「基準値は超えても超えてません」
- 2011年 4月 5日
- 交流の広場
- 基準値宇井 宙
この国はマンガのような、あるいは『1984年』のオセアニア国のような国になってきた。次の文章を読んで頂きたい。
「放射性物質の濃度に関しては、文部科学省が原発から約30キロ離れた福島県浪江町で、積算放射線量が屋内退避の目安となる基準値を超えたと発表している」が、政府が現在、屋内退避としている半径20~30キロ圏内は、「放射性物質の濃度の上では避難の必要はないが、生活物資の輸送が滞っていることを理由に、自主避難を呼び掛けて」おり、「政府高官は4日夜、現在、この区域の放射性物質のモニタリング調査のデータ整理を進めており、週内にも結果が出ることを明らかにした。その上で、国の基準を超える濃度が検出された場合、地元市町村の要望があれば、その地点を中心に一定区域を避難指示に切り替える考えを示した」。
これは今日(4月5日)の東京新聞一面の記事を、文章の順序を多少変えて、要約・引用(「」内)したものである。この文章はいったい何を言っているであろうか。
屋内退避の基準値は超えたが、避難の必要はなく、まだ調査中なので、「国の基準を超える濃度が検出された場合」(って、もうすでに検出されているのだが)には、地元市町村の要望があれば、避難指示に切り替えるが、要望がなければ切り替えない。・・・って、これは日本語なのか!? というより意味のある言語なのか!?
さらにこの記事の隣には「基準値超過は何週間か先」という別の記事が…。バカバカしいが、国の原子力「安全」政策に責任を持つ委員会がいかに無責任かを知るために読んでみよう。
「福島県浪江町で、屋内退避の基準値10ミリシーベルトを超える積算放射線量が測定された測定されたことについて、原子力安全委員会の代谷誠治委員は4日の記者会見で、基準値は被ばくした場合であることから「屋外にずっと居続けた場合の数値で、人の行動を考えればまだ基準値に達していない」との認識を示した。その上で「現在の状況が続けば、屋内退避基準を超えるのは何週間か先と思っている」と見通しを述べた。」
つまり、基準値を超えても何週間も先になるまで基準値に達してない(?)からそれまでは避難指示をしないということなのか!
2
放射能で汚染された水を海に垂れ流していた事実が発覚すると、わざとらしく初めて気づいたフリをして、おむつの素材やおがくずや新聞紙を投入して汚染水の放出を止めようとしたフリだけして、やっぱり止まりませんでした(当たり前だ)から薄めて海に放出しました、というニュースを東京新聞は1面で伝えている。その中で、海洋汚染の危険性について、「東電は周辺海域の魚などを毎日食べても、成人で年0.6ミリシーベルトの被ばく量で、自然界から受ける年間線量の4分の1程度だとしている」と報じている。
なるほど東電はそのように説明したのだろう。しかしこの記事を書いた記者もそれをチェックしたはずのデスクも、なぜ何の疑問も感じないで、汚染水を垂れ流す東電の発表をそのまま垂れ流すことができるのだろうか? これまでに放出された汚染水の量も、今後何カ月も垂れ流されるであろう汚染水の総量もわからない中で、何を根拠にこんないい加減なことを言えるのかという質問すらしなかったのだろうか。
今日、時事通信社は、福島第一原発2号機の立て坑「ピット」付近の海水から、2日午前に、最大で国の定めた濃度限度の750万倍、1立方センチ当たり30万ベクレルの放射性ヨウ素131が検出されたというニュースを伝えている。さらに、2日正午前に採取したピット内の汚染水に含まれるヨウ素は、1立方センチ当たり520万ベクレルで、濃度限度の1.3億倍に相当。同日午後4時半に採取した亀裂からの流出水も同540万ベクレルとほぼ同水準だったとも報じている。
東電の幹部と原子力安全委員、原子力安全・保安院、御用学者、御用マスコミの方々には、是非とも、福島第一原発の近くで採れた魚を毎日食べ続けてもらい、国民を安心させてもらいたいものである。
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