本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(220)
- 2019年 4月 2日
- 評論・紹介・意見
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1970年代のスタグフレーション
先日、92歳になられた「グリーンスパン氏」のコメントが、ブルムバーグ紙に掲載されていたが、具体的には、「膨張を続ける国家債務に憂慮しているものの、1970年代のスタグフレーションから判断すると、インフレが始まるまでに、まだ時間的な猶予が存在する」というような内容だった。つまり、「1970年代」に、「スタグネーション(景気の低迷)」と「インフレーション(物価の上昇)」が同時に発生し、多くの経済学者が頭を悩ましたが、その理由としては、「景気が悪化しているときに、物価の上昇が起こるはずがない」ということが、それまでの常識だったからである。
その結果として、「スタグフレーション」という「新語」が創られたという状況であり、私自身も、今までは、この点に対して、まったく疑いを抱いていなかった。しかし、今回の記事を読み、また、今までの推移を熟慮すると、「1970年代に発生した経済現象は、本当のスタグネーションでもなく、また、本当のインフレーションでもなかった」という「思い」が、突如として、閃いたのである。
つまり、第二次世界大戦後の「世界的な高度経済成長」が終焉し、また、「1971年」に、「ニクソンショック」という「人類史上初めての通貨革命」が実施され、「景気の低迷」と「一次産品価格の急騰」が発生したことが、いわゆる「スタグフレーション」と呼ばれる現象の正体だったようにも感じられるのである。しかも、「1970年代の実情」を、より詳しく検証すると、「現在と比べて、実体経済とマネー経済の規模は、きわめて小さなものにすぎなかった」、また、「国家債務については、現在と比較にならないほどの健全な状況だった」という事実も理解できるのである。
そのために、本当の意味での「インフレ」、すなわち、「通貨価値の下落」は、まったく憂慮する必要性が存在しなかったものと思われるが、問題は、やはり、「経済学の未熟さ」により、「インフレやデフレの正体が、ほとんど理解されていなかった」という事実が指摘できるようである。
そのために、現在、必要なことは、「スタグフレーション」を憂慮するのではなく、通常の「インフレーション」、すなわち、「1991年のソ連」のように、「危機的な国家財政が国債価格の暴落を引き起こし、その結果として、国家や通貨の信頼感が激減する状況」を危惧することだと考えている。そして、この観点からは、「グリースパン氏の意見とは違い、時間的な余裕が、ほとんどなくなった状況」とも思われるのである。(2019.2.22)
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煩悩の根本
「心の謎」を研究する時に、最も重要な点の一つは「煩悩の根本」を理解することだと思われるが、この点については、すでに、「仏教」で詳しく説明されており、実際には、「三毒」と呼ばれる「貪・瞋・癡(とん・しん・ち)」が指摘されている。つまり、このことが「人間の諸悪・苦しみの根源」とも言われているが、一方で、「なぜ、このことが、人々に悩みや苦しみをもたらすのか?」については、仏教の誕生後、約2500年もたった現在においても、原因が解明されていない状況のようにも感じている。
そのために、今回は、この点について考えてみたいと思うが、実際には、「貪欲(とんよく)」が「必要以上に貪り求める心」であり、また、「瞋恚(しんに)」が「怒りの心」、そして、「愚癡(ぐち)」が「真理に対する無知の状態」とも言えるようである。また、「西洋の時代」、すなわち、「唯物論を中心的な価値観とした社会」においては、「人間の欲望」を全開させることが「繁栄の道筋」と理解されたようだが、この結果として発生したことが、「欲しいもの、あるいは、求めたもの」が手に入らなかった結果としての「怒り」とも考えられるようである。
また、この点に関して、最も問題視されているのが、最後の「愚痴」であり、このことは、「無明」という「天地自然の理が理解できない状況」を表しているものと考えている。具体的には、「地位や名誉、そして、財産」などのように、「あの世に持っていくことができないもの」を大切にして、「精神的なレベルの向上」という「人生で最も大切なもの」を忘れる状況が、現在の「無明」を代表している可能性のことである。
そして、このことに関しては、現在の「ゴーン被告」が、最も典型的な例のようにも思われるが、この点については、名前のとおりに、「人間の煩悩」を追い払う「除夜の鐘」が「108日間」も鳴ったような状況でもあったようだ。つまり、現在は、「西洋の唯物論」を中心的な価値観とした時代が終焉し、今後は、「東洋の唯心論」が見直される時代が始まるものと考えているが、前述のとおりに、この時に、最も必要とされることが「心の謎」を解明することだと思われるのである。
別の言葉では、「ニュートン」が「重力の法則」を解明した結果、「自然科学」が飛躍的な発展を遂げたわけだが、今後は、「心の謎」が解明されることにより、「人間の行動」を説明する「社会科学」が、急速に発展する状況を想定しており、実際には、現代人が抱える「心の闇」が消え去る状況のことである。(2019.2.25)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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