2018年の年頭にあたって
- 2018年 1月 1日
- 時代をみる
- 2018リベラル21
新しい年が明けました。本年は、本ブログにとって創刊12年目にあたります。読者の皆さんにはこれまでのご支援に深く感謝するとともに、引き続きご愛読くださるようお願い申し上げます。
本年は日本にとって画期的な大転換の年になりそうです。2016年7月の参院選挙、2017年10月の衆院選挙を通じて、日本国憲法(平和憲法)の改定を目指す政党が議席の3分の2以上を占めるに至り、その最大勢力である自民党が、今年、国会での改憲発議を目指しているからです。自民党は、衆参両院での改憲発議が実現したら、2019年初頭までに改憲案をめぐる国民投票を行い、国民の賛同を得られれば2020年から改定憲法施行というスケジュールを描いています。
自民党が狙う改憲は「自衛隊の明記」「緊急事態条項の創設」「参院の合区解消」「教育無償化」の4項目てすが、最大の狙いが「自衛隊明記」、つまり9条改憲にあることはいうまでもありません。
自民党の憲法改正推進本部は、前年暮れに改憲4項目について論点整理をしましたが、9条については1項(戦争放棄)と2項(戦力不保持)を残して自衛隊を明記する安倍首相案と、2012年の自民党改憲草案(この草案では国防軍の創設がうたわれている)に沿って2項を削除する案の2案を併記しました。
両論併記と言っていますが、どちらになっても結局は同じことになるのではないでしょうか。どちらも自衛隊という「軍事組織」を憲法に明記することで自衛隊に憲法上の正統性を与えようとしているわけですから。
自衛隊が憲法に明記されたらどうなるか。安保関連法の施行ですでに限定的に可能になった、自衛隊による海外での武力行使を含む集団的自衛権の行使が、おそらく全面的に認められるようになるでしょう。その結果、日米安保条約という名の軍事同盟で結ばれた米国とともに地球のあらゆる地域に出かけて戦うことになるでしょう。自衛隊員は米国のために戦う可能性が一段と増します。これは、多くの国民から支持されている「専守防衛」から逸脱します。
日本人はこの70余年の間、誰一人として戦争で殺さなかったし、殺されませんでした。これは、人類の歴史の上では希有なことで、奇跡と言っていいでしょう。これも、平和憲法があったからこそです。そのことの意義を改めてかみしめたい。
顧みれば、日本国民は第2次世界大戦で多くの犠牲者を内外で出したことを反省し、日本国憲法で「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないようすることを決意」し、「恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」はずです。
第9条の2項を残そうが削除しようが、軍事組織の自衛隊を憲法に明記することは、こうした決意に根本から反するのではないでしょうか。
それに、第2次大戦後の国際社会で、これまで「平和国家」と認められてきた日本の「9条改憲」は世界に大きな影響を与えるでしょう。とりわけ、アジアでは、近隣諸国の軍拡化をうながし、緊張が高まるに違いありません。
長い間、国民の間で展開されてきた「護憲か、改憲か」の闘いは、いよいよ“最後の決戦”を迎えました。今、果たして憲法を改定する必要があるのか、ないのか。そのことを、自分のこととして国民1人ひとりが真剣に考えなくてはならない時が来たようです。とくに、若い人たちには、改憲が自分の将来にどんな影響をもたらすかを考えていただきたい。
護憲派にとっては、今年はまさに正念場です。
私たちリベラル21編集委員会は、ブログのスタートにあたり、ブログの理念に「護憲・軍縮・共生」を掲げました。日本国憲法を護り、軍縮を促進し、お互いに助け合って共存するために努めようという宣言でした。それだけに、はなはだ非力ですが、この1年間、護憲の訴えを積極的に展開してゆきたいと考えています。
以上、私たちの意のあるところをお伝えして、読者の皆さんへの新年のご挨拶といたします。
2018年元旦
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