『オールジャパンの虚構』など―地震と原発事故情報 その43
- 2011年 4月 17日
- 時代をみる
- たんぽぽ舎
◆ 地震と原発事故情報 その43 ◆
4つの情報をお知らせします。
1.『浜岡原発とめても電気はだいじょうぶチラシ(紹介)』
2.『オールジャパンの虚構』 山崎久隆
3.『福島原発の廃炉、汚染除去に百年 英科学誌が見解』
4.『東京電力の保身体質あらわ(ひどすぎる)』
★1.浜岡原発とめても電気はだいじょうぶチラシ(紹介)
「核のごみキャンペーン・中部」 http://nukewaste.net
「浜岡原発とめても電気はだいじょうぶ」
http://nukewaste.net/denryoku.html
「4/12修正版ちらしダウンロード」
http://nukewaste.net/hamaokaflyer0412.pdf
★2.オールジャパンの虚構
他の電力会社は、なぜ原発震災に立ち向かわないのか?
山崎久隆
・原発震災に対し、政府はオールジャパンの体制で対処すると言っていたはず
だが、結局は東電と協力企業の従業員に対処させているだけで、ちっともオー
ルジャパンの体制になどなっていない。
例えば、今回の第一原発の内部は、まさしく高レベル放射性廃液に汚染され
た施設。原発というのは、通常は低レベル廃液しか扱わない。核燃料の再処理
をしている六カ所、東海再処理工場には高レベル廃液を扱う専門家がいるのに、
どこにいっているのだ。
具体的には日本原子力開発機構は、今頃も福島県内で測定器を持って汚染調
査をしているらしいのだが、一体何を考えているのか。
汚染調査ももちろん重要で必要な作業だ。むしろ遅すぎるくらいで、大勢の
人間を投入し徹底的に測定しないといけない。こういう部分は、各電力会社の
原発にいる「放射線管理者」と「モニタリングカー」などを総動員したら良い。
何も原子力機構でないと出来ない仕事じゃあない。低レベル放射線の汚染は、ま
さしく日夜原発の内部作業で放射線管理主任が行う仕事だ。汚染調査も汚染地図
作成もお手の物のはず。
・高レベル汚染水などの処理は、東電や協力企業の従業員にさせること自体が
無茶だ。見たことも聞いたことも無いような高レベル廃液に足を突っ込んで、
もうパニック状態になるのが目に見えている。
こういうレベルの放射性廃液を取り扱ってきた専門家集団が六ヶ所村の日本
原燃と東海村の旧動力炉・核燃料開発事業団のスタッフだ。どうして彼らが来
ないのか。
それから、高レベル廃液を低レベル用のタンクや、ましてメガフロートに詰め
るなど正気の沙汰とは思えない。
いくら背に腹は代えられないといっても、いったん漏れ出したら手が付けら
れなくなる。なにしろ数時間そばで浴びれば死に至る線量を出す廃液だ。
メガフロートに詰めても、密封性があるわけがないし遮蔽があるとは到底思
えない。これは低レベル廃液タンクも同じだ。
・繰り返し余震が襲ってくる。おそらく今後津波を伴う余震も来る。
そのような津波にメガフロートが持つと思うのか。
たとえば数メートルの津波に持って行かれて岸壁にたたきつけられれば、戦
艦でもあるまいしたちまちばらばらになって沈没し、廃液は全量海中に放り出
される。そのようなリスクを冒すようなことは絶対止めて欲しい。
ではどうするか。
・世界中から使用済燃料輸送船を集めてきて、その船倉に入れるのだ。
使用済燃料輸送船は、大型のキャスクを積んで地球を半周することもできる
能力があるだけで無く、そもそもダブルハル構造で衝突事故を起こしても内容
物を漏らさない設計になっていて、さらに火災対策としてキャスクの搭載され
る船倉を完全に水浸しにできる装備を持っている。放射線測定器は当然積んで
いるし、汚染除去設備も有している。密封性もある。通常のタンカーではあり
えない、放射線の遮蔽能力もある。この船をありったけ福島第一原発の前に結
