11・23シンポジウム 1968年「パリの5月革命」・「プラハの春」から50年 朝鮮半島と世界のパラダイムシフトを問う
- 2018年 11月 7日
- 催し物案内
〇発言者 鵜飼 哲(一橋大学教員 フランス文学・思想)
原 隆(NO-VOX Japan)
草加耕助(ジグザグ会)
〇司会 津川 勤(差別・排外主義に反対する連絡会)
〇会場 スペースたんぽぽ(千代田区三崎町2の6の2 ダイナミックビル4F 水道橋8分)
〇13時30分開場 14時開始
〇会場費 500円
〇主催 11・23シンポジウム実行委員会 連絡先090-1429-9485(荒木)
今から50年前、1968年に二つの大きな歴史的出来事が起きた。フランスの「5月革命」とチェコスロバキア(当時)の「プラハの春」だ。一方は68年5月、大学や政府の管理強化に対するパリの学生反乱で始まり、ベトナム反戦運動とも結びついて西側先進国に波及。既成の価値観や権威、秩序といった旧来の国家権力や体制の枠組み(パラダイム)に対する反逆が世界的規模でうねり、各国の社会運動や反体制運動に大きなインパクトを与えた。他方、「プラハの春」は、「人間の顔をした社会主義」を掲げたドプチェク新政権による民主化を8月、旧ソ連と東欧諸国のワルシャワ条約機構が軍事介入によって圧殺し、「社会主義=スターリン主義」への幻滅を広げた。「社会主義」への信頼は地に落ち失望と怒りに取って代わられた。それは89-91年の東欧・ソ連の「疑似社会主義体制」の相次ぐ崩壊の連鎖をもたらす前奏曲になったとも言える。
●この「冷戦」時代、資本主義と「社会主義=スターリン主義」の東西両陣営で同時期に起きた異議申し立ては、不公正・不平等な社会の変革を求め、民主主義を問う(あるいは真の民主主義を目指す)闘いであった。それは今日の草の根からの反乱のうねり―欧米の占拠運動や韓国のキャンドル運動に象徴される世界中で登場した新しい変革の潮流―の歴史的な源流として捉えることもできるのではないか。89年、「ベルリンの壁」が崩壊、「冷戦」そのものも終焉した。その一方で、米ソによって南北に分断された朝鮮半島は今も「冷戦」構造を引きずったままだ。だがこの間の南北―米朝の首脳会談によって「世界で最後に残った冷戦構造」は終わりの始まり―つまりパラダイムシフト、歴史的転換を迎えている。
●なぜ今、50年前の二つの歴史的出来事を問おうとするのか。そんな必要があるのか? それは端的に言えば、未来への扉を開くためには、過去と向き合い対話することによって、示唆や教訓を得て現状を打破していくことが肝要ではないかと考えるからだ。世界の歴史的な動きを俯瞰して見れば、「パリの5月」や「プラハの春」は、遠い過去の、済んだ話なのだろうか。今日の政治状況に、それは重なっていることはないだろうか。「歴史とは現在と過去との対話である」とE・H・カーは述べた。だとすれば、私たちは現状の淀みの中で過去と対話し示唆を得ようとする思想的営為や議論を怠っているのではないか。行動も大事だが、思考停止に陥って井の中の蛙にならないために、立ち止まって、これでいいのかと考えることも必要ではないだろうか。
●異論を認めぬ「反多元主義」を特質とした国家主義(ナショナリズム)が台頭する日本や世界の政治状況は、かつてないほどの危険水位に達している。何もしないことは、こうした現状を認めることになる。本当にそれでいいのか?世界はいま、国家主義と草の根からの民主主義という二つの大きな潮流が攻めぎ合う歴史の転換点にある。したがって国家主義との対抗軸を明確に打ち立てることは今日、世界共通の政治的なテーマであり「時代の要請」と言える。そのことを問い、草の根から直接民主主義をいかに可視化するか。私たち自身のこれまでの思考―行動様式のパラダイムシフトもまた求められているのではないだろうか。
(文責 原 隆)
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