アベ・えこひいき政治には、もううんざりだ。
- 2017年 6月 14日
- 評論・紹介・意見
- 澤藤統一郎
本日(6月13日)は、本郷湯島九条の会による定例の本郷三丁目街頭宣伝の日。午後の法務委員会での、共謀罪法案強行採決があり得るとの報せで緊迫した雰囲気の中、参加者のボルテージも上がった。そのメンバーと一緒に国会へ。衆議院第一議員会館内でのシンポジウムに参加した。
本日は、与党側が内閣委員会の委員長(民進党)に対する解任決議案提出をきっかけに、野党側が国家戦略特区を担当する山本地方創生担当大臣に対する問責決議案を提出。加えて、金田法務大臣に対する問責決議案が提出されて、審議はストップしたようだ。この成り行きは、シンポジウムの途中で、宮本岳志議員から報告された。会期末まであと5日。場合によっては延長もある。強行採決の危機は、ずっと続くことになる。野党がどれだけがんばれるかは、ひとえに国民世論のあり方にかかっている。
参加したシンポジウムは、「森友問題の幕引きを許さない市民の会」が主催した「森友・加計問題を考えるシンポジウム」。
パネリストは、小川敏夫(民進党 参議院議員)、宮本岳志(日本共産党 衆議院議員)、杉浦ひとみ(弁護士)、青木理(ジャーナリスト)の各氏。コーディネ-タ-が、醍醐聰さん。時宜を得て盛会だったし、議論も盛りあがった。
幾つかのテーマが話題となった。今のアベ政治が、私益のためにねじ曲げられたデタラメ政治となっていることは確認できたが、さて、この事態にどのような具体的な対抗策が考えられるのか。これがシンポ参加者の問題意識。暴走する権力を、誰が、どのように止めることができるのか。「最後は国民の一票」というのはそのとおりなのだろうが、誰もがそれではもどかしい。その余の術はないのか。
まずは議会である。とりわけ野党の役割が期待される。国政調査権をフル活用して、国民の声を背に権力の横暴を暴き追及する。今国会では、野党はよくやっているとは思う。しかし、所詮は数がものをいう世界の話。野党側議員の数が少ない。数の力で押し切られては如何ともしがたい。
次いで、メディアに期待が集まる。官房長官を30分にわたって質問ぜめにして食い下がり追い詰めた、東京新聞社会部記者の話題に拍手が湧いた。しかし、この拍手は普段のメディアへの失望をも表したもの。欧米の記者たちの要人に対する切り込みの鋭さが話題となった。彼我の落差はどこから来るのだろうか。本来権力への監視こそがジャーナリズムの役割。「大手町に本社のある新聞2社」の権力とつるんだ体たらくが、今の日本のメディアのあり方を象徴している。パネラーからは「がんばっているメディアや番組を応援していただきたい」との発言があった。
さらには、暴走する権力への司法の歯止め期待される。会場から「具体的な司法活用の方策はないのか」という質問が寄せられた。パネラーからは、「行政訴訟や民事訴訟の活用は、具体的な被害を受ける者以外には原告適格は認められず、一般的にはむずかしい。」「場合によっては、罰則のある具体的な法違反について告訴や告発をすることはできるだろう」と回答された。
ひとしきり話題となったのは、準強姦の被告訴人として逮捕寸前であった元TBS記者山口敬之の不起訴事案。アベ政権御用達記者として名高い彼の逮捕状の執行を取り消したのは警視庁中村格刑事部長(当時。現警察庁)。これも、アベ政権の「ご意向」ないしは「忖度」事件。自らにシッポを振って忠誠を誓う者に対する、「えこひいき政治」の腐臭が漂っている。
この件について、パネラーからは、「検察審査会の起訴相当決議は検察官を拘束する。場合によっては強制起訴にもなる。検察審査員は一般国民から選任されるのだから、世論の後押しは効果があると思う。検察審査会に世論を示して後押しする行動の工夫が大切」との発言。
議会、メデイア、司法の各局面を通じて重要性が強調されたのが、行政文書の保存と公開。情報公開制度の形骸化を許してはならないことが、繰りかえし語られた。
そして、加計学園問題において公益通報を決意した公務員に対する「守秘義務違反攻撃」の卑劣さが話題とされた。
行政情報は公開が大原則である。公務員法が刑罰で漏示を禁止されている秘密とは、いわゆる「実質秘」に限られる。非公知の事項であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものをいう、とされている。
具体的には、微妙なグレーゾーンがあるにせよ、今回の「内部告発」を公務員の守秘義務違反として封じ込めようとは、さながら悪代官の悪あがきではないか。元ヤンキー先生こと義家弘介文科副大臣よ。悪代官になり下がりたいか。
内容の濃いシンポジウムだったと、同行した地域の方にたいへん好評だった。このことが、地域の運動の盛りあがりにもつながるだろう。
(2017年6月13日)
初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2017.06.13より許可を得て転載
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〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
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