街頭からー「安倍晋三だけにではなく、小池百合子にも批判の目を向けよう。」
- 2017年 7月 12日
- 時代をみる
- 澤藤統一郎
いふまいとおもへどけふのあつさかな
暴力的なまでに照りつける強い日ざしの中の、真昼の街宣活動となった。
本郷三丁目のご近所の皆様、本三交差点をご通行中の皆さま。毎月第2火曜日の昼休みに続けております、定例の「本郷湯島九条の会」からの訴えです。暑いさなかですが、しばらくお耳を拝借いたします。
7月2日東京都議選から10日ほどが経ちました。その前と後とで、政治的な風景は劇的に変わっています。自民党は、前回59議席から23議席に激減しました。その後の世論調査での内閣支持率は軒並み30%代前半の数値を示し、あの読売の調査でも「不支持52%」となっています。
一強といわれた安倍政権は、誰の目にも行き詰まりが明らかとなっています。安倍自身はトカゲの尻尾を切っての生き残りを考えているようですが、それは甘い。国民は、尻尾ではなく頭のすげ替えを要求していると指摘しなければなりません。
アベ一強にガタがきた原因は大きく二つあります。
その一つが、悪法強行の濫発。特定秘密保護法、集団的自衛権行使を容認した戦争法、福祉の切り捨てや労働法制改悪。そして極めつけが治安維持法の再来というべき共謀罪法。いずれも、数を恃んでのゴリ押し。強行採決。終わったあとに、「これから国民の皆様に丁寧に説明してまいります」という口先だけの反省のポーズ。
もう一つが、政治と行政の私物化。「アベのアベによるアベのための政治」、あるいは、「オトモダチのオトモダチによるオトモダチのための政治」に、国民はノーを突きつけたのです。
では、選挙結果はアベ体制の崩壊が始まったことで、すべてOKだったか。イイエ、そうではありません。自民党から離れた票は、都民ファーストの会が最大の受け皿となって都民ファーストの会が55議席も獲得するという大きな変化が生じました。しかし、いったい都民ファーストの会とはなんでしょうか。実はよく分りません。都民は、実態がよく分からぬままに、巻きおこった風のまにまに、都民ファーストの会に投票してしまったのではないでしょうか。
たとえば、地元文京区の選挙結果を見てみましょう。立候補者は3名でした。そのうちの2人の憲法に対する姿勢ははっきりしています。憲法擁護、憲法の理念の実現を掲げる候補がひとり。共産党の福手裕子さんです。もうひとりは、現行憲法を敵視し自主憲法制定を党是とする自民党から立候補した中屋文孝候補です。この2人の票は接近し、26,782対26,997の票差わずか215票。得票率では、27.91%と28.13%でした。福手裕子さんは共産党公認でしたが、事実上護憲勢力の代表だったと言えます。そして、敗れはしましたが新人でありながら前回トップの自民候補と互角のつばぜり合いを演じました。
トップ当選は、前回民主党から出馬して落選した都民ファーストの会の増子博樹候補でした。間違いなく公明党の票もここに入っています。都民ファーストの会は護憲政党でしようか。それとも改憲政党なのでしようか。実は歴とした改憲派勢力だといわねばなりません。
都民ファーストの会の役員は2人だけ。代表の野田数(かずさ)と小池百合子、この2人だけですべてを決めています。野田は、スキャンダラスな話題を振りまいていますが、大日本帝国憲法の復活を願う立場の極右。そして小池百合子が日本国憲法に敵意満々の右翼。極右と右翼の組み合わせが、都民ファーストの会にほかなりません。
野田は、もと東京維新に所属して、「我々臣民としては、国民主権という傲慢な思想を直ちに放棄し」という驚くべき思想の持ち主です。そして、小池百合子は、かつて『VOICE』誌の座談会で「核武装の選択肢は十分ありうる」と次のように述べています。
「軍事上、外交上の判断において、核武装の選択肢は十分ありうるのですが、それを明言した国会議員は、西村真吾氏だけです。わずかでも核武装のニュアンスが漂うような発言をしただけで、安部晋三官房副長官も言論封殺に遭ってしまった。このあたりで、現実的議論ができるような国会にしないといけません。」
核武装是非の論議ができるまともな国会にしていこうというのです。
アベ一強を政権の座から追放するだけが課題ではなく、小池百合子やその亜流の跋扈も許してはならないと思います。都民ファーストの会が安倍自民と組んで、自・公・都ファの大連携だって考えられるのではないでしょうか。是非、批判の目で国政も都政も、安倍も小池も見つめていこうではありませんか。
(2017年7月11日)
初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2017.07.11より許可を得て転載
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