本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(183)
- 2018年 3月 2日
- 評論・紹介・意見
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2018年のブラックスワン
「2018年」については、「2月」から「11月」までの「10ヶ月間」に、世界的な「国債価格の大暴落」と「インフレの本格化」を想定しているが、この時に思い出されるのが、今から30年ほど前の「ブラックマンデー」である。具体的には、「1987年10月14日」に、「アメリカ株」が、突如として、大暴落をしたことにより、この動きが、世界中に広まっていったのである。
そして、当時は、「1929年の大恐慌」が再来する懸念が、マスコミで喧伝され、私自身も、「大恐慌の原因」について、徹底的に調べ始めたという状況だったが、その後、「約10年」という期間で、私が導き出したのが、次の順序でもあった。
つまり、「過去100年間」に、「30ヶ国」以上で発生した「ハイパーインフレ」については、「ほとんどの場合において、上記の順序を辿る」という結論に達したわけだが、現在は、いよいよ、「リフレーション政策」が終焉し、「大インフレ」が始まった状況のようにも感じている。別の言葉では、「2018年のブラックスワン」が「国債価格の暴落が引き起こす、大インフレ(通貨価値の下落)」だと考えているが、同時に思い出されることは、今回の「リフレーション(通貨大膨張)政策」が、きわめて長期間に及んだという点である。
具体的には、「2008年前後」に発生した「GFC(グローバル金融危機)」以降、「約10年間」にわたり、「先進各国」が協調して、「国債の買い支え」と「超低金利政策」を実施したわけだが、この点については、あまりにも異常な事態であり、反対に、「今後、どれほどの反動が訪れるのか?」、つまり、「間もなく、未曽有の規模で、大インフレが発生する可能性」に、大きな危機感を抱いている状況である。(2018.2.2)
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先進国の需給ギャップ解消
「1月28日の日経新聞」に、「先進国の需給ギャップ解消」という記事が掲載されたが、具体的には、「2008年前後のGFC(グローバル金融危機)以降、『先進国の総需要』が『総供給』よりも少なかったために、いわゆる『デフレ』が発生していたが、現在では、『総需要』が『総供給』を上回り始めた」というものである。つまり、「インフレの発生」を示唆した記事のようにも思われたが、同時に感じたことは、「過去10年間に発生した資金の流れが理解されていないのではないか?」ということでもあった。
具体的には、「2008年からの10年間」については、結局のところ、「大量の資金」が、「国債」や「ビットコイン」などの、いわゆる「金融商品」に流れた状況だったものと考えている。つまり、通常の「インフレ指数」では把握できない動きが発生していたものと思われるが、この点については、「実体経済」だけを研究している「既存の経済理論」では、全く説明が付かなかった状況でもあったようだ。
別の言葉では、「政府」や「メガバンク」などが、「大量の資金」を創り出した結果として、「金融のコントロール」が行われていた状況のようにも感じているが、この点については、「ほとんどの国民が、『増税』や『超低金利状態』を、甘んじて受け入れざるを得なかった」ということも、間違いのない事実だったものと考えている。つまり、「一億総我慢」とでも呼ぶべき状況が、「日本」のみならず、「先進各国」で発生していたものと思われるが、前述の「需給ギャップ解消」が意味することは、「国民の堪忍袋の緒が切れた状況」、あるいは、「政府の金融コントロールが限界点に達した状況」とも言えるようだ。
より具体的には、今まで「金融のメルトダウン(炉心溶融)」が、一般庶民に影響が及ばない「国債市場」で発生していたものの、最近では、「ビットコイン」という、「一般投資家」が参加する段階にまで達しているものと考えられるのである。別の言葉では、「コンピューターマネー」という「単なる数字の世界」で「インフレ(通貨価値の下落)」が発生していたものが、最近では、「実体経済」の分野にまで、「金融のメルトダウン」が影響を及ぼし始めた状況のことである。
つまり、「古典的な意味でのインフレ」が、ようやく始まるものと想定されるが、このことは、「インフレの大津波」が、われわれの生活を脅かし始める状況を意味しており、けっして、安心できるものではないが、当面は、「株高」や「貴金属価格上昇」などにより、「多くの人々が、大喜びする状況」も考えられるようである。(2018.2.2)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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