タケシ風パロディ: どこへ消えたアベノミクス
- 2017年 8月 23日
- スタディルーム
- アベノミクス盛田常夫
オイラには経済学の知識なんてないけどさ、最近はアベノミクスっていう言葉が聞かれないね。安倍内閣の凋落とともに、アベノミクスも失墜したのかね。日銀がお金を市中にどんどん供給すれば、世の中の景気が良くなるってことだったけどさ、株や円安でボロ儲けした人や会社は別として、庶民の生活は変わり映えしないな。思い切ってお金を供給すれば、物価が上昇して、景気の好循環が生まれるって筋書きは、耳にたこができるほど聞かされたけどね、そういう具合にならないから、皆、だんまりを決め込んでるんだろうな。
でもさ、「予想が外れました。ご免なさい」ですむことなのかね、大幅金融緩和の政策って。この政策を推進した当事者たちは、間違った政策の後始末の責任をどう考えてるんだろうね。安倍内閣をヨイショして、自信満々に、アベノミクスで日本経済は復活するなんて宣伝していた「経済学者」さんが、たくさんいたように思うんだけど、あのヨイショさんたちは今、何んて言ってるのか知りたいね。
大言壮語して日銀副総裁に就任した某氏のように、「私の考えが浅はかでした。それほど簡単なことではないことが分かりました。不明を恥じます」なんて正直に謝っているのか、それともアベノヨイショで金融政策大本営委員に任命された某氏のように、「アベノミクスの効果はこれからです。大幅金融緩和政策を継続すべきです」なんて馬鹿の一つ覚えのようにオウム返ししているのか、挙げ句の果ては、「あれはもう過去のことで、私は考えを変えました」なんてシャーシャーと居直っているのか、知りたいね。まぁ、大方は、「想定した外的条件が変わって、アベノミクス効果が出づらい状況になっているが、そのうち効果が現れます」なんて、予想屋みたいな口ぶりだけどさ。失敗はすべて、外的要因にあると言えば、これほど安直な答えはないんでね、「外的要因を含めて、きちんと検討したんじゃなかったの」、って言いたくなるよな。「それが学者の仕事じゃなかったの」って。
誰が見てもこのヨイショさんたち、潔くないよ。真面目な学者なら、もっと自分の主張に責任を持っているはずなんでね、分析が間違っていたなら、厳しく反省して言動を慎んでもらいたいね。当分の間、政府の政策には関与しませんとかさ。自分が推奨した政策の結末をもっと深刻に受け止めて貰いたいね。そういう襟を正して謹慎する姿勢が必要だよね、「経済学者」を名乗るならね。
ところがさ、マスコミに顔を出している「経済学者」とか「エコノミスト」っていうのは自分の言動に責任を持たなくてさ、状況が変われば自分の意見を簡単に変えて、言い訳するんだよな。ああ言えばこう言うでさ。こういう「経済学者」っていうのはさ、政治家に近いね。理屈をこねているだけでさ。世の中、こういういかがわしい「経済学者」がたくさんいるよ。マスコミに顔を出して金を稼いだり、政府の要職を得たりしてラッキーなんて考えている俗物がさ、「経済学者」とか「エコノミスト」なんて名乗っていると考えりゃ、納得がいくけどな。
要するに、ホイホイとマスコミに顔を出している「経済学者」とか「エコノミスト」なんて、信用できないってわけさ。騙す方が悪いのか、騙される方が悪いのか。どちらかって聞かれりゃ、庶民の無知につけ込んで、悪知恵を働かして実益を得ている野郎の方がワルだと思うがね。まぁ、一種の言論詐欺師だな、アベノヨイショさんたちは。
ところでさ、政府が発行する国債をほとんど日銀が買い取り、日銀が市場にお金をつぎ込んで、何の問題もないのかね。これって政府の借金を日銀が一時的に肩代わりしているってことだよね。日銀が肩代わりすれば、政府はいくらでも国債を発行できるってことかね。テレビでも、物知り顔の「エコノミスト」が言ってたね、「政府の債務は日銀の債権だから、政府をひとまとめにすれば、債務と債権を相殺できて、政府の借金はゼロになる」って。「借金がゼロになる」って、そんな手品ができるんだったら、どんどん国債を日銀に引き受けてもらい、消費税を上げるどころか税そのものを廃止して、健康保険の自己負担をなくして、年金を上げることもできるよな。永遠に安倍さんに首相をやってもらって、日本をそれこそ共産主義の桃源郷のようにしてもらいたいね。
