「もう使わない、使わされない! 元号さよなら声明」にご賛同を
- 2019年 4月 15日
- 評論・紹介・意見
- 元号天皇制澤藤統一郎
元号不使用声明への参加を呼びかけます。
新元号に切り替わりの今をチャンスとして、どんな理由でも、この日常生活に不便で、民主主義に有害な元号の押しつけはごめんだという趣旨で、「元号にさよなら」の声明へ賛同をお願いいたします。
この呼びかけは、稲正樹さん、三輪隆さん、根森健さんの3人の憲法学者が発起人となり、世話人ともなって企画されたもので、私も声をかけられて、呼びかけ人に加わりました。下記の文章も、3人の方の起案になるものです。
いま、「声明」の呼びかけ文とと声明文章がほぼ固まったところで、以下に、呼びかけと声明、そして背景説明を記します。
なお、下記ブログもご参照ください。
https://gen5no.blogspot.com
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<元号不使用声明への参加を呼びかけます>
新元号が話題になっています。しかし、いまが何年か問われたり、複数の年にまたがって年数を数えるとき元号はとても不便です。また、このグローバル化の時代に日本にしか通用しない元号を使わされるのは、時代錯誤としか言いようがありません。
元号が切り替えられようとしているいま、多くの人が「この際、使わないようにしたい」と思っています。代替わりに1ヶ月先行して新元号を発表し、辟易するような元号キャンペーンが繰り広げられたりしているのも、実はこれからは使わない人がふえるかもしれない事態への「危機管理」なのかもしれません。
もし私たちが元号は使わない、元号はいらないと考えているのなら、今こそチャンスです! 新元号は発表されましたが、まだ定着していません。このタイミングで私たちが、単に「わたしは使わない」と内心で決意するだけではなく、元号を使わないと不便であるような状況をなくし、これ以上続かないよう積極的に声をあげていくならば、社会的にも意味ある成果をあげることができるでしょう。
「元号は使わない」、この決心を友人・知人に伝えていくと共に、全国の多くの皆さんと共に知恵と力を合わせて、元号使用への誘導や、公的な文書や表示に元号しか用いないことへの異議申し立てをしていきましょう!
多くの方が以下の声明に賛同し、参加されることを訴えます。
呼びかけ人(4月13日現在)
飯島滋明(名古屋学院大学)、井口真(東京YMCA主事)、稲正樹(元国際基督教大学)、河上暁弘(広島市立大学)、岸亮夫(東久留米キリスト者九条の会共同代表)、小林武(沖縄大学)、斉藤小百合(恵泉女学園大学)、澤藤統一郎(弁護士)、柴田智悦(横浜上野町教会)、清水雅彦(日本体育大学)、須永勇(豊島区労協)、砂山洋一(東村山市民)、永山茂樹(東海大学)、長峯信彦(愛知大学)、根森健(東亜大学)、濱野秀樹(さいたま教育文化研究所)、星出卓也(西武柳沢教会)、横山英信(岩手大学)、三輪隆(元埼玉大学)、最上光宏(所沢みくに教会)、森英樹(元名古屋大学)、若尾典子(元佛教大学)
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< 声 明 >
もう使わない、使わされない!
元号の強制、元号への誘導、押し付けはごめんです。
いま多くの人が元号はもう使いたくないと感じています。グローバル化が進んだ今日、日本国内にしか通用せず、また国内でも複数の年の間の年数をかぞえるにも元号は実に不便です。
元号を使うことは法的義務ではありません。象徴天皇の制度があるとしても元号が用いられなければならない憲法上の根拠は何もありません。
「公務の統一的処理のため協力を求める」などとして元号を用いるように仕向けることは、各人が元号を知っていることを前提とし、人によっては意に沿わない元号使用に応じさせれられるもので、これは憲法で保障される思想良心の自由に反する間接的な強制となります。
また、国会、行政官庁、裁判所、地方自治体などの公の機関が、公文書などで元号しか用いないことは、元号を知らない者・使わない者を疎外する行為であり、公の機関のあり方として決して許されないことです。
そして誰もが買い、使う商品に元号しか用いないことも、元号を知らない者・使わない者を疎外するものです。
私たちは、次のことを求めます。
1.届出や申し込みの用紙、Web上のページなどにおける年の記載は、利用者が元号を用いなくても済むものとし、また利用者に元号への書き直しを求めないこと。
2.公の機関が発する一切の公文書、公示における年の記載は、元号を知らない者・使わない者にも理解できる表示とすること。
3.不特定多数を対象とする商品における年の記載は、元号を知らない者・使わない者にも理解できる表示とすること。
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この声明に賛同される方は、下記ののメールアドレスまでご連絡ください。
(必須) 氏名・ふりがな
(任意) 職業または所属、お住いの地域(県名など)、専門・職位など(10文字以内)
(任意) メッセージ
* 公表を望まない場合はその旨を明記してください。
また、この呼びかけ人に加わって下さる方は、その旨を上記メアドまでお知らせください。
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<背景説明など>
元号法を廃止する見通しはもてない現状のなかで何ができるか?
使わない人がふえれば元号法が廃止されなくても元号は廃れます。時間感覚を国家に仕切られる度合いが減り、ひいては国家求心的な意識:「上がそうしているから」だけで追従する集団同調的な行動や意識を弱める効果もあるでしょう。
大手マスコミが宣伝し、多くの関心が集まっているこの時期は、同時に元号の不合理さをおかしさを暴露し、からかい、笑い飛ばす絶好の機会です。仲間内で閉じこもって悲憤慷慨して過ごすのではなく、こちらから軽やかに攻めていく方が健全です。
元号法廃止とか元号使用強制反対とかいう現段階では勝つ見通しの低いhardな対抗ではなく、元号を使い追随する多数派でも否定できないやり方で不使用派、反対派をふやしてく。そんなやり方として元号使用強制に対する拒否、西暦使用を認めさせる運動を考えました。
この声明の原案に対しては、何人かの方から「日の丸・君が代の強制に言及すべき」、「元号は天皇制のイデオロギーにたつものである問題を明記すべき」という意見もありました。
しかし、この呼びかけと声明では、「日の丸・君が代のことはよく分からないけれど、元号は分かりづらいからもう止めたい」とか、「天皇はよくやっているじゃない。でも元号は不便だから使いたくない」思っているような人にも受け入れられる内容にすることに注意しました。
こうした人たちに働きかけることによってこそ、元号を使わない人をふやし、使わないでも済む環境を広げる現実の可能性があると判断しました。元号自体の問題性、日の丸・君が代の問題性、天皇制との関係を理解している「分かっている」市民だけを対象にすれば、この運動は却って社会的に孤立し、マイナス効果を生んでしまいかねません。
確かにこの運動を実際に進める人の多くは、確信的な反対派でしょう。しかし、不特定多数に呼びかけ、声明を出すのですから、確信的反対派だけの悲憤慷慨や警鐘乱打であってはならないと考えました。
といっても「元号はスルーしましょう」といった軽やかな声明にまではなっておらず、まだ骨だらけの中途半端な表現にとどまっています。時間の制約があるため、以上の文で確定した次第です。
(2019年4月14日)
初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2019.4.14より許可を得て転載
http://article9.jp/wordpress/?p=12418
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion8570:190415〕
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