「改憲を急ぐ安倍政権を打倒しよう」 - 東京の憲法集会にこれまで最高の65、000人 -
- 2019年 5月 4日
- 時代をみる
- 岩垂 弘憲法
「改憲を急ぐ安倍政権を打倒しよう」。憲法記念日の5月3日(祝日)、東京・江東区有明の東京臨海広域防災公園で、「平和といのちと人権を!―許すな!安倍改憲発議―5・3憲法集会」が開かれた。護憲関係団体が憲法記念日に統一して開く恒例の集会で、今年で5回目だったが、主催者発表で6万5000人が集まった。前年より5000人多く、これまでで最も参加者数の多い集会となった。2020年に新憲法施行を目指す安倍政権の改憲作業が、市民の間に危機感をもたらし、それがこの日の盛り上がりにつながったようだ。
集会を主催したのは「平和といのちと人権を!5・3憲法集会実行委員会」。実行委を構成するのは、戦争をさせない1000人委員会、憲法9条を壊すな!実行委員会、戦争する国づくりストップ!憲法をまもり・いかす共同センター、九条の会などだ。
集会は午後1時から始まったが、開会前から、りんかい線国際展示場駅、ゆりかもめ有明駅から降りてきたおびただしい人たちが会場につめかけた。海から吹きつける風に、林立する色鮮やかな組合旗や団体旗、のぼりがはためいた。
旗やのぼりから見て、労組、脱原発団体、護憲団体、宗教団体、女性団体などからの参加者と分かった。何も持たず、ゼッケンも着けない、いわゆる一般市民とみられる人たちも多かった。1人でやってきた人も少なくなかった。
主催者を代表して開会あいさつをした実行委員会の高田健さんは「安倍政権は昨年の臨時国会での改憲発議を図ったが、できなかった。私たちの運動の成果だ。安倍政権は今の通常国会で発議をやろうとしているが、国会会期はあとわずかだから無理だろう。そこで、夏の参院選挙において改憲派で3分の2を獲得し、秋の臨時国会で改憲発議にこぎつけようとしている」と述べ、「参院選挙では、何としても護憲派を3分の1以上にしなくてはならない。そのためにも、32の1人区で野党統一候補を当選させなくては。市民が野党に働きかけ、野党統一候補をなんとしても実現させよう」と呼びかけた。
メインスピーカーとして登壇した音楽評論家の湯川れい子さんは「音楽のあるところに戦争はない。対立のあるところに戦争がある。だから、大いに音楽を楽しみましょう」「私たちが生きている世界では、人間が人間を殺す。が、動物は同種の動物を殺さない。人間が人間を殺すなんてまことに恥ずかしい行為。で、人間として人間を殺さないと宣言したのが日本国憲法第9条です。9条は日本の宝、世界の宝です。憲法を守るために残りの人生を賭けたい」と話した。
続いて登壇した「辺野古」県民投票の会代表の元山仁士郎さんは「米軍基地の辺野古移設についての県民投票で沖縄県民の民意は明らかになった。なのに、政府は建設工事を強行している。日本国憲法は民主主義を保障している。でも、沖縄ではその憲法が守られていない。こんなことがあっていいのか。本土の人も、この問題では自分が問われている、と気付いてほしい」
沖縄の米軍・辺野古基地の建設に反対するプラカードも目についた
「政党からのあいさつ」では、立憲民主、国民民主、共産、社民の4党党首が登壇した。そして、口々に「自民党は改憲項目に4点をあげているが、狙いは9条の改定だ」「安倍首相は、9条に自衛隊を明記してもこれまでと何ら変わることがないと言っているが、これはとんでもないウソ。安倍政権はすでに、憲法上疑義がある集団的自衛権行使の容認を閣議決定し、これを安保関連法という形で法制化したが、自衛隊を9条に明記することで、集団的自衛権行使を憲法上でも認めさせようとしているのだ。そうなれば、自衛隊は堂々と海外に出てゆき、外国の軍隊と共に戦うことになるだろう。まことに危険極まる改定だから、だまされてはいけない」「憲法には、内閣という文字はあるが、厚労省とか国交省とかいった省庁の文字はない。自衛隊が9条に明記されるとなると、自衛隊が省庁の上に立つことになる」などと演説し、改憲阻止のために全力を上げると決意を表明した。
登壇者の1人が「この集会のキャッチコピーは『いま、変えるべきは、憲法でしょうか?』ですね。これをこう変えたらどうでしょう、『いま、代えるべきは安倍さんですね』と」と叫ぶと、会場から拍手がわき起こった。
そういえば、この日は、集会会場にこれまでになく「安倍政権退陣」「安倍内閣打倒」の文字や言葉がはんらんしていたように思われた。
集会後、参加者は2コースに分かれてデモ行進した。
集会のスローガンを書いたプラカードを自転車の荷台にくくりつけた青年
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