SJJA&WSJPO【西サハラ最新情報】224 国連を襲うか?トランプ・ハリケーン
- 2017年 9月 4日
- 評論・紹介・意見
- サハラトランプ国連平田伊都子西サハラ
第72回国連総会が9月12日から始まります。 今総会の目玉は、国連無能論を繰り広げてきたトランプ米大統領の国連改革演説です。 しかも、恒例の参加国首脳演説の前日、9月18日に単独でトランプ国連改革演説会を開催するそうです。 そのうえ、このトランプ独演会に参加できるのは、トランプの国連改革10か条文に賛成する国だけとか?
国連安保理常任理事国入りを目指してきた日本は、どう対応するのでしょうね?
トランプのパフォーマンスが、「国連無能論」「国連不用論」を巻き起こしそうです。
そして、国連無能論を裏付ける最たる事例が、「国連西サハラ住民投票の26年間にわたる不履行」なのです。
(1) モロッコ外務大臣ナセル・ブリタのインタヴュー:
<モロッコ生まれ>のテロリストを掲載したフランス週刊誌<ジョンヌ・アフリク>に猛反発したモロッコは、謝罪としてモロッコ外務大臣ナセル・ブリタの外交宣伝を掲載させた。8月30日にCORCASコルカス(モロッコ王立サハラ問題諮問評議会)やMWN(モロッコ世界ニュース)が転載した要約記事を、転載する。
「問題の西サハラに関して、偏った表現は許さない。モロッコがAUに戻ったのは、ポリサリオ西サハラやその同調者が歪めた、王国の立ち位置を正すためだ。7月のACHPR (アフリカ人権委員会)やPSC(平和安全委員会)で自称RASD (サハラ・アラブ民主共和国)やその支援国は、西サハラを<占領地>とか<植民支配地>とか称して、モロッコに不快な思いをさせた。モロッコが留守にしていた間に、AUはとんでもない間違った方向へ走ってしまった」と、モロッコ外務大臣ブリタは、<モロッコ占領地・西サハラ>という表現に難癖をつけた。しかし、<占領地>という言葉は、2016年3月5日に当時の国連事務総長パン・ギムンが使ったもので、UNやEU やAUでは当たり前のように使われている。ブリタ外務大臣は、「我々は、これらの過ちを是正してやる」と、いきまいた。
さらにブリタ外務大臣はAUに関して、「AIUへのモロッコ帰還は、AUの転機になった。が、AU大転換の始まりにすぎない。まず西サハラという障害物を取り除き、モロッコ国王の壮大なご意向をAUに浸透させていく」と、AUの支配権を握る事を予告した。
西サハラを支持するアルジェリアや南アフリカなどの国々に関して、「外交関係は凍結したままで、進展なし」と、モロッコ外務大臣ブリタは認めた。
(2) モロッコ占領地・西サハラを代表するアミナト・ハイダル女史のインタヴュー:
モロッコ占領地・西サハラの女ガンジー、アミナト・ハイダル平和活動家
8月31日、APS(アルジェリア・プレス・サービス)が、モロッコ占領地・西サハラからアルジェリアにやってた平和活動家アミナト・ハイダル女史とのインタヴューを発表した。アミナト女史は、モロッコ占領地・西サハラの首都ラユーンの飛行場を仲間10数人と出発し、モロッコのカサブランカ空港に降り立った。案の定、モロッコ空港警察は一行を拘束し尋問した。結局、モロッコのカサブランカ空港を飛び立てたのはアミナト女史と秘書と弁護士などスペイン・パスポートを持つ数人だけで、逮捕された他の仲間たちは、裁判もなしに今も獄に繋がれている。
アミナト女史は、「私たち西サハラ住民には、移動の自由もない。言論、結社、表現の自由もないし、職にもありつけない。デモは禁止されているし、ネットは妨害されるし、私たちは人間扱いされていない。逮捕と監禁と拷問に脅かされている西サハラ被占領民の実態を、国際社会は知ってほしい。そして、この占領民の悲惨さをもたらす根本原因は、モロッコの占領政策にあるのだということを理解してほしい」と、アミナト女史は一日も早い<民族自決権に基づく国連西サハラ住民投票>の実施を訴えた。
娘と息子を一人づつ持つシングル・マザーのアミナト・ハイダル女史は50才。西サハラ住民の権利を求めて、20才の頃から平和活動を続けて来た。デモンストレーションをすればたちどころに逮捕、仲間で集まっても逮捕、チラシを作っても逮捕、、アミナト女史は人生の大半を、悪名高いモロッコ監獄で過ごしている。そんな中で見つけた抵抗手段が、ハンガーストライキ。2009年10月には、32日間ハンガーストライキの記録を作った。
かくしてアミナト女史は、<サハラの女ガンジー>と仇名されるようになる。
(3) エチオピア国連大使テケダ・アレムが安保理9月議長就任:
モザンビーク外務省が、「モザンビークのマプトで開かれた閣僚級会議場の入り口で、モロッコ代表団がRASD(サハラ・アラブ民主共和国)の入場を怒声と暴力で妨害したのは、非常に心外だ。RASDのみならず、主催国モザンビークとAUアフリカ連合と、TICAD(東京国際アフリカ開発会議)をも侮辱している。AUの一員となったモロッコは、AUの正式加盟国であるRASD(サハラアラ・アラブ民主共和国)や、AU憲章を尊重すべきだ」と、声明を出した。
「いや~たくさんいますね!2.、3人ぐらいと思ってた、、」と、2017年9月1日、エチオピア国連大使テケダ・アレムが、国連報道室で安保理9月議長としての第一声を発した。照れながら、あまりうまくない英語で一生懸命質問に対応する真摯なエチオピア国連大使に、辛辣な記者たちも好感を持ったようだ。この調子で、刺々しい雰囲気の国連安保理を明るく取り仕切ってほしい。エチオピアには、AU本部がある。かっての植民地宗主国や欧米先進国から馬鹿にされ無能扱いされてきたAU, そのAUにUN国連もEUヨーロッパ連合も、あの欧米コンプレックスのモロッコまでもが、色目を使うようになってきた。
金がなくても核がなくても、アフリカは広いな、大きいな、、
たくさんの羊さんが解体される犠牲祭も9月4日に終わって、斬首を免れた羊さんたちはホット一息ついているようです。
が、国連の真面目な国際官僚の方々は、青息吐息のようです。 トランプ米大統領の一言で、あのウエハウスのような国連ビルが、二つに折れないよう祈るばかりです。
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2017年9月4日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion6916:170904〕
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