集させ、そこに詰めこむと同時に、陸上にも六カ所再処理工場の高レベル廃棄
物処理タンクや設備を移設するのだ。そうすれば安定的に高レベル廃液を除去
することが可能な設備が作れる。たぶん一月で。
・オールジャパンというのはこういう体制を意味するのでは無いのか。ところ
が実際には東電と協力企業が最前線で命がけの作業をしているだけで、他は何
ら支援をしている気配もない。関電は、中電は、四電は、日本原燃は、旧動力
炉・核燃料開発事業団は、技術があるはずのこれら企業は一体何をしているの
か。
原発震災はいわば原子力産業の共同責任。ゆくゆくの賠償で各電力に持たせ
るかどうか以前に、今の危機的状況を、本当にオールジャパンで何とかさせる
べきなのではないか。
・低レベル廃液タンクに高レベル廃棄物を詰めてしまったらもう終わり。次に
来る震度7の余震で倒壊するだろう。そしたら数万トンの死の灰が一気に太平
洋に流出する。これは事故とはもう言えない。環境犯罪だ。
★3.福島原発の廃炉、汚染除去に百年 英科学誌が見解紹介
「英科学誌ネイチャーは13日までに、東京電力福島第1原発の廃炉や周辺の
土地の汚染対策が終わるまでには、今後数十年、場合によっては100年を要す
るとの専門家の見解をまとめた記事(電子版)を発表した。
記事は1979年に米国で発生したスリーマイルアイランド(TMI)原発事
故処理に加わった複数の専門家の見解に基づき、損傷しているとみられる燃料を
含めた炉内の放射性物質の除去に長期間を要する上、原子炉の冷却が進んで中の
状況を調べられるようになるまでも長い時間が必要になると指摘。(中略)
TMIよりもはるかに大量の汚染水の処理が必要になることからも、86年に
原子炉が爆発し、最終的な対策の除染の終了が2065年までかかるとされてい
る旧ソ連の「チェルノブイリ原発と同様の除染対策が必要になるだろう」と指摘
した。」2011/04/13 21:31【共同通信】
★4.東京電力の保身体質あらわ(ひどすぎる)
プライバシー盾に答えず、「超法規」で汚染水を海へ
・東京新聞の4月14日(朝刊)は「東電の情報公開のインチキサ」について、具体
例をいくつもあげて、徹底的に批判している。さらに結語の文章では「心より深
くおわび申し上げます」というしらじらしい謝罪CMが今日も汚染水のように垂
れ流されている、と述べる。以下記事中の4つの例を紹介する。
・地震から1ヶ月。ホームページによると、東京電力は「迅速で徹底した」情報
公開に努めているという。その実態は保身に徹し、迅速でもなく、間違いだらけ。
・さらに、超高濃度汚染水を移動させるための作業も「超法規」だ。汚染水を流
すホースを屋内中心に通すため、東電は敷地内の建物の壁に複数カ所、穴を開け
た。監督官庁の経済産業省原子力安全・保安院によると、本来ならば一定の手続
きが必要だったが、東電はすっ飛ばして工事した。
・東電が最近、何をやったか振り返ってみると、約束どころか法令上の規則をあ
っさりと破っている。例えば、放射能汚染水の海洋への放出だ。
放出できる汚染水のレベルは原子炉等規制法などで規制され、事業者はその決
まりを守らなければいけない。ところが、東電は「低レベル」という説明で、敷
地内にたまっていた汚染水を海へと流し始めた。その濃度は規制値の百倍以上。
・自らが起こした事故のため、国民どころか海外にまで迷惑をかけているのに、
まだ「ジコチュウ(自己中心)」な企業がある。東京電力だ。記者会見では「プラ
イバシー」「私どもの契約」を連発している。だが、とっくに「原発の安全運転」
という約束を破っている。矛盾だらけの約束など持ち出さず、情報公開に徹する
べきではないか。(加藤裕治)
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