SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】342 俺に未来はない、お前も同じだ!
- 2019年 10月 29日
- 評論・紹介・意見
- サハラモロッコ平田伊都子西サハラ
「俺に未来はない!お前も同じだ!!」と、叫んで、モロッコ・テコンドー・チャンピオン、アヌアル・ブクハルサはモロッコ国王の金メダルを海に投げ捨てました。 そして彼は、その録画をソーシャルメディアに流したのです。 あっという間に、モロッコ国民的英雄アヌアルの国外不法脱出は、国中に知れ渡りました。 モロッコ国営通信は、不敬罪にあたるこの脱出事件を扱っていません。 かくして、モロッコ・テコンドー・チャンピオン、アヌアル・ブクハルサは、不法移民の一人となって、ボートでスペインに脱出したのです。
モロッコ国王の金メダルを海に投げ捨てる瞬間の、
モロッコ・テコンドー・チャンピオン・アヌアル
① やっとモロッコが出した、国連脱植民地化第4委員会への反論:
10月16日水曜日の夜、国連脱植民地化第4委員会が、西サハラは国連憲章と国連総会
決議1514に該当する<アフリカ最後の植民地>だと、結論づけた。西サハラ難民政府は国連新決議に大賛成した。すかさず反応を示すのがモロッコの常だったが、木曜日も金曜日も、その週には何も応答がなかった。そして、週明けの10月21日にやっと、コルカスCORCAS(王立サハラ問題諮問評議会)が、モロッコ国連大使の10月16日国連脱植民地化第4委員会に於ける演説を載せた。が、国連新決議には触れなかった。モロッコ国連大使オマル・ヒラ―ルは、「モロッコ領土内でのサハラ地方自治案は、長期にわたるサハラ問題に対する唯一の解決策だ。モロッコ王国はこの案を、2007年から主張してきた」と、語った。さらに、モロッコ国連大使は、「サハラはモロッコに領有権があり、モロッコのものだ。モロッコ領土を云々するのは、<国連が認めている国家主権>への侵害だ」と、西サハラを植民地扱いにする委員会に反論した。植民地と特定された地域は、どこの国にも属さない、、つまり、植民地西サハラはモロッコのものではない、ということになる。
「王権に干渉するいかなる行為も許さない」と、ヒラ―ルは再三、強調している。
モロッコが国連事務総長や国連事務総長報道官を抱き込んでも、国連憲章や国連決議に賄賂は効かない。モロッコは♠アメリカ大統領の娘婿クシュナーに急接近し始めた。しかし、クシュナーの後ろ盾だったイスラエル首相ネタニヤフが堕ちそうになってきて、ついでに義父の評判もがた落ちで、、ロシアに秋波を送るようになった。10月23日と24日にロシアのソチで行われた「アフリカ・ロシア経済フォラム」に、モロッコはハイレベルの代表を送り込んだ。
② モロッコを捨てたテコンドー・チャンピオン:
10月23日、MWN(モロッコ世界ニュース)がヤヒア・ハティムの記事と、モロッコ・
テコンドー・チャンピオン、アヌアルの自撮り映像を紹介した。「こんなもん、何の価値もない!」と、アヌアルはモロッコ国王の金メダルをジブラルタル海峡に投げ捨てた。ジブラルタル海峡は地中海と大西洋を繋ぎ、スペインとモロッコを最短14㎞で結んでいる。つまり、アフリカの不法移民にとって一番近いヨーロッパへの行路となり、ボートで密出国を企てるモロッコ人やアフリカ人の後を絶たない。
モロッコ国民的英雄テコンドー・チャンピオン・アヌアルは、モロッコのサフィで生まれ育ち、子供の頃からテコンドーに励み、国内試合や国際試合で数々のメダルを獲得した。彼の自慢は、2009年全アラブ・テコンドー金メダルだ。これは捨てなかった。
モロッコ・ナショナル・サッカーチーム・アトラス・ライオンの若きスーパースター・ヒカム・ケル―チも、ボート脱出映像を流した。同じくアトラス・ライオン所属のメリーム・ブヒド、同じくサッカーのアリ・ハババ、そして、ペタンク・チャンピオンのヒシャム・ブラサルなどなど、、モロッコの花形スポーツ選手が多数、ボートなどで書類ナシの不法出国をしている。
10月26日、フランスのパリで3年前のこの日に警察によって惨殺された魚売りを悼んで、リーフ地方抵抗運動組織がデモを行い、モロッコ国旗を燃やした。
MWN(モロッコ世界ニュース)は、モロッコ国外にいるモロッコ人の数を、500万人超と推測している。但し、MWNもモロッコ当局も不法移民の実状を掴んでいないから、モロッコ国外モロッコ人の数は予想できない。
➂ モロッコ犯罪者の逮捕はうなぎのぼり:
2019年9月19日にモロッコ国家治安局長がモハンマド・ディヒシが、2019年1月1日から9月15日までに、麻薬密売で420,348人を逮捕したと発表している。同じ9カ月間に押収したハシッシ麻薬は112トン138㎏で、覚せい剤は1,161,000粒、コカインは44㎏で、ヘロインは6㎏と、公表した。
そして10月22日には同じ国家治安局長が、10月10日から21日までにカサブランカで
8,225人を逮捕したことを公表した。大部分が麻薬犯罪者で、ハシッシ200㎏、コカイン192g、覚せい剤8,615粒、などを押収した。
10月25日、同じ国家治安局長が声明で、「タンジェ警察が、9トンの麻薬ハシッシを押収し5人の麻薬密売人を逮捕した。彼らは国際覚せい剤密売組織とも繋がっている。さらにタンジェ警察は、3隻のゴムボートと無線通信端末機を2台なども押収」と、発表した。
10月27日、同じ国家治安局長が、「南モロッコのラユーンで、二つの麻薬密売組織間で抗争があった。暴力は激化し、相手の家に火を点けたため警官が出動した。すると第三勢力が登場し、警官に発砲した。警官も応酬し、事態は沈静した」と、声明を出した。
ついにモロッコ麻薬密売組織は、モロッコ占領地・西サハラに蔓延り始めた。モロッコ占領地から2,000㎞離れた難民キャンプに拠点を置く西サハラ難民政府は、故郷西サハラが麻薬や犯罪に汚染されるのを恐れている。「モロッコ占領地・西サハラの治安は、国連西サハラPKOに責任がある」と、国連安保理に事件を報告し、国連西サハラPKOの怠慢を糾弾した。
ワシントン・ポストが、「テロリストの頭目が爆死」としたIS イスラミックステート指導者バグダディ死亡のキャプションを、「宗教学者の指導者が自爆」と、変えたそうです。 モロッコのある宗教家は、変更されたキャプションを歓迎しました。 モロッコの麻薬組織にとってバグダデイIS頭目は、大事なお得意さんでした。
しかし、、死者を殉教者に祭り上げて、報復テロなどに走らないでください。
Youtube2018年7月にアップした「人民投票」(Referendum)をご案内します。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いいたします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2019年10月28日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion9122:191029〕
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