今どきの高校生、9条をまもりたいのビラを配る
- 2018年 4月 30日
- 時代をみる
- 内野光子
今どきの高校生、9条をまもりたいのビラを配る
正門は、自転車通学の生徒がほとんどということで、京成佐倉駅方面からの生徒が圧倒的に多い裏門に陣取ることになる。7時30分に7人が集合、ある予備校の二人がすでに、宣伝でティッシュを配り始めていた。8時30分の始業とのことで、ピークは8時15分前後か。数日前に、教頭先生に挨拶に伺った二人が先頭で頑張ってくださったようで、8時半までに約160枚のニュースを渡すとができた。ニュースの内容は、会のプログをご覧いただきたい。
http://sakurasizu9jo.cocolog-nifty.com/blog/files/36.PDF
9条の会のニュースです、9条まもりたい会のニュースです、憲法9条を守りましょう、読んでみてね、等の言葉はなかなか届かず、受け取ってくれない。自衛隊の木更津駐屯地に米軍の沖縄普天間基地の24機の整備基地となったこと、自衛隊が購入するオスプレイ17機のうちの5機が、この秋にも配備されることになり、千葉の空は、いよいよ危険にさらされることになったこと。1機100億以上のアメリカの言い値で導入に加えて、陸上配備の迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」1000憶の2基導入を決め、防衛費が5兆2000億に膨らんだこと。個人的にはそんな記事を読んでほしかったのだが、生徒に配っているうちに「『君たちはどう生きるか』を知っていますか」の記事への関心が高いよ、とのことで、私も途中から、呼びかけを変えたら、なるほど、受け取ってくれる生徒がちらほら・・・。「知ってます」「読んだよ」といって、あるいは黙って手を伸ばす生徒がいたのである。
そういえば数日前、近くの駅ビルの本屋さんの一番目立つところに漫画本や文庫『君たちはどう生きるか』が山と積まれていたことを思い出した。たしかにブームではあるのだ。
私とこの本の思い出と言えば、「日本少国民文庫」という四角いハードカバーの本だったような気がする。多分、小学校高学年のとき、めったにないことなのだが母親が買ってくれたのではないか。自分で選んだ記憶がない。残念ながら、生家を出る時にどうも置いて来たらしいし、家は建て替えられてしまっている。著者の吉野源三郎のイメージから、岩波書店からだとばかり思っていたが、調べてみると、新潮社からで、国立国会図書館で所蔵している「日本少国民文庫4」(1949年)だった可能性が高い。装丁も22×19㎝で、記憶と一致する。そもそも、1937年戦時下で出版された本だったらしく、何回か書き換えられながら今日に到ったことがわかる。当時、私がほんとうに読んだのかどうかの記憶もないのだ。
それにしても、漫画本でも、中・高生が読んでの感想が聞きたいと思った。敗戦をはさんでの昭和期の、いわゆる教養主義へのノスタルジーの押しつけにならないか、の心配もある。10年ほど前に、1929年発表の小林多喜二の「蟹工船」ブームのようなことにならなければよいが、とも思う。
いまの時代の歪み、居心地の悪さに気づいて、少しでも変える力に結びついて欲しいと願うばかりであった。
初出:「内野光子のブログ」2018.04.29より許可を得て転載
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