Global Headlines:ナショナリスト(ル・ペン)対新人(マクロン)
- 2017年 4月 24日
- 時代をみる
- 合澤清
“DIE ZEIT”のオンライン版速報によれば、フランスの大統領選挙は、予想通りリベラル派のマクロン対「国民戦線」党のル・ペンの一騎打ちとなってきたとのこと。今朝の報道によれば、ドイツではこの選挙は「EU蔑視者対マクロン」というふうに見られているようです。多くのフランス人もこの選挙をEUへの信任投票とみなしているようです。難民問題からEU問題へと視点が大きく変わりつつあります。
(紹介者コメント)
IMFのWorld Economic Databasesで経済収支の統計を調べると大赤字国アメリカは万年最下位で、次がイギリスとなる。それに比べてドイツは、黒字国のトップ。フランスも下から数えた方が早い程度のものである。難民問題はストレートに国民負担(税金など)の問題につながる。そして国民生活のレベルダウンがいつも前面に立てられて問題視されている。しかし、国家の経常収支問題から考えてみるとどうなるのであろうか。
イギリスにはこれといった産業はない、金融によって成り立っているだけである。フランスも大方は農業国の様相を示している。ル・ペン支援の層には牧畜業や農民層が多いと聞く。国内産業の競争力不足から来る失業などが、生活不安(福祉切り下げと増税など)と合わさって、すべての原因が難民受け入れとEUの政策にあるとの不安をあおっているのが現状ではないだろうか。EUというブロック経済圏構想が、ある意味での逼塞状態にあることは事実であろう。かといって、第二次大戦以前にドイツが積極的に採用した二国間協定での、「弱肉強食」型取引によってトランプが主張するように自国経済が復活するとも考え難い。
直接「難民受け入れ」に結び付けられた不安感は、実際にはドイツの下層民の間でも蔓延している。特に旧東ドイツ地域に多い。EU設立時の主旨が、ドイツの再びの台頭を抑えることにもあったという点は、今やすっかり蚊帳の外に置かれているようだ。
ポスト資本主義の在り方が根底的に問われていると思う。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
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