SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】339 南アフリカが国連安保理10月議長国
- 2019年 10月 8日
- 評論・紹介・意見
- サハラ国連平田伊都子西サハラ
国連安保理西サハラ審議は、10月1日、8日、16日と3回予定され、30日には国連PKOミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)を延長させるのか、それともこのPKOを廃止するのか、採決をとることになっています。 通常、国連PKO任務の延長は、事務総長の報告と推薦に従って、たいしてもめることもなく短時間で決まります。 ところが、この西サハラ国連PKOは1991年に設置されて以来、人民投票の任務を遂行せず、28年間もズルズル存続してきました。
どンな審議が展開して、どんな結論が出されるのか?? 10月の安保理議長国は、アフリカを牽引する南アフリカです。
国連安保理10月議長国になった南アフリカ国連代表部のスタッフが、
揃って安保理本会議場で記念撮影
① マンデラ黒人政権が誕生して25周年を迎えた南アフリカ共和国:
27年間、獄に繋がれていた南アフリカの反アパルトヘイト活動家ネルソン・マンデラ
は、1990年2月11日に釈放された。1993年にはノーベル平和賞を受賞した。獄中でも勉強し南アフリカ大学法学部卒業資格を取得したことや、ラグビーに親しんだことなどは有名だ。が、1989年6月10日、カダフィ元リビア指導者が獄中のマンデラに、カダフィ平和賞を賞金3,500万円を付けてマンデラの娘ジーナニーに手渡したことは、誰の記憶にも残っていないようだ。
そのマンデラが歴史的な黒人政権を南アフリカに樹立してから、今年で25年になる。南アフリカは様々の機会を捉えて、25周年を祝った。3月8日の国際女性の日には、国連事務総長、副事務総長、事務総長室長、その他国連幹部が揃った式典で、南アフリカの少女が、「みんな同じ~~」と歌った。元気で乗りのいいパフォーマンスに、参加者はリズムに合わせて楽しんだ。その中で一人ブスッとうつむいていたのが、国連事務総長のアントニオ・グテーレス、、最後にお愛想笑いをしたが、嫌だったら途中退席すればよかったのに、、
マンデラを始め、南アフリカの人々は、揺るぎない信念に加えて、歌と踊りに卓越した才能を持っている。1992年のアメリカ映画サラフィナに始まって、ゴッドタレントに出演する合唱団まで、南アフリカの人々は明るく元気です。
➁南アフリカの底力は無視できない:
2019年6月29日に安倍総理大臣はG20大阪サミット出席のため訪日中のシリル・ラマポーザ・南アフリカ共和国大統領に会い、TICAD7への協力を要請した。
TICAD7が始まった28日午後2時15分頃から約25分間,横浜で安倍内閣総理大臣はラマポーザ南アフリカ大横領と日・南アフリカ首脳会談を行った。外務省によると、安倍総理大臣は,「アフリカの経済大国南アフリカの果たす役割は大きく,ラマポーザ大統領のリーダーシップに大いに期待する」と、述べた。また,「ラグビーワールドカップに参加する南アフリカチームの訪日を歓迎する。日・南アフリカのテストマッチが予定されており,なぜ強い南アフリカを相手に選んだのか不思議にも思ったが,両国チームがケガなく,健闘することをお祈りする」述べた。日本VS南アフリカのテストマッチは、埼玉県熊谷で9月6日に行われた。結果、41対7で南アフリカが圧勝している。
アフリカ大陸の南端にある南アフリカは、面積が122万平方キロメートルで日本の約3.2倍もある。2018年の世銀調査によると、人口は約57,780,000人で、黒人が79%,白人が9.6%,カラード(混血)が8.9%,アジア系が2.5%と言われている。英語を中心に,アフリカーンス語,バンツー諸語、ズールー語、ソト語などなど、合計11の言葉が使われている。キリスト教徒が人口の約80%を占め,ヒンズー教徒,イスラム教徒も少数いる。
日本に先駆けて、南アフリカは国家機能をプレトリア(行政府)、ケープタウン(立法府)、ブルームフォンテーン(司法府)と、3都市に分散させている。ヨハネスブルグはアフリカ最大の証券取引所があり、アフリカトップの近代金融都市だ。
気候は爽やかで、農業に適している。トウモロコシはアフリカNo1の生産量を誇り、グアバ、アボカド、マカダミアナッツなど、果物やナッツの栽培も盛んだ。ワインの製造も急成長している。なんと言っても南アフリカをリッチなイメージにしているのは、世界の半分を占める<金>だ。その他、ダイヤモンド・プラチナ・ウラン・鉄鉱石・石炭・銅・クロム・マンガン・石綿、、と、日本が羨む鉱物資源に恵まれている。
そんな天国南アフリカを、白人やユダヤ人が指をくわえて見ている訳がない。
➂アパルトヘイトがあるモロッコ占領地・西サハラ:
2017年12月に与党アフリカ民族会議(ANC)の新議長に就任し、大統領になったシリル・ラマポーザは、「8割の黒人のために、白人の土地の取り上げる」と、表明した。危機を感じた白人たちは、彼らのコミューンを一層強固にし、柵や壁を巡らせた特別区(=租界)に籠り始めた。ダイヤモンドや金などを通して、昔から南アフリカの白人たちと繋がりが深いイスラエルの退役軍人などが護身術や射撃を指導している。イスラエル軍の護身術クラブ・マガに興じる白人の彼方で、黒人の召使が芝生の手入れをする、、アパルトヘイトの世界が、コミューンの中で繰り広げられているのだ。白人コミューンが自衛を越える攻撃武装をするのは、時間の問題だ。
イスラエル占領地では、イスラエル軍が強固な壁を張り巡らせてパレスチナ人を隔離している。モロッコは2,500㎞という<砂の壁>地雷防御壁を作って、西サハラを分断し、モロッコ占領地の中では西サハラ被占領民に対して隔離政策を強いている。南アフリカは、「パレスチナと西サハラの状況は、まさにアパルトヘイトだ」と、みなしている。
「イスラエル占領下にあるパレスチナの解放は国際社会の責任だ」と、シリル・ラマポーザ南アフリカ大統領は語る。そして、「モロッコ占領下にある西サハラの解放も、国際社会の責任であると同時に、アフリカ社会の最重要課題だ」と、力説する。そして大統領は、「このアフリカ大陸に植民地が残っていることは、アフリカ人の恥だ」と、喝を入れた。
「西サハラ人の苦しみは、我々の苦しみ、、アフリカは一つの家族だ」というのが、シリル・ラマポーザ南アフリカ大統領のスローガンになっている。この言葉、白人に惨殺されたリビアの元指導者、カダフィーの口癖でもありました。
なぜ南アフリカは西サハラ独立を支援するのか?
なぜ、ヨーロッパ諸国は、西サハラ独立を支援しないのか?
なぜ、国連は西サハラ人民投票を実施しないのか?
国連憲章や国際正義や人道主義などではやっつけることのできなかった前世紀の遺物、<植民地主義>という怪物が、未だに蠢いているような、、嫌な21世紀です。
Youtube2018年7月にアップした「人民投票」(Referendum)をご案内します。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いいたします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2019年10月8日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion9068:191008〕
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