6615:170414〕
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