本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(193)
- 2018年 6月 12日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
マネー依存症に冒された現代人
「TOKIOの事件」には、たいへん驚かされたが、私自身は、たまたま、事件発覚前に、アルコール依存症から立ち直った人の講演を聞く機会があった。具体的には、「アルコール依存症は、精神的な疾患であり、決して、軽く見てはいけない。そして、一生、一滴も、お酒を口にしてはいけない」とのことだったが、実際には、「脳の萎縮」が進行し、最後には、「命にかかわる病気」でもあるようだ。
また、この方は、「11日間連続してお酒を飲み続けた時に、命の危機を感じ、その結果として、気付きを得ることができた」とも述べられていたが、興味深かったのは、「多くの場合、立ち直るきっかけが、底つき体験である」という意見だった。つまり、「人生のドン底を経験した時に、アルコール依存症から立ち直る可能性が高い」という意見のことだが、気付きを得られる前は、きわめて強い「飲酒渇望」と「コントロール障害」が発生していたそうである。
より具体的には、「お酒を飲みたい欲望」が、ますます強くなり、最後には、「コントロールできない状態」に陥るそうだ。そして、同時に、「自己中心性」という「物事を自分に都合のよいように解釈し、ほかの人に配慮しない態度」が生まれ、「多くの家族的・社会的問題」を引き起こすことも多いそうである。
そして、この講演を聞いた時に感じたことは、「現代人は、マネー依存症に冒されているのではないか?」ということだったが、実際には、現在、「マネーへの強い渇望」が、世界の金融システムを、コントロール不能な状態に陥れているようにも思われたのである。しかも、現在では、「政府」や「中央銀行」が、「自分の都合の良い解釈に終始し、さまざまな問題を引き起こしている状況」とも言えるようだが、今後は、「金融面における底つき状態」を、世界全体が体験するものと考えている。
具体的には、今までに詳しく申し上げたように、「金融システム」や「通貨制度」の崩壊であり、実際には、「国債価格の暴落」をキッカケにして、世界の資金が暴れ出す状況のことである。別の言葉では、「インフレ」が加速して、コントロール不能な状態に陥る可能性でもあるが、今までの推移を考えると、これほどまでの大混乱が発生しない限り、現代人は、「マネー依存症」から立ち直ることができない状況とも言えるようだ。そして、現在では、体力の弱い国家である「アルゼンチン」や「ベネズエラ」から、すでに、この状況が発生しているものと考えている。(2018.5.11)
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南米のハイパーインフレ
5月9日の日経新聞に、「アルゼンチンが、IMFに3兆円の緊急融資を要請した」という記事が掲載された。「通貨安」と「金利急騰」に悩まされ、すでに、「ハイパーインフレ」が発生しているが、私自身としては、「アルゼンチンとベネズエラの動向が、今後、世界に波及する懸念」を抱いたのも事実だった。つまり、「国家の体力」については、「為替」と「金利」で判断できるが、現在では、世界の弱い国から、国家の体力が失われつつある状況のようにも感じている。
そして、「日米欧の先進各国」についても、決して、安心できるような状況ではなく、今後、「国債価格の暴落」、すなわち、「金利の急騰」が発生した時には、「中央銀行」のみならず、「政府」そのものが、「資金繰り」の問題に直面するものと想定されるのである。別の言葉では、「国債の発行」が難しくなり、「紙幣の大増刷」を始める可能性でもあるが、実際に、現在の「日銀」については、すでに、「ステルステーパリング」という「静かなる国債買い付け額の減少」が始まっている段階とも言えるようである。
また、今後は、「国債価格の暴落」とともに、全ての問題が表面化する状況が想定されるが、実際には、「デリバティブ・バブルの完全崩壊」であり、また、「ドイツ銀行などが、巨額の損失を発表する可能性」などである。つまり、「2008年前後のGFC(グローバル金融危機)」以降、いろいろな問題が、隠蔽、そして、先送りされてきたようだが、「2018年」には、全ての問題が明らかになるものと思われる。
そのために、現時点で必要なことは、「アルゼンチン」と「ベネズエラ」の状況が、「今後、どのように展開するのか?」に注目しながら、同時に、「今後、どの国が、同様の状況に陥るのか?」を注意深く見守ることだと考えている。具体的には、その他の南米諸国や、「ギリシャ」や「スペイン」、そして、「ポルトガル」などのヨーロッパ諸国などのことだが、この点については、「今後の数か月間が、最も注目すべき時期にあるのではないか?」とも考えている。
つまり、「2008年9月のリーマンショック」を中心線にして「時間の左右対称理論」を考えると、「2018年9月」が、「1998年9月」に発生した「LTCM事件」に相当するからだ。別の言葉では、「デリバティブが大膨張した期間」と、その後、「量的緩和(QE)により、デリバティブが積み上げた信用が食い潰された期間」が同じになるために、今後の数か月間は、きわめて要注意の時期に差し掛かったものと考えている。(2018.5.11)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion7720:180612〕
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