競争主義と研究不正の増加、岡川梓事件、井上明久事件、加藤研事件など
- 2019年 9月 11日
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共同通信によると日本の理系論文数は20年間伸びていないという[1]。競争原理の導入は論文数の点で結果を出せなかった。一方で、研究不正や撤回論文数は激増した[2]。研究倫理研究の第一人者である白楽ロックビルお茶の水女子大学名誉教授の公式サイトに掲載されているグラフにその激増ぶりがよく表れている[2]。
競争原理は若手研究者の雇用不安定による不正への誘因となり、ベテラン研究者には予算獲得のプレッシャーによる不正への誘因となった。その典型が岡川梓事件、井上明久事件、加藤研事件であろう。
井上明久氏は巨額の研究費獲得と桁違いの論文数で有名だ。発表論文数は2800報以上、獲得研究費は一部のバルク金属ガラス関係のものでも18億円だから、非常に多い[3]。円柱状バルク金属ガラスの捏造は現在でも争われており、底なしの捏造が現在でも未解決のまま。一部の論文はようやく撤回され、再調査を求められているが、東北大は未対応[4]。
加藤研(元東大)では著名学術誌への掲載を過度に重視し組織的な捏造、岡川梓氏(国立環境研究所)は博士取得や任期付きの不安定さによる不正なポスト獲得が誘因となり研究成果を完全に捏造するという極めて悪質な不正を行った[2][5]。
さらに岡川梓氏と加藤茂明氏は捏造隠蔽と撤回回避のために意図的な嘘を公表するという不正行為によるメガコレクションを公表して捏造を隠蔽した[2][6][7]。東大は加藤氏はネイチャー論文の「捏造・改ざんの疑いを把握していながら、当該論文の撤回を回避するためにその隠蔽を図り、関係者に画像や実験ノートの捏造・改ざんを指示し、事実と異なる内容を学術誌の編集者へ回答するなど、極めて不当な対応をとっていた。[8]」と強く非難。岡川梓氏は指導者だった伴金美氏(阪大名誉教授)さえ自己保身のためにまきこんで隠蔽のための不正なメガコレクションを公表。岡川梓、加藤らは極めて悪質な不正を行い、しかも長期間。
上のような極めて悪質な不正は確かに不正研究者の倫理意識が余りに欠如していたという原因はあったかもしれない。しかし、近年の競争原理の激化も大きな要因であろう。論文数は増えない、一方で研究者が堕落して極めて悪質な研究不正が続発する。そういう状態は余りに悲しい。倫理意識が欠如した不正行為者を排除する事も必要だが、競争主義を見なおしてもいいのではないか。
参考
[1]共同通信 2019年9月7日
[2]白楽ロックビル お茶の水女子大学名誉教授 研究者倫理
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