しかし、素人のオイラでさえ、こんな手品ができるわけないと思うさ。子供だましみたいな話だな。国民だって、そんな単純な話を信じるほど馬鹿じゃないんでさ、若い世代なんて、将来、年金制度が機能しなくなるって直感的に感じているよな。ところがさ、三文エコノミストなんて脳天気もいいところでさ、「日本の国債発行は何の問題ありません。これですべてが解決します」なんてね、こういう詐欺師を出演させるテレビ局もどうかしてるよ。地方の商工会議所なんて、こういう調子の良い無責任な輩を講演会に呼んで、高い講演料を払ってんだから、溝にお金を捨てるようなもんだな。
政府が赤字を埋めるために国債を発行し続けて、日銀が国債を引き受け続けたらどうなるんだろうね。お金をつぎ込んでも、生産が増えなければ、いつかとんでもないことが起こることになると思うね。生産が変わらないのに、市中に出回るお金が倍になるだけなら、物価が倍になるだけの話だよな。経済学を知らなくたって、こんなの簡単な算数だよ。借金をチャラにする徳政令なんていうウルトラCもあるんでね、借金はチャラになるけど、預金も一緒にパーになってしまうってわけさ。その時が来るまで、国債はババ抜きのババってことさ。どっちに転んでも、国民が最終的に政府の借金の付けを払うことには違いがないんでね。こんな大事なこと、庶民が実感できるのに、経済学者は実感できないって、どうかしているよ。頭でっかちだから、現実の生活に関心がないんだろうな。だから、学者さんなんて信用できないのさ。いったい経済学は科学なのかね、それともたんなる屁理屈のイデオロギーなのかね。
事の本質はさ、政府の借金は将来の税収の前借りでなんでさ、そんなこと、難しい経済学の話を聞かなくたって、オイラにも分かるさ。前借りは借金に変わりはないんでね、帳簿を書き換えて、借金をなかったことにすることなどできないよ。こんな程度のことも分からない経済学者なんて、存在する価値があるのかね。
日銀は政府の前借りを融通しているだけで、とりあえず前借りを管理しておくってことさ。いずれ二進も三進も行かなくなったら、その付けがどーんと来るっていうことさ。その付けは、将来の世代が払ってください、ってことだよな。まぁ、親の借金を子供が払うようなもんだな。でも、子供にしてみりゃ、「なんてことしてくれたんだ、親の世代は」ってことになるさ。でも、その時はもう手遅れだな。どうしようもないさ。やれることは、親の世代の過ちを、繰り返さないことしかないね。馬鹿な政治家を選ばないことだよ。
それにしてもよく分からないのはさ、年金資産の株式運用だな。ギャンブルに手を出さないのがオイラの信条でさ、要するにギャンブルってのは、お金の取り合いをしてるだけなんでね、儲かる奴がいれば、その分だけ損する奴がいるゼロサムゲームさ。そこからは何も新しい価値が生まれない。しかも、ギャンブルには必ず胴元がいるんでさ、最初からピンハネしているから、分け合うパイは10割じゃないんだよ。胴元は絶対損しないからね。
オイラが言いたいのはね、年金資産の運用に責任をもっているGPIF(年金積立金管理運用独立法人)っていう組織、よく分からない組織だっていうことさ。アベノミクスで株式相場を上げるために、国民の資産をつぎ込んでいると批判されるとさ、「いや、恣意的に相場を上げるために株式投資を行うことはなく、運用は投資のプロに任せてる」って答えるもんね。「えー」、と思うよ。自分で運用しないで、年間何百億円にもなる委託料を払って運用を外部の民間機関に任せてんなら、自分たちが高額の給与をもらう理由なんてないじゃん。そんなの、ごっつぁん仕事じゃないのかね。「運用の委託先を決めるのに、高度な専門知識が必要だ」なんて、屁理屈をこねるんだろうな。頭の良い奴はこうやって、国民資産で食い扶持を繋いでいるってわけだよ。
