「思想史講座」のお知らせー4月のご案内
- 2018年 4月 5日
- スタディルーム
- 子安宣邦
*だれでも、いつからでも聴講できる思想史講座です。
*「明治維新150年」がいわれています。「明治維新」と「日本近代」との当たり前のこの結びつきを読み直してみようと思います。この読み直しを私に促したのは津田左右吉の明治維新観です。津田は維新に国民的変革としての正当性・正統性を認めませんでした。この維新観は私に「維新と日本近代」との読み直しの可能性を与えました。だがこの大きな課題を見出しても、これを分節化する個別の主題が私にはまだ見出されてはいません。今までの講座と同様に今回もまた問題を発見しながら進んでいくことになるでしょう。さしあたっては、津田「国民思想」論の結論であり、同時に「維新と日本近代」の序論でもある「「王政復古」の維新」を4月の講座でお話しようと思います。
*論語塾は「鬼神論」をテーマにして新しい講座を始めました。「鬼神」とは「祖霊」であり、「霊魂」でもあります。これを「祖霊」といば鬼神論とは祖先祭祀を基礎づける論の性格をもち、これを「霊魂」といえば人の生死、生前と死後とを包括した人間論の性格をもちます。
*論語塾では鬼神論とともに『朱子語類』の巻一「理気」上、巻三「鬼神」を読みたいと思っています。
*論語塾は上のような趣旨で昨秋以来3回の講座を行ってきました。しかし私にはまだこの講座の主題が明確になっていません。私は大阪の梅田で、東京の早稲田で日本近代をめぐって今話しております。私はその際、この近代を批判的に読み直す外部として「江戸」を見てきました。「江戸」を方法的視座とすることで私は「日本近代」を読み直してきました。この作業は同時に「江戸」を忘れ去ってはならないものとして再発見させました。仁斎の『論語古義』とはそのように再発見されたものです。近代日本人には見ることの出来ない孔子が仁斎によって見出されています。私は近代日本人が明治維新とともに一生懸命に忘れ去ろうとしてきた思想世界とは何かを確かめてみたいのです。前近代の東アジアの思想世界にあったのは朱子学です。この朱子学を自前で読んで行きたいと思っています。
*会費は実費(会場費・テキスト代)を頂戴します。
*4月の講座
*思想史講座―「明治維新と日本近代」
*大阪教室:懐徳堂研究会
4月21日(土)・13時10分〜15時10分
「王政復古」の維新
ー津田左右吉「明治維新」論を読む
参考文献:津田「メイジ維新の取扱いについて」「明治憲法の成立まで」ほか、『我が国民思想の研究 5』所収、『津田左右吉全集』第8巻。
会場:梅田アプローズタワー・10階1005号室
*東京教室:昭和思想史研究会
4月14日(土)・13時〜15時30分
「王政復古」の維新
―津田左右吉「明治維新」論を読む
参考文献:津田「メイジ維新の取扱いについて」「明治憲法の成立まで」ほか、『我が国民思想の研究 5』所収、『津田左右吉全集』第8巻。
会場:早稲田奉仕園・セミナーハウス・101教室
早稲田奉仕園はバス「馬場下」下車、穴八幡宮の裏手
*資料は当日配布します。
*論語塾―「鬼神論」と『朱子語類』を読む
4月28日(土)13時〜15時30分
① 仁斎の「天道」観をめぐって
② 『朱子語類』を読むー巻一「理気・上」
資料は当日配布します。
参考資料:子安『仁斎学講義』ぺりかん社。三浦国雄『「朱子語類」抄』講談社学術文庫。
会場: rengoDMS(連合設計社市谷建築事務所)JR飯田橋駅西口から徒歩5分
初出:「子安宣邦のブログ・思想史の仕事場からのメッセージ」2018.04.04より許可を得て転載
http://blog.livedoor.jp/nobukuni_koyasu/archives/75620632.html
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