本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(173)
- 2017年 11月 13日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
時空の歪みと重力波
今年度の「ノーベル物理学賞」は、「重力波を検証した三人」が受賞したが、この理論は、「自然科学」のみならず、「社会科学」でも応用可能なようにも感じている。つまり、「1916年」に「ニュートン」が提唱したと言われる「重力波がもたらす時空の歪み」については、「経済学」や「投資理論」において、将来的に、有効活用される可能性が高いものと思われるのである。
具体的には、いろいろな「時間のサイクル理論」への応用だが、私自身の経験則としては、「10年毎のバブル相場」や「30年毎のインフレ発生」などが当てはまるものと考えている。つまり、「1979年に発生した金(ゴールド)のバブル相場」、「1989年の日本株バブル相場」、そして、「1999年のITバブル相場」のように、「西暦末尾に9の付く年」には、「バブルの発生」が起きやすい状況が考えられるのである。
また、この時に、「10年毎の富の移転」が発生し、実際には、「インフレの10年間」、「株式や土地の10年間」、そして、「債券の10年間」という順番で、それぞれの資産価格が上昇する状況を想定しているが、過去20年間ほどは、実に大きな「相場の歪み」が発生したことも理解できるようである。つまり、「デリバティブの大膨張」と、その後の「世界的な量的緩和(QE)」が、「経済学における重力波の役割」を果たしたものと考えているが、この結果として発生した事態は、「2009年に予定していた金(ゴールド)のバブル」が発生しなかったことだった。
しかも、この時には、「マイナス金利の発生」が意味する「世界的な国債バブル」までもが発生したが、この点については、「2016年の半ば」がピークであり、現在では、反対に、「先進各国が、出口戦略に頭を悩ましている状況」とも言えるようである。つまり、今後は、「歪んだ時空の正常化」を想定しているが、実際には、「国債価格の暴落」であり、また、「貴金属と株式が、同時にバブル状態」になる可能性である。
ただし、この点については、今までに繰り返して指摘したとおりに、「古典的なインフレの発生」、すなわち、「ギャロッピングインフレ」から「ハイパーインフレ」への移行とも考えられるようである。そのために、この点を考慮しながら、これから想定される「史上最大規模のインフレ」に、大きな注意を払う必要性があるようだが、私自身としては、「これから、本格的な金融大混乱期が始まる可能性」に憂慮しながらも、一方では、「ようやく、この段階にまで達した」という安堵感を覚えている状況でもある。(2017.10.13)
------------------------------------------
歴史的大転換期のアウフヘーベン
歴史を遡ると、数多くの「時代の大転換期」が存在したことが理解できるが、この時に感じることは、ある種の「アウフヘーベン(止揚)」とでも呼ぶべき状況が発生している可能性である。つまり、「ドイツの哲学者であるヘーゲル(1770年-1831年)」が指摘した「正反合」という動きにより「時代が進化する可能性」のことだが、具体的には、「明治維新」の時に「尊王攘夷派と開国派が争い、結果として、武士の時代が終焉した状況」、あるいは、「西暦1600年前後の戦国時代」に「東軍と西軍とに分かれて争ったものの、その後は、平和な時代が訪れた」というような展開とも考えている。
また、「今から800年ほど前の鎌倉時代」には「平家と源氏の争いにより、平安貴族の時代が終焉し、その後、武士の時代が始まった」という事実も見て取れるが、より大きな「時代の転換」としては、「文明法則史学」が教えるとおりに、「800年毎に、東洋と西洋の時代が後退している事実」が指摘できるようである。つまり、今回の「西暦2000年前後」については、「西洋の時代が終焉し、新たな東洋の時代が始まる時期」とも考えられ、現在では、その通りの展開となっているものと感じられるのである。
そのために、現時点で必要なことは、「どのようなメカニズムで、世界の大転換が発生するのか?」、あるいは、「これから予想される東洋の時代では、どのような価値観が中心になるのか?」を考えることでもあるようだ。具体的には、「1600年前の西ローマ時代の末期」が、現在と、よく似た状況であり、当時は、ご存知のとおりに、「パンとサーカス」の文明に明け暮れたものの、最後には、「財政破綻とインフレ」により「歴史上からは、あっという間に、西ローマ帝国が破たんした」という状況だったのである。
そして、今回も、同様の展開が予想されるようだが、大きな「違い」としては、「格段の技術進歩」が指摘できるようである。つまり、「1600年前とは違い、現在では、自然科学の分野で、大きな技術的進化が発生した点」が指摘できるが、一方で、「世界的な核戦争」などが発生した場合には、反対に、「地球に人類が住めなくなる可能性」が存在するのも、間違いのない事実である。
そのために、これから発展する分野は、「経済学」や「倫理学」などの「社会科学」だと思われるが、実際には、「唯物論」から「唯心論」への「価値観の変化」が発生するものと考えている。つまり、「価値観におけるアウフヘーベン(止揚)」が起きることにより、更なる「人類の進化」に期待している。(2017.10.13)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion7103:171113〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。