4.21講演会のお知らせ(第306回現代史研究会)
- 2018年 4月 10日
- スタディルーム
- 研究会事務局
渡部富哉さんは、現在88歳になりますが相変わらずの大きな声と旺盛なやる気と抜群の記憶力は依然として健在です。その渡部さんが1993年に出版した『偽りの烙印』は、それまでずいぶん長い間「ゾルゲを権力に売ったスパイは、伊藤律である」という尾崎秀樹や松本清張までもが信じて疑わなかった俗説に、明確な証拠を示したうえで「ノー」を突き付け、研究者や関係者間で大いに話題になったことは御承知の通りです。
その渡部さんが、それから更に25年の歳月をかけて調べ上げた成果をここに確実な資料をもとに報告します。「ゾルゲ研究の集大成だ」とも言っています。
是非お聴き逃しのないようにご参加いただきたいと願っています。
日時:4月21日(土)午後1:00~5:00
場所:明治大学・駿河台校舎・リバティタワー2階1021号教室
講師:渡部富哉(社会運動資料センター)
司会:由井格
演題:「解明されたゾルゲ事件の端緒―日本共産党顧問真栄田(松本)三益の疑惑を追って」
参考文献:渡部富哉著『偽りの烙印』(五月書房)、その他
資料・参加費:1000円
*以下は、研究会当日に刊行予定の渡部富哉の新著(小冊子)の目次です。大体150ページ程度になる予定です(若干の変更あり)-当日領布・定価未定。
目 次
一)ゾルゲ事件の端緒をめぐる真栄田(松本)三益の疑惑を追って
①沖縄地方史に革新の元祖と書かれる松本三益の顔
② 62年前に公表された広西元信のゾルゲ事件・松本三益端緒説
③『九津見房子の暦』に見る真栄田三益の疑惑 ─「 組織を売った者がいる」発覚の端緒は誰だ!
④ 安田徳太郎と高倉輝は公判中に体験した真栄田三益の疑惑を語った
1) 安田徳太郎という人物
2) 安田徳太郎が語る松本三益に対する疑惑
3) 高倉輝の裏付け証言はさらに三益を追い詰めた
⑤ 松本三益は安田徳太郎と九津見房子に抗議文を突きつけた
1) 松本三益が安田徳太郎らに送った抗議文と謝罪要求書の問題点
2)「取り消しと謝罪要求書」で安田徳太郎に捏造と中傷だという箇所
3) 松本三益の抗議と訂正を求める要求書を検証する
⑥喜屋武保昌の息子由放が語る宮城与徳と真栄田三益
⑦現認者小林杜人著『転向期の人びと』は語る
1) 決定的な証言者小林杜人の登場
2)『転向期の人びと』の出版にこぎつけた由井誓
3) 高倉輝は「ここに元凶がいる」と驚愕した
4) 守屋典郎弁護士が裁判を取り下げた真相・石堂清倫の手紙
二)特高の筋書きと三益隠しの仕組まれた謀略
1) 噂によると日本共産党の他にもう一つ別の組織があるらしい
2) 宮城与徳と真栄田三益が会った時期のからくり
3) 真栄田三益が宮城与徳と出会ったのは宮城与徳の展覧会か
4)「三益隠し」のため帳尻を合わせた三益の妻ツルの検挙のからくり
5) うやむやにもみ消してしまった裁判劇のキーポイント「満州の事件」との取引
6)モスクワシンポジウムで提供された「特高上申書」が明かした真実
7) 立花隆著『日本共産党の研究』という神風が三益の危機を救った
8) もう一人の農民運動指導者伊東三郎の悲劇
9) 小林杜人『転向期の人びと』の証言
三)沖縄教育者労働組合OIL事件と真栄田三益 /「沖縄オイル事件の被告大城昌夫は三益はスパイだと告発した 」
四) 九州地方委員会の党再建に派遣された西田信春の虐殺事件と三益
1)西田信春の九州派遣の経緯と別れ
2) 紫村一重の「西田信春の調書発見の経緯」と石堂清倫の調査報告
3)西田信春の死亡推定まで─石堂清倫の調査報告
4)特別号外九州2・11事件の記事が解禁される
5)大量の検挙者たちが体験した真栄田三益に関する証言
6)解禁された新聞記事は真栄田三益どのように書いているか
7)石堂清倫・中野重治・原泉編著『西田信春書簡・追憶』が刊行される
8)石堂清倫は「松本三益はスパイだと断定」し筆者に後事を託した
9) 三益著『自叙』に書いた苦しまぎれの「西田信春と九州2・11事件」
10)「わが地方のたたかいの思い出」第3集 福岡民報社
五) 特高課長毛利基の共産党を潰滅させたスバイ操縦術
1)宮内勇が語る当局のスパイ政策の巧妙さ
2)有能なスパイの条件・宮内勇が語る当局のスパイ政策の巧妙さ
3)スバイ三船留吉の場合
4)スパイ疑惑から生まれたリンチ事件
5)小林俊一・鈴木隆一『スパイM─謀略の極限を生きた男』
六)「三益隠し」の秘策・農民闘争社事件
七) 真栄田三益最大の疑惑共産党入党の時期をめぐって
1) 日本共産党の公式見解は三益が入党した時期の疑惑に答えられるか
2) 松本三益著『自叙』はどのように書いているか
3) 戦前に三益と一緒に活動した埴谷雄高の「農民闘争社時代」の証言
4) 特高が苦心して作り上げた松本三益の入党の時期の虚構
5) 安田徳太郎が証言する奇怪な真栄田三益の入党の経緯
6) 公安調査庁の資料には1928年入党と明確に記録されている
7) 公開された米占領軍の日本共産党の幹部に対する調査記録
八) コミンテルンの密使小林陽之助の検挙と三益証言の欺瞞を暴く
1)小林陽之助の日本派遣と事件の経緯と概要
2)「党の旗を守ってたおれた小林陽之助同志を思う」「前衛」論文の虚妄
3)青山警察署で特高にべったりの卑屈な三益・現認者の証言
4)発掘された小林陽之助の訊問調書は三益証言の欺瞞を暴く
5)「三益隠し」の小林陽之助の予審終結決定書
6)小林陽之助が密書を託したマリオン・ディビス婦人の謎を追って
九)解明された安田徳太郎裁判のキーポイント 満州共産党極秘秘資料が発掘される
あとがき
連絡先:090-7181-3291(由井)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔study961:180410〕
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