Brexit の英国,ポ-ランドそして日本
- 2019年 1月 20日
- 交流の広場
- 箒川兵庫助
千葉大の岩田昌征名誉教授がポ-ランドの政治状況を論じられている;「工場労働者大統領ワレサの初仕事・・・(2019年1月19日,ちきゅう座)おける政治状況について意見が一致しないが,また本論を読んで再び啓発を受けた。それは,英国の政治状況つまり”Brexit”問題についてである。14日の投票でかなりの “Brexit” 反対投票があり離脱案は否決されたが,その否決理由の主なものは北アイルランド国境問題であるという。しかし英国議会で否決された理由が北アイルランド問題だけであったのか,少なくとも小生にはよく分からない。
一方,英国には移民が低賃金で働いているという。現在いる移民がブレグジットによって英国から出て行かないねばならないそうだ。それに伴って英国のGDPが10%落ちるとしても,移民労働者の大半は,特に質の高い労働者はポ-ランド出身だという(『イギリスへ行け。仕事もある。部屋もある』)。
周知のようにEU域内移動自由であるが,なぜポ-ランドの質の高い労働者がドイツやポルトガル等に行かずに英国へ行ったのか,を考えた時,やはりポ-ランドの,ワレサの「真逆性」を考える必要があろう。産業における技術革新はどうしても必要であるが東西ドイツには勝てなかったポ-ランドの状況がある。ゆえにこの国は超右翼の大統領を生みだし,米国のミサイルを受け入れる発言をせざるを得なかった。モスクワを射程に入れるミサイル基地を受け入れれば,金が落ちる。それは産業技術の向上とは無関係であり,むしろ国内産業の発展を阻止する。ゆえに「5%」の
金持ちということになるだろう。
トランプ大統領はNATOから脱退を実行するかもしれない。その結果ポ-ランドへのミサイル配備は中止され,NATOの軍事演習も減るだろう。かくして外国からの投資は減り,産業育成や貿易促進を行なわないポ-ランドに対して英国の”Brexit”は脅威である。
離脱反対派のポ-ランド移民によるデモも大きくなるのは当然である。しかし,その裏には英国の植民地からの移民就職問題がある。彼らに就職先はかなり制限されている。中にはゲット-からISISに加わった英国人・移民もいる。すなわち,ポ-ランドの5-95%と英国の”Brexit”問題の両方をいっぺんに解決する方法が問われている。もっと話を広げれば,日本の労働移民問題とその裏返しの中国脅威論や嫌韓運動にもつながるだろう。
金目第一主義とナショナリズムの高揚がポ-ランドの,英国の,日本の現状であろう。故に岩田先生の結び『自由にされた、すなわちバラバラにされた人間が頼れる第一は、マネーである。そのマネーに欠ける自由人=ポランド民衆生活者が民族主義の幻想的統合性に頼ろうとする。それが今日のポーランドである』に賛成する。
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