タケシ風パロディ「あべ友学園問題を斬る」
- 2017年 7月 3日
- 評論・紹介・意見
- 安倍盛田常夫
もう70の齢を前にするとさ、若い時とは違って、人を見る目が変わってくるんだよな。少し前までは政治家にならないかって誘いもあったんだけどね、そういう気持ちになれなかったね。正解だったよ。だって、政治家の世界とは肌が合わないもんな。政治家になったら好き勝手なことが言えないんでさ。いつも自分の気持ちや意見を抑えていなきゃいけないってのは、オイラの性にはまったく合わないよ。
政治家って言うのはさ、「平気で嘘をつく」必要があるんでね、思ってもいないことをさ、シャーシャーと言える図太さがね。「嘘つきは泥棒の始まり」っていうけどさ、今じゃ「嘘つきは政治家の始まり」だよな。いつも嘘ばかりついていたら、人格が悪くなるね。政治家の下で働く官僚もたいへんだよ。あることをないことにしたりさ、言ったことを言わなかったことにしたりして、親分の面子を立てなきゃいけないからね。だから、優秀な官僚ほど政治家になりたくなるのさ。「今度はオレが政治家になって、官僚をこき使ってやる。馬鹿な政治家を見下してやる」ってさ。こういうタイプも人格が悪くなるね。こんな人ばかりが政治家になったら、政治はいったいどうなるだろうね。まるで、「狐と狸の化かし合い」になってしまうよ。
オイラはさんざん右寄りだって批判されたこともあるけどさ、今の世の中、右も左もないよ。右でも左でも良いけどさ、やっぱり嘘偽りなく、本音を率直に語ってくれる政治家が懐かしいね。右でも高潔で知性のある人はいるし、盲目的で馬鹿なのもいるさ。いろいろだよ。左だって同じなんでね、教条的にイデオロギーを唱えている人なんて、魅力ないさ。それより本音で語ってくれる人の方が、人間として魅力的だよ。
今問題になっている森友学園や加計学園、何か気持ちがすっきりしないね。オイラの見るところ、すっきりしないのは、ちまちましたことに大騒ぎしなければならないことなんだけどさ、その背後にある人間関係に人の性(さが)を見てしまうからだろうな。
さんざん森友学園の教育を賞賛していたくせに、メディアで教育内容が暴露されると、手のひらを返すように知らんふりする「知識人」がいるのには驚いたね。右でも左でも、こういう「識者」は人として信用できないね。森友の幼稚園でさんざん教育方針を褒めそやし、1回の講演で80万円とか100万円もらっていたというじゃない。それも一度きりじゃなくてさ。何度も講演していたくせに、「名前を利用されただけ」なんてシャーシャーという「知識人」なんて許せるのかね。オイラに言わせりゃ、こういう輩は「政治屋知識人」だね。
それにしても、安倍さんも潔くないな。器が小さいね。本当は宰相になる器じゃなかったのに、家系や派閥の力学で首相になってしまって、それに右派が勢いづいて、一生懸命盛り上げているって状態だな。国会の答弁を聴いても器の小ささが分かるよ。森友も加計も、かかわったというより、安倍夫妻が問題の当事者だよ。それを「私や妻が関わっていれば首相も国会議員も辞める」と啖呵を切ってしまったから、自分で自分の首を絞めることになってさ。官邸は隠すのに懸命になっているけど、傍目には見え見えなんでね、一生懸命逃げているのが官邸だというのは小学生でも分かるさ。それどころか、問題の責任を官僚に責任を押しつけてさ、潔くないよ。器が小さいね。だから、世論調査で安倍内閣を支持しない理由に、「人柄が信頼できないから」(NHK世論調査)が多数を占めるわけさ。何でこの程度の人が宰相になっているのか、ってさ。
それに比べて、小泉さんはすっきりしていたよ。頭も良かったね。安倍さんは、「劣等生のコンプレックスを抱えた宰相」だから、知性と高潔さに欠けるね。切れ味が全くないもん。もっともさ、オイラの見るところ、19世紀から20世紀にかけての啓蒙主義時代と違ってさ、今はさ、本当に賢くて知性のある人が政治家になるわけじゃなくてね、知性には欠けるけど悪知恵が働く人が政治家向きなんでね。それは世界を見てもそうだな。ロシアだってアメリカだって、知性があって高潔な人が大統領になっているとは、誰も思っていないもんね。その点じゃ、北朝鮮の馬鹿息子と大差ないさ。政治家は威張っているけど、その程度なんでさ。そういう政治家に国民が采配されてるってことだね。まぁ、自分たちで選んだんだから、仕方がないけどね。
