現代史研第300回――合澤氏に感謝――
- 2017年 6月 12日
- 評論・紹介・意見
- 岩田昌征
6月10日(土)午後、明治大学自由塔6階1065教室にて現代史研究会第300回目の研究集会が開催された。
清水学氏が中東政治を活写し、矢吹晋氏が準超大国中国を中心に現時の国際関係を分析し、加藤哲郎氏が現代文明方向論的に前二者の所論にコメントした。各氏は夫々の知的分野で日本第一人者群の一員と目され、本人達もそう自負している。
現代史研究会第300回の節目記念講演会であった。
集会の最後に研究会300回の意義を語られる予定であったアダム・スミス研究の老師田中正司先生が高齢に抗し難く欠席された故、急遽代打で数分語れと迫られた。
現代史研究会は、マルクス哲学者の革命国士故広松渉教授の発意で始まったが、そもそも最初から合澤清氏が実質的主催者として今日までその歴史を歩んで来た。個人主催の研究会が300回を重ね、数十年の風雪に耐えて来たとは!!
合澤氏は、自身の思想的関心であるマルクス主義から近代西洋思想の諸古典(アダム・スミス、ヘーゲル)を軸にしつつ、時点時点の現代史的諸論題をとりあげ、学識・情報蓄積・社会運動経験知のある語り手を探し、依頼し、研究会を実践して来られた。研究集会のアカデミックな質と運動論的レベルとが相克していない。300回である。それなりに資金的基盤のある大学の文系学部や研究所においてさえ、このように明確な幅と方向性ある問題設定でかかる長期間にわたって研究会活動を持続する事は至難である。氏は、それを外部資金なしに個人でやりとげて来た。但し、山内一豊の妻以上の伴侶の助けを十分に受けて。
ここで、私=岩田は、民活、民間活力をしばしば語る市場主義者達を想い起す。そんな人々は結局財団なり、公的予算なりの外部資金を取って来て事を成す。それに対して、市場主義に批判的な氏の行って来た実績はまさしく民間活力それ自体である。
氏、氏の奥方、そして集会の応接などの庶務を担って来られた方々に現代史研究会の研究集会の受益者の一人として深謝の気持ちを伝えたい。
最後に一首をささげる。
もの究はむこころざしこそ深めけれ
みつももつどひ(三百集会)ひとりにな(担)ひて
平成29年水無月10日夜 岩田昌征、大和左彦
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion6724:170612〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。