GPIF組織を維持する経費に加え、小さくない外部委託料で、年間いくらの年金資産がつぎ込まれるのさ。それを知りたいね。だいたい、民間の運用機関っていうのは運用益が出ても出なくても、委託料を請求するんでさ。これも、要するに胴元だよ。運用損益に応じて委託報酬を払うのなら理解できるけどね。
この半官組織と胴元で、年金資産を食い潰しているんじゃないかね。簡保資産の巨額な無駄遣いの例もあるしね。だいたい政治家と官僚がお金を動かして、儲かった試しはないんでさ。公金を投資して相場を上げることができる間は良いさ。投資資金が枯渇すれば、相場が上がる機会も減って、やがて金融緩和政策の手仕舞いが始まると、相場は下がるのは確実だね。ただでさえ、枯渇が心配される年金資産を食い潰すなんて、とんでもないよ。それもこれも、アベノミクスの結末なんでさ、年金資産の株式投資を推奨した「学者」も、株式投資率の引上げを決定した政治家も責任は免れないね。でも、こういう人たちは責任を取ることはけっしてないんでね、安倍さんだって、首相を辞めればそれでお仕舞いだよ。馬鹿な政治家の後始末は、国民が尻拭いするってことだね。そういう政治家を選んだ国民が馬鹿だったというだけのことさ。
安倍さんにしても麻生さんにしてもさ、学生時代にしっかり勉強した努力家どころか、遊び呆けていたただのボンボンだよ。菅(スガ)さんにしたって、ろくに大学で勉強もせず、卒業してからすぐに政治家の書生になった人だよ。そんな政治屋たちに、日本の将来を任せられると考えるのが、間違っているんでね。
ちょっと前まではさ、「安倍さんに代わる人がいない」とか、「菅さんは次の首相」なんて、世間の人たちも物知り顔で語っていたけどさ、この程度の知力知性の持ち主なんて、世の中に掃いて捨てるほどいるんでね。世論調査で、ようやく今になって、「人として信用ができないから」って理由が、不支持のトップを占めるようになったけどさ、気づくのが遅すぎるんじゃないの。安倍さんには悪いけど、オイラなんて、最初から人間的魅力をこれぽっちも感じてないね。だって、話に心がこもってないもん。知性も哲学も人間味も感じさせないね。安倍さんの頭にあるのはステレオタイプの「右翼命題」と「権力維持の使命」だけで、人としての温かみを伝えることができない人だね。オイラの見るところ、これは生い立ちに起因してるさ。親の愛情が少なかったんじゃないの。言ってることも、やってることも、無機質で心に訴える力がないもんな。
もっともさ、知性や温かい心をもつ人が悪知恵を働かせるのは難しいけどね。そういう資質に欠ける安倍さんだったからこそ、極右勢力の神輿に乗って、「歴代政府が躊躇してきた法案や行動をいとも簡単に実行した」、ということだよ。これほど拙速に悪法を次から次へと通したという意味でなら、安倍さんに代わる人はいないけどさ、歴代政府のなかでも、日本の将来に残した禍根は比べものにならないほど大きいよ。だから、戦後最悪・最低内閣と言えるかもね。オイラの見るところ、その禍根は10年もしないうちに、日本社会に重くのしかかってくるね。だから、安倍内閣の罪は深いよ。首相を辞めたから免罪されることはないね。オイラの直感じゃ、「安倍晋三は戦後最低・最悪の首相だった」というレッテルは、歴史の評価から永遠に剥がれないね。
それもこれも、アベノミクスという目先の利益をちらつかされて、浅はかな思い込みをもった政治屋を宰相に据えた結末だね。庶民が目先のことに一喜一憂するのは仕方ないけどね、政治家が庶民と一緒になって、目先のことだけ考えていたら、とてつもない禍根を社会に残すことを知るべきなんでね。それは右でも左でも同じなんでさ、これからは国民も、もっと賢くならないと、将来の世代が苦労するだけだな。何であんな馬鹿な政治家に統治を任せたんだ、と後世の世代に恨まれるよ。おしまい。
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