それにしても、菅官房長官の睨みや恨みは恐ろしいね。NHK「クローズアップ現代」の国谷裕子キャスターの降板が突然に決まって、番組がなくなったのはさ、集団的自衛権にかんする菅官房長官へのインタビューで、畳みかけるように厳しい質問を繰り返したことが、菅官房長官を苛立たせたからというのがもっぱらの噂でさ。首相のお友達の会長を通して、現場に下りたんだろうね。そういう命令が。
そういえば、この菅さん、記者会見で前川前文科省事務次官の「出会い系バー」への出入りを暴露し、事前にその情報を「読売新聞」にリークしてるよね。警視庁か、警察庁かしらないが、公安警察の刑事が尾行してるってことかね。これって、ロシアのKGBか、戦前の思想犯を摘発していた特高(特別高等警察)と同じだな。何度通ったかも調べられているんだから、恐れ入るよ。おいらなんかの素行なんぞも、調べられているんだろうな。事細かに何時何時間、ソープで遊んだとかさ。そんなこと、余計なお世話だけど、怖いね、権力は。
そういえば、テレビ朝日の報道ステーションで、古賀茂明さんがコメンテーターを外された件も、官邸から陰に陽に、テレビ朝日首脳に脅しが入ったからっていうじゃない。政府に批判的なことを言ったら、民間企業でも放送法を盾に、脅すんだからね。権力をちらつかされると、縮こまってしまうんだね。だから、国連人権委員会任命の「報道の自由」特別報道官がさ、問題を指摘してるんでさ。
官邸の警察筋の話、5月にレイプ告発した「詩織」さんの証言で、はっきりしたね。官邸には警察官僚が補佐官や秘書官として勤務してるから、この程度の情報を取るのは難しくないってことさ。山口敬之・元TBSワシントン支局長が準強姦罪で逮捕される寸前に、警視庁中村格刑事部長から中止命令が下された経緯も、今となっちゃ明々白々だね。中村部長は菅官房長官の秘書官だったっていうじゃない。彼が勝手に逮捕命令を取り消すことができるわけないんでさ、山口氏が内閣官房に泣きを入れて、官邸筋から中村氏に「なんとかできないか」って言われたんだろうな。アベノヨイショになれば、犯罪も揉み消されるって、今の日本、先進国なんだろうかね。
それにしても、この中村格という人、古賀さんの降板の際も、菅官房長官に代わって、官邸からテレビ朝日に脅しを入れてきた人らしいね。菅さんから、「将来の警察庁長官だ」と持ち上げられているみたいだから、一生懸命に忠誠を示しているんだろうな。でも、おいらには、戦前の特高部長にしか見えないよ。自らを権力と同化させた権力の犬ほど、怖いもの知らずはいないね。時代が戦前なら、特高部隊を陣頭指揮して、「左翼」を摘発し拷問を加えたのだろうな。
そんなことを考えていたらさ、「週刊新潮」(6月22日号)の中吊りに、<疑惑追及「女性記者」の身辺調査を指示した官邸の強権>というタイトルがあるのを見てびっくりしたね。東京新聞の社会部の女性記者が、頼りにならない他社の政治部記者を差し置いて、20分近く、菅官房長官の記者会見で食い下がって質問攻めにしたようだ。これがまた、菅さんの気に障ったようだな。菅さんを怒らせると、警察官僚を握っているから、警察権力が出てくるってわけさ。今の政権は、それほど日本を警察国家にしたいのかね。
だいたい、大新聞の政治記者なんて、定期的に政治家と飲み食いしているから、鋭い追及なんてできないんでさ、それを見かねた社会部記者が、顔をしかめる他社の政治部記者を差し置いて、菅さんを追及したというのが事の真相のようだよ。あっぱれだね。けどさ、またぞろ、警察権力の行使だもんな。これに謀略罪が加われば、まるで戦前の特高と同じだな。KGBも顔負けだよ。
独裁的な権力が成立する過程には政治家だけでなく、それを支える官僚や政権をヨイショするメディアや物書きがいるんでさ、それはどこの国でも同じだね。ヨイショしてれば甘い汁が吸えて、批判すると睨まれるのもね。
でも言いたいね。日本には政治が解決すべきもっと大きな問題があるんじゃないの、って。政権批判に警察権力を利用する暇があるなら、もっと将来の日本社会が抱えている重大問題に真剣に取り組んだらどう、ってね。でも無理だろうな。今の政治を担っている人たちは、みな政治屋だからね。
将来の年金制度やインフラの維持管理、原発の廃棄処理、金融緩和策の後始末など、まったく頭にないね。悪知恵は働くけど、劣等生が造る政権では、将来日本の問題を解決するなんて、夢の夢だね。そういう政治家を選んできたのは国民だから、自業自得っていうことかね。おしまい。
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