千葉の空がアブナイ!ますます危ない!~<安全保障環境>が変わったのに(2)
- 2018年 6月 29日
- 時代をみる
- 内野光子
2.木更津が米軍オスプレイの整備拠点となったわけは
6月25日、普天間基地の米軍海兵隊のオスプレイMV22 の2機目が、整備のために木更津駐屯地に到着し、26日は、要員輸送のためか、3機目が飛来したが、当日離陸したという。いま2機のオスプレイが、格納庫にあるということだ。普天間の海兵隊は24機のオスプレイを持つので、以下、下記の防衛装備庁の資料によれば、整備は5年に1度必要で、その工期は3~4か月を要し、試験飛行を経て終了することになる。こうした頻度でのローテーションでオスプレイの飛来することになる。整備を請け負った企業は、入札によって「技術力の高い」とされた富士重工と決められている。オスプレイ整備が日米共同でなされることになったのは、
①「我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中」、2015年4月策定の新たな日米ガイドラインに基づき、日米協力の実効性向上のため
②陸上自衛隊のオスプレイの導入の円滑化と日米オスプレイの整備の効率化のため
③沖縄の負担軽減実現のため
であるとその意義をうたうが、着目すべきは「日米協力」の証であること、さらに「沖縄の負担軽減」を標榜していることである。しかし、一方、日本政府は、沖縄の北部のヘリパッド新設を強行し、辺野古新基地建設工事は、土砂投入を目前に強行している現状は、軽減とはまさに裏腹のことを実施している。たとえ、縮小と称して、若干の用地返還があっても、使い放しの原状回復には程遠い状態なのである。各地の基地では「日米共同」「日米協力」の名のもとに、市民にさらなる負担を強いているのが実態である。
さらに、整備拠点として、なぜ、千葉の木更津駐屯地が選定されたのか。オスプレイ離着陸に適した滑走路があり、海に面しているので市街地を飛ぶことが少ないからだと言い、木更津駐屯地の陸自ヘリコプター整備隊が立ち会うことで知見を得ることができるから、というのが理由だった。とくに2番目の理由は、まさに、原発立地をも想起させ、リスクを前提に、周辺住民を不安に陥れるものである。
そもそも、オスプレイMV22のデメリットに関しては、当ブログでも何度か指摘してきた。メリットと称して、垂直の離着陸、高速、航続距離、ホバリングにおいて他のヘリコプターより優れているとされているが、部品落下も続き、名護市の海岸に、空中給油中のオスプレイが墜落したことも記憶に新しい。2016年4月16日、熊本地震の災害救助に沖縄海兵隊のオスプレイが出動したが、25メートルプールにも入りきらない巨大すぎる機体、離着陸時の熱風、機内構造から大量物資輸送の不適が明らかになり、短距離移動には小回りの利く、異機種ヘイコプター、例えば、CH47Jの自衛隊機の方が効率がいいことも分かった。災害出動にどちらが優れているかは、その機動力の比較でも明らかであろう。オスプレイの出動は、自衛隊のオスプレイ導入のための政治利用のパフォーマンスであったとの見方も取りざたされた。
後方に停まるのが米軍海兵隊のMV22オスプレイ、回転翼の角度が変えられ、巾17.5×長さ25.5×高さ6.7mの巨体ながら、乗員2+24名、搭載重量9070㎏、航続距離3590km(ボーイング社製)。米軍は普天間に24機所有。写真は 4月19日午後、熊本県南阿蘇村(宮沢宗士郎撮影)産経WEST2016.4.21より
自衛隊のCH47Jチヌークは、巾4.7×長さ15.8×高さ5.6m、乗員5+53名 、搭載重量22680kg、航続距離1000㎞(ボーイング社開発、川崎重工製)。陸上自衛隊に60機、航空自衛隊に15機合計70機以上所有。写真は航空自衛隊のHPより
CH47の歴史は古く、米軍では、ベトナム戦争、フォークランド紛争、湾岸戦争で、活用された機種であったという。日本では、福島第一原発事故の際にの放水作業にあたっているし、これまでも災害出動の実績は大きい。それにしても、自衛隊が70機以上持っていたということに驚いてはいる。
参考:
<木更津駐屯地における日米オスプレイの共通整備基盤について>
防衛装備庁(2015年10月)
初出:「内野光子のブログ」2018.06.28より許可を得て転載
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〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye4411:180629〕
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