護憲勢力が勝利 - 改憲勢力が参院で「3分の2議席」を割る -
- 2019年 7月 22日
- 時代をみる
- 岩垂 弘憲法選挙
第25回参院選の投票が、7月21日(日)に行われた。午後8時投票締め切りと同時に開票が進められたが、22日午前0時直前、自民党、公明党、日本維新を中心とする改憲勢力が、改選前まで参院で維持していた「3分の2以上の議席」を割ることが確実となった。自民党は、今度の参院選で改憲を最大の争点とし、党の総力を挙げて改憲を訴えたが、有権者の答えは「ノー」だった。これにより、政界再編がない限り、少なくとも次の参院選が行われる2022年7月までの3年間は日本国憲法は安泰ということになる。
日本国憲法を改定するには、衆議院と参議院で、改憲勢力が3分の2以上を占めることが必要だ。第96条に「この憲法の改正は、各議院の総議院の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない」とあるからである。同条は、国民の承認には特別の国民投票が必要で、その投票では過半数の賛成が必要、としている。
衆議院はすでに、自公両党に日本維新、与党系無所属を加えた改憲勢力が議席の3分の2以上を占める。
一方、参議院の議席定数は245だから、改憲発議に可能な「3分の2」は164議席である。自公両党に日本維新を中心とする改憲勢力は非改選で79議席を擁しているので、今度の参院選で改憲に必要な議席164を獲得するには改選議席124のうちの85議席を獲得しなければならなかった。
このため、自民党は今度の参院選で、「改憲」を最大の争点と位置づけた。そして、安倍自民党総裁(首相)は全国各地で、しゃかりきになって改憲を訴えた。投票日前日の20日には、秋田市内の街頭演説で「自衛隊をめぐる違憲論争に終止符を打つために、憲法に自衛隊と明記をすると公約にうたった。議論をしていく候補者を選ぶか、審議を拒否する候補者に1票入れるのかを決める選挙だ」と叫んだ。
22日午前0時直前、朝日新聞デジタルが「改憲勢力が参院議席の3分の2に届かず」と伝えた。その直後、NHKテレビも「改選勢力、参院で3分の2を割る」と報じた。
自民党にとっては大きな痛手で、護憲勢力にとっては「勝利」だった。この3年間に護憲派が改憲派の動きに抗して進めてきた護憲運動が実ったと言ってよい。
どうしてこうなったか。メディアでは、さっそく分析が行われるに違いないが、一つには、沖縄で米軍辺野古新基地建設を、秋田や山口でイージス・アショアの設置を強行する安倍政権の姿勢が、有権者の反発を呼び起こしたのではないか、と私には思える。
22日未明には、改選議席124のすべての当選者が決まった。政党別の内訳は次の通り。
自民57、立憲17、国民6、公明14、共産7、維新10、社民1、れいわ2、無所属ほか10
この結果、非改選の議員を含めた参院議員は245人となったが、うち改憲勢力は160人にとどまり、改憲発議に必要な164人に届かなかった。
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