注水による格納容器破壊の危険―米原子力規制委が指摘
- 2011年 4月 7日
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- 注水による新たな危険米原子力規制委が指摘鈴木顕介
米ニューヨークタイムズ紙の電子版は5日(日本時間6日)、同紙が入手した原子力規制委員会がまとめた福島第一原子力発電所の現状評価文書を伝えた。それによると、福島原発で最優先で進められている核燃料を冷却する注水が、新たな原子炉本体破壊の危険性を生み出している。
同委は専門家を日本に派遣して、事故の現状を分析、日本政府と東京電力に助言している。
入手した3月26日の評価はもっとも新しい状況を把握したもので、6基の原発それぞれの現状を分析している。新たに指摘された危険性は、注水の重みが格納容器の耐震性に与える影響である。特に、水素爆発による同容器の損傷程度が的確に把握されていない1号機が最も懸念される。大きな余震があると、格納容器が水の重みに耐えきれず、壊れ、内部の高濃度の放射性物質が放出される。
1号機では、再度の水蒸気爆発の恐れもある。高い放射線環境下で注入した海水から水素が産生される。損傷した燃料棒を起因とする水素の発生もある。更に、燃料棒の損傷と注入した海水の塩分が、水の循環を妨げ、どれだけ有効な冷却がされたかつかめていない。炉心部に冷却する水が存在しないこともありうる。東電が6日夜始めた爆発防止のための1号機への窒素ガス注入は、原子力規制委の助言に基づいている。
この評価では、原子炉本体破壊が直ちに起こると予測していないが、循環系によらない現在の注水冷却方式が抱える矛盾を指摘、原子力産業界にとって経験したことのない事態であるとした。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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